投資信託の解約について
一般的に投資信託は、長期で保有し安定した資産の成長を目指す運用商品です。しかし、以下の場合には、解約が必要となります。
- 投資資金の使い道ができた
- 利益を確定したい
- 損失が許容度を超えた
- ファンドの運用方針が変わった
解約したいときに速やかに手続きを進められるよう、解約についての知識を持っておくことが大切です。
投資信託とは
投資信託は、銀行や証券会社などの『販売会社』を通じて、多くの投資家から資金を集め、集めた資金を『信託銀行』が管理します。
そして、『投資信託委託会社』が運用方針を決定し、信託銀行に有価証券(株や債券)の売買を指図し運用が行われます。
運用で得られた利益は、ファンドごとに定められた決算に基づき、分配金として投資家に還元されます。
解約はいつでもできるのか
原則として投資信託は、いつでも解約できます。ただし、以下の場合は、解約できません。
- クローズド期間がある
- 海外の資産を投資対象としている
投資信託の中には、一定期間解約ができない『クローズド期間』を設けているファンドがあります。
多くの場合、クローズド期間を設けているのは、発売から6カ月や1年以内のファンドで、資金の流出を防ぎ運用を安定させるためです。
海外の資産に投資している投資信託は、投資する国の市場が休業日の場合、解約手続きは翌営業日以降となります。
解約に必要な費用
銘柄によっては、解約時に手数料がかかります。
解約手数料
『解約手数料』は、解約時に販売会社に支払う手数料です。手数料の有無や金額は、各ファンドの目論見書(もくろみしょ※)を確認しましょう。
(※目論見書とは、投資信託の売買に必要な重要事項が記載された書類です)
信託財産留保額
解約時には、『信託財産留保額』がかかる場合もあります。保有する有価証券を売却するには、手数料が必要です。また、運用会社が意図しないタイミングで解約することにより、損失がでる可能性もあります。
このような費用をまかなう手数料が、信託財産留保額です。信託財産留保額は、解約代金を計算する際に、基準価額(投資信託の値段)から差し引いて支払われます。
解約方法
投資信託の解約方法は、2つあります。個人投資家の場合、どちらの方法で解約をしても、解約代金や税金に違いは出ません。
販売会社によって、解約方法を選択できる場合と、決まっている場合があります。
解約請求
『解約請求』とは、販売会社を通して投資信託委託会社に直接解約を請求して換金する方法です。
買取請求
『買取請求』は、販売会社に受益証券の買取を請求する方法です。受益証券とは、投資信託において、投資家の受益権(運用益を受ける権利)を示す証書をいいます。
買取請求では、投資家は販売会社に受益証券を売却することになります。受益証券を買い取った販売会社は、委託会社へ解約請求をし換金します。
解約時の税金は?
解約する投資信託のうち、購入時よりも値上がりしていた部分を『譲渡益』といいます。譲渡益は、20.315%の税金を納める必要があります。
税金の計算方法
例えば、10万円で購入した投資信託を13万円で解約した場合、譲渡益は3万円で納める税金は、6094円(3万円×20.315%)です。
納税方法は、投資信託の取引をしている口座の種類により異なります。特定口座(源泉徴収あり)を利用している人は、源泉徴収されます。
特定口座(源泉徴収なし)で取引をしている人は、年間取引報告書(特定口座における1年間の取引をまとめた書類)を用い、確定申告をしなければなりません。一般口座で取引をしている人は、年間の売買を計算し確定申告をしましょう。
NISAやiDeCoは非課税で運用可能
投資信託は、NISA(ニーサ)口座やiDeCo(イデコ:確定拠出年金)でも運用可能です。NISAやiDeCoを活用すれば、投資信託の運用益が非課税となります。
制度の種類 | 詳細 |
NISA | ・分配金や譲渡益への税金が、一定期間控除される ・一般NISA:年間120万円を新規投資金額の上限とし、最長5年間非課税 ・つみたてNISA:年間40万円を新規投資金額の上限とし、最長20年間非課税 ・ジュニアNISA:年間80万円を新規投資額上限とし、最長5年間非課税 ※上記は併用不可 |
iDeCo | ・ 任意で加入する私的年金制度。投資信託の運用益が非課税になるほか、掛金の所得控除(※)や、年金受取時の控除がある |
ジュニアNISAには、18歳までに払い出すと、過去の利益に対して課税されるため注意が必要です。また、iDeCoは、原則として60歳まで拠出した資金を引き出せません。
