FXの手数料とは
FX取引では、どのような手数料が必要となるのでしょうか。
現在は手数料無料が主流
現在は、取引に必要となる口座の開設費用や維持費、売買手数料などを無料としているFX会社が一般的です。
売買に手数料が必要な株取引などに比べ、FXはコストを抑えて取引ができます。
売買単位により一部有料の会社も
売買する通貨単位によって、手数料を設けているFX会社もあります。例えば、マネックス証券のFX PLUSや、FXプライムbyGMOでは、1万通貨未満の売買には、1000通貨あたり30円の手数料が必要です。
また、通常の取引では無料であっても、自動売買では手数料を有料とするFX会社もあります。
FX PLUS(外国為替証拠金取引) 手数料 | 取引ルール | FX PLUS(外国為替証拠金取引) | マネックス証券
1,000通貨取引について|FXならFXプライムbyGMO
スプレッドとは
ここでは、『スプレッド』について詳しく解説します。
買いと売りのレート差
スプレッドとは、取引を行う際の買い注文のレート(ask・アスク)と、売り注文のレート(bid・ビッド)の差をいいます。
米ドル/円の取引レートが下図であれば、買いのレートが1ドル=123.8円、売りのレートが1ドル=123.797円です。よって、買いと売りのレート差である0.3銭(0.003円)がスプレッドとなります。
出典:FXの「スプレッド」とは | FXネオ - GMOクリック証券
固定スプレッド
固定スプレッドには、『完全固定』と『原則固定』の2種類があり、国内ではスプレッドを原則固定とするFX会社がほとんどです。
スプレッドが完全固定の場合は、レートの変動に関係なく、スプレッドは一定に固定されます。
スプレッドが原則固定の場合は、通常は一定の値が保たれます。しかし、経済指標の発表前後や要人の重要発言があった場合など、相場が急変し激しい値動きがあると、スプレッドが広がることがあります。
変動スプレッド
変動制のスプレッドは、海外のFX会社で多く採用されています。スプレッドは固定されず、常に市場の動きに応じて変わります。相場の値動きが激しいときほどスプレッドは広がりやすく、動きが落ち着くと狭くなる傾向にあります。
また、早朝などの取引量が少ない状況下においても、スプレッドは広がる傾向です。
スプレッドが実質の手数料
FX取引においては、売買手数料を無料とするFX会社がほとんどで、スプレッドが実質的な取引手数料となっています。
ここでは、スプレッドについて詳しく見ていきましょう。
スプレッドの計算方法
スプレッドの計算方法は、例えば為替レートが買値110.015円、売値110.005円であった場合、スプレッドは以下のように算出します。
買値110.015円−売値110.005円=0.01円(1銭)
スプレッド0.01円は、取引における1通貨(※)あたりのスプレッドです。
よって、1000通貨の取引であれば、スプレッドは0.01円×1000通貨=10円、1万通貨では0.01円×1万通貨=100円となります。
(※1通貨とは、日本円であれば1円、米ドルであれば1ドルを指します)
スプレッドを理解して取引することがコツ
FXにおける取引のレートは通常、買値が売値より高い価格となっており、新規注文が成立すると、自動的にスプレッド分の損失が発生します。
例えば、スプレッドが0.005円で売値が110.543円であれば、買値は110.548円です。
上記のレートで買い注文を入れると、1通貨あたり110.548円で買えます。利益を出すには、買った通貨を買値より高い価格で売る必要があります。
現時点の売値は110.543円なので、スプレッドの0.005円を超える値幅で売値が上昇するまで利益を出せません。
つまり、トレーダーはスプレッドだけマイナスの状態から、取引を開始することになるのです。
スプレッド以外のFX会社の収入源
ここでは、FX会社のスプレッド以外の収入源について解説します。
マリー取引
マリー取引とは、トレーダーからの売りと買いの注文を、FX会社内で相殺することです。金融機関の為替の持高を調整し、為替変動リスク(※1)を回避する目的で行われます。
取引の売値と買値にはスプレッドがあり、相殺するとスプレッドはFX会社のもとに残り収益にできます。
FX会社は多数の取引を扱っており、相場の動きにより注文は、売りと買いのどちらか一方に偏ります。よって、全ての注文を相殺できるわけではありません。
買いと売りの持高は、カバー取引(※2)によっても調整されるため、マリー取引を行う状況や頻度はFX会社により異なります。
(※1:為替変動リスクとは、為替相場の上昇や下落により損失を被る危険性をいいます)
(※2:カバー取引とは、金融機関が顧客から受けた注文と同じ注文を、別の金融機関(カバー先)に出す取引のことです)
スワップポイント
『スワップポイント』とは、金利が異なる2カ国の通貨の売買により発生する金利差のことです。
カバー先の金融機関が提供した価格をもとに、FX会社が金額を決めるため、手数料の上乗せが可能で、上乗せした金額はFX会社の収益となります。
