投資信託にかかる手数料とは?
投資信託は、多くの投資家から資金を集め、運用会社が運用を行い、利益を投資家に還元する金融商品です。
投資信託の運用には、複数の会社が関わっています。そのため、購入時や保有時、解約時に手数料が必要となります。投資信託の運用に関わる会社は、下表のとおりです。
会社 | 詳細 |
販売会社 | 投資信託を販売する、銀行や証券会社などの金融機関 |
運用会社 | 投資信託の運用方針を決定し、信託銀行に金融商品(株や債券など)の売買を指示する |
信託銀行 | 投資家から集めた資金を管理し、運用会社の指示のもと、金融商品を売買する |
購入手数料
『購入手数料』は、購入時に投資家が販売会社に支払う手数料です。例えば購入手数料が3%(税抜)の投資信託を100万円購入した場合は、3万2400円の手数料を支払います。
購入手数料の支払い方法には、『内枠方式』と『外枠方式』があります。例えば購入手数料3%(税抜)のファンドを100万円購入した場合、支払い方法別の購入代金は下表のとおりです。
支払い方法 | 投資額 | 購入代金 |
内枠方式 | 96万7600円(100万円-3.24%) | 100万円 |
外枠方式 | 100万円 | 103万2400円(100万円+3.24%) |
内枠方式は、購入代金に手数料が含まれます。外枠方式では、購入代金とは別に手数料の支払いが必要です。
信託報酬
『信託報酬』は、投資信託の運用・管理に必要な手数料で、販売会社・運用会社・信託銀行に支払います。
信託報酬は日割りで計算され、純資産総額(※)から毎日差し引かれるため、投資家が直接手数料を支払う必要はありません。
(※純資産総額とは、ファンドの組み入れている金融商品を時価で評価したもので、ファンドの規模を示します)
信託財産留保額
『信託財産留保額』は、解約時に必要な手数料で、支払った手数料は信託財産に留め置かれます。
投資信託の解約の申込があった場合、ファンドは解約代金を調達するために、保有する金融商品を解約しなければなりません。解約には手数料がかかります。
また、運用会社が意図しないタイミングでの解約により、損失がでる可能性もあります。このような解約に伴う費用を調達するのが、信託財産留保額です。
信託財産留保額は、解約時の基準価額から差し引くことで支払います。そのため、投資家が直接支払う必要はありません。
投資信託の手数料の目安
ここでは、各手数料の目安を紹介します。なお手数料は、投資信託により異なります。個別の手数料額は、投資信託の売買に必要な重要事項が記載された『目論見書(もくろみしょ)』を確認しましょう。
購入手数料の目安
購入手数料は、一般的に1~3%(税抜)程度です。購入手数料は、販売会社によって異なります。そのため、同じ投資信託だったとしても、取引する販売会社により、手数料に差がでることがあるため、注意しましょう。
信託報酬の目安
信託報酬は、一般的に年0.5~2%(税抜)程度だと言われています。信託報酬は、投資信託の種類により以下の傾向があります。
投資信託の種類 | 信託報酬の傾向 |
インデックスファンド | 低め |
アクティブファンド | 高め |
日経平均株価やTOPIX(トピックス)など、特定の指標に連動した運用成績を目指す『インデックスファンド』が組み入れるのは、指標と同じ銘柄です。市場や企業の調査といった手間が抑えられるため、信託報酬が低めに設定されます。
運用会社独自の銘柄選択や資産配分により、特定の指標以上の投資成果を目指す『アクティブファンド』は、運用会社が市場や企業の調査を行わなければなりません。そのため、信託報酬は高めです。
信託財産留保額の目安
信託報酬の目安は、一般的に0.3%程度です。ファンドによっては、信託財産留保額がかからないものもあります。
投資信託の手数料は安く抑えよう
投資信託を運用するうえで、手数料は『コスト』となります。運用資産を効率的に増やすには、手数料を抑えた運用を目指すことが重要です。
最後に、手数料を抑えた投資信託運用のポイントを解説します。
ノーロード投資信託を活用しよう
投資信託には、購入手数料が無料の『ノーロード投資信託』もあります。コストを抑えた運用を目指す人は、ノーロード投資信託が効果的です。
例えば、内枠方式で購入手数料3%(税抜)の投資信託を100万円購入したとすると、運用は96万7600円からスタートします。少なくとも3%以上の値上がりをしなければ利益になりません。
一方、ノーロード投資信託では、100万円で運用がスタートします。そのため、1円でも値上がりすれば、利益となります。
ノーロード投資信託は、目論見書で購入手数料無料と定められている場合と、販売会社により手数料が無料とされている場合があります。購入時には、いくつかの販売会社の購入手数料を比較、検討するとよいでしょう。
トータルコストを必ずチェックしよう
ファンドを選ぶときには、トータルで年間どのくらいのコストがかかるかを考えることが重要です。
購入手数料3%(税抜)・信託報酬1.5%(税抜)の投資信託を購入した場合を例に、保有期間別の年間コストを見ていきましょう。
保有期間 | 年間コスト(%:税抜) | ||
購入手数料 | 信託報酬 | 合計 | |
1年 | 3 | 1.5 | 4.5 |
3年 | 1(3÷3年) | 1.5 | 2.5 |
5年 | 0.6(3÷5年) | 1.5 | 2.1 |
10年 | 0.3(3÷10年) | 1.5 | 1.8 |
このように、支払いが1回のみの購入手数料は、長期で保有することで手数料の影響を減らせます。
一方、信託報酬は保有している間中、支払い続けなければなりません。長期での保有を希望する人は、信託報酬の低いファンドを選びましょう。
まとめ
投資信託には、購入手数料・信託報酬・信託財産留保額がかかります。手数料の有無や金額は、ファンドにより異なります。
コストを抑えて効率のよい運用を目指すには、手数料をコストととらえ、きちんと管理していくことが肝心です。