保険のクーリングオフ制度とは
クーリング・オフってなに?
特定商取引法やその他の法律に定められた消費者を守る特別な制度です。クーリング・オフは、消費者が訪問販売などの不意打ち的な取引で契約したり、マルチ商法などの複雑でリスクが高い取引で契約したりした場合に、一定期間であれば無条件で、一方的に契約を解除できる制度です。
クーリングオフは、不当な契約から消費者を守るために定められた制度で、消費者は一方的に申込の解除ができます。
保険契約をしてもやめることができる
クーリングオフは保険契約にも適用されます。ただし、クーリングオフの手続きは、保険会社の定める方法で行わなければなりません。
手続き方法が正しくないと、クーリングオフが無効となってしまうこともあるので注意が必要です。
手続きは書面での申請
クーリングオフは書面により申し込みます。書類を郵送する際には、郵便局で押される消印の日時がクーリングオフの申出日となるため、期間内に提出できるよう速やかに手続きを進めましょう。
クーリングオフの申出書に記載するべき主な項目は以下のとおりです。
- 記入日
- 契約者名・押印
- 契約者の住所
- 証券番号
- 撤回理由
記入しなければならない事項の詳細は、保険会社により異なります。書類の不備を防ぐために、あらかじめ保険会社に確認したうえで書類を作成しましょう。
また、郵送前に書類のコピーを控えとして保存しておくと、万が一トラブルが起きてしまったときにも対処できます。
申込を撤回できますか? | よくあるご質問 | 三井住友海上あいおい生命保険
期限は8日以内がスタンダード
クーリングオフの申出には期限があります。いくつかの保険会社を例にみてみましょう。
保険会社 | 起算方法 | 日数 |
アクサ生命 | 申込をした日の翌日から起算 | 8日以内 |
東京海上日動あんしん生命 | 申込日、または第1回保険料領収日のいずれか遅い日から起算 | 8日以内 |
明治安田生命 | 申込日、またはクーリングオフに関する書面を受け取った日のいずれか遅い日から起算 | 8日以内 |
上記のように8日以内を申出期限とする保険会社がほとんどですが、なかには15日を期限としている保険会社もあります。
クーリング・オフはできますか? | ネット生保のアクサダイレクト生命保険
申込を撤回できますか?
明治安田生命 | よくあるご質問 - ご契約後のお手続き・サービスについて
生命保険でもクーリングオフできる。その条件と手続きの方法とは?
クーリングオフ制度の注意点
契約した保険商品によっては、クーリングオフが不可となるケースもあります。契約した保険がクーリングオフの対象かどうかは、契約時に確認しましょう。
クーリングオフ不可となるケース
クーリングオフができないケースとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 事業のために契約した
- 法人が契約した
- 強制保険(自賠責保険など)である
- 契約するにあたり、医師の審査を受けた
- 保険期間が1年以内の保険である
- 更新や継続での契約した
「クーリング・オフ」ってできるの?|公益財団法人 生命保険文化センター
日本損害保険協会 - 損害保険Q&A - 共通 -損害保険の契約について
クーリングオフ不可の場合は解約手続きを
クーリングオフができない商品の契約をやめる場合には、『解約』をするしかありません。
クーリングオフはそもそも契約がなかったことになるのに対し、解約は一度契約したものを取りやめるという扱いになります。そのため、場合によっては、契約者が損失を被ることがある点に注意が必要です。
とくに、『養老保険』や『学資保険』など貯蓄性の高い保険では、短期の解約をすると解約返戻金(※)が少ない、もしくはほとんど受け取れない可能性もあります。解約の際は、条件などをよく確認してから手続きを進めたほうがよいでしょう。
(※解約返戻金とは、保険の契約を解約したときに、契約者に戻ってくるお金のことです)
クーリングオフした保険に再加入は可能?
一度クーリングオフをした保険に、再度加入の申込をすることは可能です。ただし、クーリングオフをする前と同じ条件で加入できるとは限りません。
新規申込扱いとなる
クーリングオフをした保険に再加入するには、新規申込扱いとなります。そのため、健康状態の審査などがある保険の場合は、審査のやり直しが行われます。
デメリットに注意が必要
クーリングオフをした保険への再加入は新規申込扱いとなるため、再申込時の年齢や健康状態により、改めて保険料や保障内容が決定されます。
そのため、クーリングオフ前よりも保険料が上がったり、保障内容が下がったりすることがあります。
また、商品によっては年齢や健康状態の制限があり、再加入できなくなるケースもあることを覚えておきましょう。
まとめ
保険の契約も、原則としてはクーリングオフの対象となります。クーリングオフをするには、申出の期限や手続き方法が決められているため、契約時に確認しておくことが大切です。
また、商品内容や申込の状況によっては、クーリングオフの対象とならないケースもあるため、あわせて契約時に確認をしましょう。
クーリングオフをした保険への再加入も可能ですが、保障内容や保険料が変わるほか、条件によっては加入不可となることもあります。
クーリングオフをするときには、保険の必要性をきちんと見極めたうえで、手続きを進めることが重要です。