治療費は保険点数によって決まる
病院にかかったときに請求される治療費は、保険点数により決まります。保険点数は、厚生労働大臣が決定する公の価格で、2年ごとに改定されます。
治療費には医師への報酬以外にも、以下のようなものが含まれます。
- 人件費
- 医薬品費
- 医療機器、機材費
- 設備関係費
1点は10円として計算される
治療費は保険点数をもとに計算されます。保険点数1点が10円とされ、『保険点数×10円』が治療費の金額です。
負担割合は年齢によって異なる
日本の医療費制度は『国民皆保険』です。そのため、原則としてすべての国民は、何らかの公的医療保険(健康保険や国民健康保険など)に加入しています。
医療保険に加入している人は、『保険点数×10円』で算出された治療費の一部を、医療保険に負担してもらえます。そのため、治療費の全額を支払う必要はありません。
治療費の自己負担割合は、以下のように年齢により異なります。
年齢 | 自己負担割合 |
小学生未満 | 2割 |
70歳未満 | 3割 |
70歳以上75歳未満 | 2割 |
75歳以上 | 1割 |
なお、70歳以上の自己負担割合は、収入により3割負担の場合もあります。
手術の保険点数は調べられるの?
保険点数が分かれば、病気ごとのおおよその治療費を知ることができます。では、『手術をしたときの保険点数』については、誰でも知ることができるのでしょうか。
保険点数は誰でも確認できる
保険点数は、一般に開示されている情報です。『基本診療料』と『特掲診療料』に分けられ、治療内容によりそれぞれ決まっています。手術は特掲診療料にあたります。
基本診療料 | 特掲診療料 |
・初・再診料 ・入院基本料 ・入院基本料等加算 ・特定入院料 |
・医療管理料 ・在宅医療 ・検査 ・画像診断 ・投薬 ・注射 ・リハビリテーション ・処置 ・精神科専門療法 ・手術 ・麻酔 ・放射線治療 ・病理診断 |
点数表は体の部位で調べよう
保険点数は、診察や処置の内容のほか、治療をした部位によっても異なります。手術に関する保険点数表を参照するときには、手術した部位の保険点数を確認しましょう。
手術以外にどんな費用がかかるのか?
手術をしたときには、手術以外にも入院基本料や検査費用、麻酔などが加算されることがあります。
受けた手術で、どのような費用がかかったかを詳しく知りたい場合は、病院で発行される明細の点数欄を確認しましょう。
将来心配な病気の手術点数は?
保険点数は治療内容により決まっています。そのため、保険点数一覧を活用することで、万が一病気になったときの必要な費用を知ることができます。
病気を患ったときに必要となる具体的な金額を知ることで、貯めるべき貯金額や、加入する民間医療保険の給付金額を決める参考となるでしょう。
ここからは、手術に関する保険点数の1例として、乳がんと胃がん治療について紹介します。
乳がんの場合
乳がんにより、手術を受けた場合の保険点数は以下のとおりです。
手術の種類 | 点数 |
単純乳房切除術(乳腺全摘術) | 14,820 点 |
乳房部分切除術(腋窩部郭清(えきかぶかくせい)を伴わないもの) | 28,210 点 |
乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) | 22,520点 |
乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む)) | 42,350点 |
乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの | 42,350点 |
乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施するもの | 42,350点 |
拡大乳房切除術(胸骨旁、鎖骨上、下窩など郭清を併施するもの) | 52,820点 |
乳輪温存乳房切除術(腋窩郭清を伴わないもの) | 27,810点 |
乳輪温存乳房切除術(腋窩郭清を伴うもの) | 48,340点 |
出典:診療報酬改定情報
胃がんの場合
胃がんにより、手術を受けた場合の保険点数は以下のとおりです。
手術の種類 | 点数 |
胃、十二指腸憩室切除術・ポリープ切除術(開腹によるもの) | 11,530点 |
内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 1 早期悪性腫瘍粘膜切除術 2 早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術 3 早期悪性腫瘍ポリープ切除術 4 その他のポリープ・粘膜切除術 |
6,460点 18,370 点 6,230 点 5,200点 |
胃切除術(悪性腫瘍手術) | 55,870点 |
腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) | 64,120点 |
腹腔鏡下胃全摘術(悪性腫瘍手術) | 83,090点 |
出典:診療報酬改定情報
まとめ
将来必要となるかもしれない医療費への準備として、貯金や医療保険などで備えることは重要です。
治療内容や治療部位などにより、あらかじめ決まっている保険点数を活用すれば、病気になったときに必要となる治療費を知ることができます。いざというときに困らないよう、具体的な治療費を知ったうえで、備え作りをしていきましょう。