(※所得控除とは、収入額から必要経費(給与所得者の場合は給与所得控除額)を差し引いた『所得額』から所定の控除額を差し引き、税金の負担を軽減する制度のことです)
NISAとは? : 金融庁
イデコってなに|イデコ公式サイト|老後のためにいまできること、iDeCo|国民年金基金連合会
主な証券会社の解約手続きと手数料
ここからは、証券会社ごとの解約手続き方法を説明します。
SBI証券
SBI(エスビーアイ)証券は、インターネット上で解約手続きをします。まず、公式サイトにログインしましょう。そして、取引ボタンをクリックし、投資信託を選択します。売却ボタンをクリックすると、保有投資信託一覧が表示されます。
一覧の中から解約するファンドを選び、売却ボタンをクリックすれば、解約手続きは完了です。個人投資家の解約は、解約請求のみとなっています。
楽天証券
楽天証券も、インターネット上で解約手続きができます。まずは、総合口座ページにログインしましょう。投信をクリックし注文・投信・解約注文 の順に進むと、保有銘柄一覧が表示されます。
出典:解約注文1 | 取引ガイド | 投資信託 | 楽天証券
一覧から解約する銘柄を選んで、解約口数を入力し注文ボタンをクリックすれば手続き完了です。
みずほ証券
みずほ証券には、以下の解約方法があります。保有するファンドにより解約できる方法が異なるため、事前に確認しましょう。
- 店頭
- コールセンター
- インターネット(みずほ証券ネット倶楽部)
- モバイルサイト
コールセンターからの解約の場合は、3をダイヤルプッシュした後、お客様コードと暗証番号を入力しましょう。
主な銀行の解約手続きと手数料
銀行で保有する投資信託の解約方法を説明します。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行には、以下の解約方法があります。
- 窓口
- インターネット(ゆうちょダイレクト)
- 投資信託テレホンサービス
窓口で解約をする際は、投資信託振替決済口座利用と記載された通常貯金通帳、および届け印が必要です。
ゆうちょダイレクトを利用すれば、インターネット上で解約ができます。投信テレホンサービスは、ゆうちょダイレクトのサービスの1つで、電話で解約を受け付けています。
ゆうちょダイレクト(投資信託テレホンサービス)|ゆうちょダイレクト
換金までの流れ:個人のお客さま|ゆうちょ銀行
三菱UFJ銀行
三菱UFJ(ユーエフジェー)銀行では、窓口および三菱UFJダイレクト(インターネットバンキング・テレフォンバンキング)から解約できます。
三菱UFJダイレクトでは、第2土曜日の21~翌7時を除き24時間365日、解約手続きが可能です。
三菱UFJダイレクトにログイン後、取引メニューから投資信託を選択すると、保有銘柄一覧が表示されます。解約したいファンドの売却ボタンをクリックし、手続きを進めます。
テレフォンバンキングは、本人情報を入力し5#をプッシュすると、オペレーターにつながります。
投資信託のお取引方法 : 窓口でのお取引方法 | 三菱UFJ銀行
新生銀行
新生銀行は、窓口および新生パワーダイレクトから解約できます。新生パワーダイレクトでは、パソコンやスマートフォンでの解約手続きが可能です。
パソコンで解約するには、店番号・口座番号・暗証番号・パワーダイレクトパスワード・セキュリティカードの順番に入力し、ログインしましょう。ログイン後、取引メニューから資産運用、次に投資信託を選びます。
画面に表示された、『投資信託のお取引』をクリックし、『お取引(購入・解約など)』を選択しましょう。保有投資信託一覧から、解約したいファンドを選び解約をクリックします。最後に、連絡先電話番号などを入力すれば、手続きは完了です。
サービス内容一覧 - インターネットバンキング | 新生銀行
三井住友銀行
三井住友銀行では、窓口およびSMBC(エスエムビーシー)ダイレクトから解約できます。
SMBCダイレクトにログイン後、投資信託を選択し保有ファンド毎の評価額・損益に表示される換金ボタンをクリックして、手続きを進めましょう。
SMBCダイレクトでは、パソコンだけでなくモバイル(携帯電話)や電話での手続きも可能です。なお、自動音声による電話での解約は、解約請求のみです。買取請求をしたい人は、その他の方法を選びましょう。
まとめ
投資信託の解約時には、手数料や税金がかかりることがあります。解約手続き前に、コストを確認しておきましょう。
金融機関の多くは、窓口およびインターネットバンキング、テレフォンバンキングなどから投資信託の解約を受け付けています。自分にあった方法で、解約手続きを進めましょう。