REITとは
ここでは、REITの基本事項と仕組みを解説します。
集めた資金を不動産に投資する商品
REITは、投資家から集めた資金を不動産に投資し、利益を分配金として投資家に還元する不動産投資信託です。REITで投資する不動産には以下があります。
- オフィスビル
- 住居
- 商業施設
- 物流施設
- ホテル
上記の不動産のうち、1種類の不動産のみに投資するREITを『単一用途特化型REIT』、2種類の不動産に投資するREITは『複合型REIT』といいます。3種類以上、もしくは種類を限定せず投資するREITは『総合型REIT』と呼ばれます。
REITの仕組み
REITは、『不動産投資法人』と呼ばれる会社のような形態を取っており、不動産の取得・運営以外の業務はできません。そのほかの業務は、以下の会社に委託されます。
委託会社 | 詳細 |
資産運用会社 | 投資不動産の選定・賃貸戦略の決定・資金調達・不動産の売買決定などを行う |
資産保管会社 | 保有している不動産の管理を行う。通常は信託銀行が担う |
事務受託会社 | 会計や納税などに関する事務を行う |
不動産管理会社 | 建物管理・賃料請求・賃貸借契約の更改などを行う |
なお、REITは法人なため、役員会や株式会社における株主総会に相当する投資主総会が設定されており、投資家の意思表示が可能です。
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REITのメリットとリスク
ここでは、REITで資産運用をするメリット・デメリットを見ていきます。
不動産投資が少額からできる
REITに投資するメリットの1つは、少額から不動産に投資できる点です。個人で不動産投資をする場合は多額の資金が必要な上、場合によってはローンを組まなければなりません。
しかし、REITでは、多くの投資家から資金を集めるため、数万円程度の少額から投資が可能です。
また、個人でいくつかの不動産に分散投資(※)をするには、さらに多くの資金が必要になりますが、REITでは投資額にかかわらず、運用会社が分散投資をしてくれます。
下表にREITの最低投資額と、投資物件数の1例をまとめました。
REIT名 | 最低投資額(2018年10月24日現在) | 投資物件数 |
いちごホテルリート | 13万7200円 | 21 |
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 | 16万60円 | 18 |
さくら総合リート投資法人 | 8万9000円 | 17 |
(※1:分散投資とは、複数の資産に分けて投資することです。値下がりなどにより資産が減るリスクを分散する効果があります)
いちごホテルリート投資法人
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人
さくら総合リート投資法人
インフレに強い
REITに投資するメリットは、インフレに強い点です。インフレとは、商品やサービスの値段(物価)が上がり続けていく状態をいいます。
仮に、物価が1年で1%上昇した場合、現在保有している資産や給与も1%上がらなければ、資産は減っていくことになります。
一般的に不動産はインフレに強く、物価の上昇に伴い不動産の価格や賃貸料も上がると考えられるため、インフレへの対応が可能な投資資産だといえるでしょう。
経済情勢や天災などのリスク
REITには、経済や市場の影響による、以下のリスクがあります。
リスクの種類 | 詳細 |
価格変動リスク | 不動産の評価額や賃貸料が変動するリスク |
流動性リスク | 市場での不動産取引が減少した場合、不動産の評価額が変動するリスク |
信用リスク | 不動産投資法人の信用力や財務状況の悪化により、REITの価格が変動するリスク |
また、不動産は、実物資産が投資対象であるため、地震や火災といった災害による損失を被る可能性があります。これは、ほかの投資商品とは異なるREIT特有のリスクです。
REITの分配金利回りが高い理由
REITは、支払われる分配金が多い点も特徴です。ここでは、分配金の利回りが高い理由を解説します。
安定的な運用
REITの主な収入源は賃貸収入です。賃貸収入は定期的に得られるため、安定した利益を出せます。当然のことながら、投資する不動産に借り手が付かない場合は、賃貸収入は入りません。
しかし、REITは、運用のプロが市場や物件の調査を行い、多くの不動産に分散投資をしているため、空室となるリスクを抑え安定した賃貸収入が見込めます。
税制面での優遇
REITを運営する不動産投資法人は、不動産投資を目的として認められた法人です。そのため、配当可能利益の90%超を分配すれば、法人税がかからない税制優遇措置が受けられます。
この優遇措置により、税金を支払う前の利益を投資家に分配できるため、高い分配金の支払いが可能になります。
まとめ
REITは少額から投資ができ、インフレに強い点が特徴です。また、税制面の優遇が受けられることもあり、分配金の利回りが高いことが多くなっています。資産運用を検討している人は、REITを選択肢に加えてはいかがでしょうか。