スワップポイントとは?|FX|外為オンライン FX取引 - あなたの為の、外為を。
強制ロスカット
『強制ロスカット』とは、ポジション(※)の含み損が一定レベルに達した際に、自動的に全ポジションが決済されるルールです。
トレーダーの損失拡大の防止を目的としたルールですが、FX会社に収益をもたらす結果となっています。
なぜなら、国内のFX会社のほとんどが、取引にDD(ディーリングディスク)方式を採用しているからです。
DD方式では、トレーダーの注文はそのまま市場へは流されず、FX会社が引き受けます。そして、多数のトレーダーから受ける注文の状況や相場の動きを見定めて、FX会社の裁量で市場での取引やカバー取引を行います。
つまり、トレーダーの取引相手はFX会社となり、ロスカットによるトレーダーの損失は、FX会社にとっては利益になるということです。
(※ポジションとは、買いまたは売りの注文が成立した後、決済せずに自分のものとして、持ち続けている状態のことをいいます)
手数料が安い場合でも気を付けるべきこと
手数料が安い場合でも、注意しておくべきことがあります。
最安水準でもスリッページに注意
手数料が安い場合でも、頻繁にスリッページが発生すると取引コストが増えるので注意しましょう。
スリッページとは、注文価格と実際の約定価格の差のことで、発注から約定(注文が成立)までの短時間の価格変動により発生します。
例えば、110.345円で買い注文を入れ110.355円で約定すれば、0.01円がスリッページです。1万通貨の注文であれば、取引コストが100円増えます。
スリッページの発生率はFX会社ごとに異なり、主にシステムの処理能力の違いから差が生じます。
FXでは税金が大きなコストとなる
FXによる利益には、20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかかります。課税対象となるのは、為替差益とスワップポイントです。
課税される為替差益は、1年間に確定した売買益で、年末における含み益など未決済の利益は含みません。
なお、スワップポイントは、取引会社によっては未決済でも課税対象となる場合があります。
FX取引に関わる税金と確定申告について|FXならヤフーグループのYJFX!
確定申告で節税をしよう
確定申告では、FXの利益は『先物取引(※1)に係る雑所得等』として区分され、区分内で損益通算(※2)が可能です。
例えば、FXの年間利益を150万円、先物取引等の損失を60万円とした場合、損益通算すると課税対象額は90万円(150万円−60万円)になります。
また、損失を確定申告すると、翌年以降3年間にわたり繰り越して所得と相殺できます。ただし、その場合であっても毎年確定申告が必要です。
そのほか、振込手数料など必要経費と認められる費用を、利益から差し引くこともできるため節税になります。
(※1:先物取引とは、現時点で将来において売買する期日や価格、数量などを決めておき、期日が来た時点で売買を行う取引のことです)
(※2:損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することをいいます)
主なFX会社の手数料や特徴
ここでは、FX会社の手数料や特徴を見ていきます。
SBI FXトレード
項目 | 詳細 |
売買手数料、口座開設・管理手数料、出金手数料 | 無料 |
入金手数料 | ・クイック入金:1000円以上の入金で無料 ・振込:トレーダーが負担 |
『SBI FX トレード』では、米ドル/円0.27銭(※1)など、業界でもトップクラスの狭いスプレッドを提供しています。
また、取引は1通貨単位から可能で、ドル/円の取引において1ドル=100円時であれば、必要証拠金(※2)約4円で取引が始められます。
(※1:取引数量1~1万通貨におけるスプレッドです)
(※2:必要証拠金とは、新たに買いまたは売りの注文を入れ、通貨を保有するために最低限必要とされる保証金のことです)
SBI FXトレードの取引ルール|はじめてのFX|SBI FXトレード
IG証券
項目 | 詳細 |
売買手数料 | 無料 |
口座管理手数料 | 一部の場合を除き無料(※1) |
入金手数料 | クイック入金:提携金融機関が定める手数料額 振込:トレーダーが負担 |
出金手数料 | 324円(5000円未満の出金) |
『IG証券』では、約100通りの通貨ペアを扱っており、新興国通貨やマイナーな通貨の取引が可能です。
スプレッドは、100Lot(ロット※2)までの取引では、米ドル/円0.3銭、ユーロ/円0.5銭となっています。
(※1:証拠金を預けた状態で6カ月以上ポジションがなく、6カ月以上取引がない場合は月額500円(税抜)の手数料が発生します)
(※2:IG証券では、1Lot=1万通貨です)
楽天証券
『楽天証券』は、カスタマーサービスセンターが、3年連続で最高位評価の三つ星を受賞しており、充実したサポート体制が整っています。
