投資信託の分配金とは
運用で得た利益を投資家に還元するために支払われる『分配金』には、2つの種類があります。
普通分配金 | 特別分配金(元本払戻金) | |
原資 | 運用益 | 投資信託の元本 |
税金 | 20.315%(※)が源泉徴収される | 課税されない |
特別分配金は、元本を切り崩して支払われるため、支払い後にファンドの純資産総額が減少します。純資産総額の減少は、ファンド規模の縮小につながる可能性があります。
投資信託を選ぶときには、分配金額だけでなく、分配金の種類も確認することが重要です。
(※2038年1月1日以降は復興特別所得税がなくなるため、20%の税率となります)
特別分配金とはなんですか|税金についてのよくある質問|ゆたか証券
受取型と再投資型
投資信託は、分配金の取扱方法により、以下の2種類に分けられます。
- 受取型
- 再投資型
受取型では、決算により決定した分配金を投資家が受け取ります。再投資型は、分配金を用いてファンドを買い増すため、投資家が受け取るお金はありません。
毎月分配型とは
分配金の支払われる回数は、投資信託によって異なります。以下に1例を挙げます。
- 毎月分配型
- 隔月分配型
- 3カ月決算型
- 年2回決算型
- 年1回決算型
毎月分配金が支払われる『毎月分配型』のメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
・毎月収入を得られる ・分配金により、こまめに運用成果を確認できる |
・毎月、純資産総額の減少がある ・普通分配の場合、毎月課税される |
なお、分配金は、決算ごとに必ず支払われるわけではありません。毎月分配のファンドだったとしても、運用状況などによっては分配金が支払われない、もしくは金額が減る可能性もあります。
分配金は受取と再投資どっちがよい?
ここからは、分配金を受け取った場合と、再投資した場合のメリット・デメリットを詳しくみていきます。
受取型のメリット・デメリット
受取型のメリットは、以下のとおりです。
- 定期的な収入源となる
- 将来の値下がりリスクを軽減できる
受取型は、分配金をお小遣いや生活費として活用できるため、資産運用の楽しさを実感できる点が魅力です。また、分配金を定期的に受け取ることで、将来値下がりしたときのマイナスを緩和する効果もあります。
一方デメリットは、分配金が特別分配金の場合、元本の切り崩しにより保有口数が減る点です。
これにより投資家の投資資産が減るほか、純資産総額の減少による基準価格の下落や、ファンドの縮小を招く可能性もあります。
「分配型ファンド」のメリットって? :「分配型ファンド」 : 三井住友銀行
再投資型のメリット・デメリット
再投資型のメリットは、複利で資産を増やせる点です。仮に1年間で10%の分配金が出ている投資信託を10万円購入した場合の、分配型と再投資型の分配金額の違いを、以下にまとめました。
分配型 | 再投資型 | |
1年目 | 1万円 (10万円×10%) |
1万円 (10万円×10%) |
2年目 | 1万円 (10万円×10%) |
1万1000円 (11万円×10%) |
3年目 | 1万円 (10万円×10%) |
1万2100円 (12万1000円×10%) |
合計 | 3万円 | 3万3100円 |
分配型と再投資型では、分配金の受取総額に3100円の差が出ます。このように効率的に資産を増やせるのが、再投資型の魅力です。
再投資型のデメリットは、基準価額の値下がりに対応できない点です。再投資により投資口数を増やしていても、市場の状況によっては、元本割れの可能性がある点に注意しましょう。
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毎月分配型のメリット・デメリット
次に、毎月分配型のメリット・デメリットをみていきます。
メリット
毎月分配型のメリットは、定期的な収入となる点です。毎月決まった日に分配金を得ることで、生活費を補てんしたり、趣味や外食、旅行などを楽しんだりできます。
デメリット
毎月分配型のデメリットは、複利の成果を得られにくい点です。なぜなら、分配金を支払うと、ファンドの純資産総額、および口数が減少するからです。そのため、毎月分配型は、基準価額の上昇が緩やかになる傾向にあります。
分配金がない投資信託もある
投資信託によっては、分配金が支払われない商品もあります。分配金が支払われないケースは、以下のとおりです。
- 分配金を支払うだけの運用利益が出ていない
- 分配金を出さない運用方針である
利益が足りず分配金が出ていない場合は、運用成績の回復に伴い、分配金が再開される可能性があります。
一方、運用方針に基づき分配金を支払わない投資信託は、利益に関わらず分配金は出ません。
では、分配金を支払わない投資信託には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
複利効果が大きい
定期的な分配金の支払いがない投資信託は、分配金により純資産が減少することなく、運用を行えます。そのため、複利による資産の増加が期待できます。
税金面でもメリットあり
先述のとおり、分配金の再投資でも複利効果を得ることは可能ですが、分配金のない投資信託との大きな違いは、税金がかかるかどうかです。
分配金を再投資する場合、利益分から税金が差し引かれたうえでの再投資となります。
一方、分配金がない投資信託は税金が差し引かれないため、より効率的に資産運用ができるでしょう。
特に、長期での運用を考えている人は、少しでもコストを下げられるよう、分配金が出ない投資信託を選ぶというのもひとつの選択肢です。
まとめ
投資信託の分配金は、原則として利益を投資者に還元するものです。ただし、元本を切り崩して、分配金を支払っている投資信託もあるため、商品選びの際は、分配金の内容をしっかり確認することが大切です。
分配金の支払われる頻度は、商品により異なります。また、分配金を受け取るか、再投資をするかは選択できるため、投資の目的やライフプランに合わせて、上手に分配金を活用しましょう。
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