投資信託のコストとは
投資信託は、多くの投資家から資金を集め、運用会社が運用し、利益を投資家に還元する金融商品です。投資信託は、いくつかの会社が関わることで運用されるため、それぞれの会社に支払う手数料(コスト)が発生します。
投資信託の運用に関わる会社は、下表の通りです。
会社 | 詳細 |
販売会社 | 投資信託を販売する、銀行や証券会社などの金融機関 |
運用会社 | 投資信託の運用方針を決定し、信託銀行に金融商品(株や債券など)の売買を指示する |
信託銀行 | 投資家から集めた資金を管理し、運用会社の指示のもと、金融商品を売買する |
ここでは、投資信託の運用で発生するコストの種類を見ていきましょう。
コストの種類
投資信託の運用に必要な主なコストは、下表の通りです。
コストの種類 | 詳細 |
購入手数料 | 投資信託の購入時に、販売会社に支払う手数料 |
信託報酬 | 投資信託の運用・管理にかかる費用で、投資信託を保有している間中支払う。販売会社・運用会社・信託銀行に支払われる |
信託財産留保額 | 投資信託の解約時に支払う手数料。支払った手数料は、信託財産(※)に留め置かれる |
解約の申し込みを受けたファンドは、解約代金の調達のため、保有する金融商品を売却しなければなりません。金融商品の売却には、手数料がかかります。また、売却のタイミングによっては、損失がでる可能性もあります。
このような、解約代金の調達にかかる費用をまかなう手数料が、信託財産留保額です。
(※信託財産とは、投資信託が保有している資産のことです)
実質コスト
実質コストは、信託報酬と信託報酬以外でファンドの管理・運用にかかった手数料を足したものです。実質コストに加算される手数料には、以下があります。
- 売買委託手数料
- 有価証券取引税
- その他の費用(保管費用・監査費用など)
実質コストは、運用状況により変わります。そのため、目論見書(もくろみしょ※1)には記載されません。確認は、運用報告書(※2)で行いましょう。
(※1:目論見書とは、投資信託の売買に必要な重要事項が記載された書類です)
(※2:運用報告書とは、基準価額(投資信託の値段)の推移や分配金の状況といった運用経過や、今後の運用方針が記載されたもので、決算ごとに作成・交付されます)
投資信託のコストの計算
ここからは、投資信託の計算方法を解説します。
実質コストの計算方法
実質コストは、運用報告書の費用明細欄に載っています。ひふみプラスの第6期(2016年10月1日~17年10月2日)運用報告書を例に、1万口あたりの実質コストを計算してみましょう。
なお、期中の平均基準価額は、3万1806円として計算しています。
コストの種類 | 比率(%) | 金額(3万1806円×比率) |
信託報酬 | 1.064 | 338円 |
売買委託手数料 | 0.292 | 93円 |
その他 | 0.001 | 0円 |
実質コスト合計 | 1.357 | 431円 |
実質コストの比較方法
実質コストを比較するには、各ファンドの運用報告書を用意しなければなりません。運用報告書は、販売会社の窓口で受け取れます。
販売会社によっては、ホームページからダウンロードできる場合もあるため、自分にあった方法で、運用報告書を用意しましょう。
投資信託はコストが重要
投資信託の運用成績を上げるには、しっかりとしたコスト管理が重要です。
コストの差は大きな差
投資信託の手数料の差は、運用成績に大きな影響を与えます。例えば、購入手数料が3%(税抜)のファンドを、内枠方式(※)で10万円購入したとします。
この場合、運用は9万6760円でスタートするため、最低でも3240円以上の収益をあげなければ、利益となりません。
一方、購入手数料がかからない『ノーロードファンド』は、10万円から運用をスタートできるため、1円の値上がりでも利益となります。
また、信託報酬が0.5%のファンドは、1年間で0.5%超の収益を出せば利益となります。しかし信託報酬が2%のファンドで利益を出すには、年間2%を超える収益が必要です。
より効率的に資産を増やしたいと考える人は、コストを抑えたファンドを選びましょう。
(※内枠方式とは、投資信託の購入において、申込金額に手数料が含まれる方式です)
低コストのインデックスファンドがおすすめ
投資信託は、運用方針により以下の2種類に分けられます。
- アクティブファンド
- インデックスファンド
アクティブファンドは、運用会社独自の銘柄選定や資産配分により、日経平均やTOPIX(トピックス)といった特定の指標以上の投資成果を目指す投資信託です。
運用会社が企業および市場の調査を行い、投資銘柄を選定するため、信託報酬が高めに設定される傾向があります。
インデックスファンドは、特定の指標に連動する運用成績を目指す投資信託です。運用成績を連動させるため、インデックスファンドは指標と同じ銘柄の金融商品を組み入れます。
企業や市場の調査の手間を抑えられるぶん、インデックスファンドの信託報酬は、安めに設定されます。
SBI証券や楽天証券は商品数が豊富
SBI(エスビーアイ)証券や楽天証券は、コストの低いファンドの取扱が多い販売会社です。18年11月16日現在の、ファンドの種類別取扱本数を、下表にまとめます。
ファンドの種類 | SBI証券 | 楽天証券 |
ノーロードファンド | 1317 | 1346 |
インデックスファンド | 363 | 333 |
SBI証券および楽天証券は、店舗や窓口を持たないネット証券です。ネット証券は、人件費や店舗維持費がかからないぶん、手数料を抑えた投資信託の販売が可能です。
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まとめ
投資信託の手数料には、購入手数料・信託報酬・信託財産留保額および、実質コストがあります。それぞれのコストは、目論見書や運用報告書に記載されているため、購入前にきちんと確認しましょう。
コストの大きさは、運用成績に影響します。投資信託運用を上手に行いたい人は、ノーロードファンドやインデックスファンドなど、コストの低いファンドを活用してはいかがでしょうか。