スプレッドは米ドル/円0.3銭、ユーロ/円0.5銭など、8通貨ペアにおいて業界最狭水準です。そして、各種手数料は、以下のようになっています。
項目 | 詳細 |
売買手数料、口座開設・管理手数料、出金手数料 | 無料 |
入金手数料 | らくらく入金 /リアルタイム入金:無料 振込:トレーダーが負担 |
らくらく入金は、楽天証券の専用ページを利用し、楽天銀行口座から資金が移動できるサービスです。
リアルタイム入金は、振込後リアルタイムで楽天証券の預かりに資金が反映される入金方法をいいます。
マネックス証券
項目 | 詳細 |
売買手数料、口座開設・管理手数料、出金手数料 | 無料 |
入金手数料 | クイック入金:無料 振込:トレーダーが負担 |
『マネックス証券』のマネックスFXは、1万通貨までの取引におけるスプレッドは、米ドル/円0.2銭、ユーロ/円0.4銭と、非常に狭く設定されています。
また、コラムやレポートなどの情報サービスがあるほか、高性能な取引ツールを利用しての取引が可能です。
マネックスFXの7の魅力 | 商品・サービス | FX(外国為替証拠金取引)ならマネックスFX/マネックス証券
手数料やスプレッドで比較したおすすめ
手数料やスプレッドで比較した、おすすめのFX会社を紹介します。
DMMFX
『DMMFX』では、以下のようにほとんどの手数料が無料です。クイック入金は約380の金融機関に対応しています。
手数料名 | 詳細 |
売買手数料・口座開設・管理手数料、出金手数料 | 無料 |
入金手数料 | クイック入金:無料 振込:トレーダーが負担 |
スプレッドに関しては、多くの通貨ペアが業界最狭水準となっています。主要通貨ペアのスプレッド(原則固定)は以下の通りです。
通貨ペア | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ポンド/円 | 豪ドル/円 |
スプレッド | 0.3銭 | 0.5銭 | 1銭 | 0.7銭 |
DMM FXの特長 - FX/CFD取引のDMM.com証券
FX業界最狭水準のスプレッド - FX/CFD取引のDMM.com証券
GMOクリック証券
『GMOクリック証券』では、無料としている手数料が多くあります。
手数料名 | 詳細 |
売買手数料、口座開設・管理手数料、出金手数料 | 無料 |
入金手数料 | 即時入金:無料 振込:トレーダーが負担 |
ロスカット手数料 | 1万通貨単位につき463円(税抜※) |
スプレッドは、多くの通貨ペアで業界最狭水準を誇っています。主要通貨ペアにおけるスプレッド(原則固定)は、以下の通りです。
通貨ペア | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ポンド/円 | 豪ドル/円 |
スプレッド | 0.3銭 | 0.5銭 | 1銭 | 0.7銭 |
(※南アフリカランド/円は、10万通貨単位につき463円(税抜)の手数料が発生します)
GMOクリック証券 - FXネオのスプレッド・取引手数料 | FXネオ | サービス一覧
外為どっとコム
『外為ドットコム』も、ほとんどの手数料が無料です。
手数料名 | 詳細 |
売買手数料・口座開設・管理手数料、出金手数料 | 無料 |
入金手数料 | クイック入金:無料 振込:トレーダーが負担 |
主要通貨ペアのスプレッド(原則固定)は、以下のようになっています。
通貨ペア | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ポンド/円 | 豪ドル/円 |
スプレッド | 0.3銭 | 0.5銭 | 1銭 | 0.7銭 |
原則固定スプレッド(例外あり)と取引手数料│FXを始めるなら外為どっとコム
ヒロセ通商
『ヒロセ通商』の各種手数料は、以下となっています。
手数料名 | 詳細 |
売買手数料・口座開設・管理手数料、出金手数料 | 無料 |
入金手数料 | クイック入金:一部を除き無料(※) 振込:トレーダーが負担 |
主要通貨ペアのスプレッド(原則固定)は、以下の通りです。
通貨ペア | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ポンド/円 | 豪ドル/円 |
スプレッド | 0.3銭 | 0.5銭 | 1.3銭 | 0.7銭 |
主要通貨以外では、高金利通貨である南アフリカランド/円が1銭、メキシコペソ/円が0.4銭などとなっており、低スプレッドで取引できます。
(※ジャパンネット銀行でのクイック入金には、54円の手数料が必要です。三井住友銀行・みずほ銀行は、契約内容により有料となる場合があります)
まとめ
FXでは売買手数料をはじめ、各種手数料を無料としているFX会社が多く、スプレッドが主な取引コストとなります。
スプレッドは、取引回数や数量が増えるほど負担が大きくなるため、取引会社を決める際には、しっかりと比較検討しましょう。