自転車保険の基本知識
自転車は、車両の種類のひとつである『軽車両』に分類されます。そのため、発生した自転車事故の状況によっては、『刑事責任』と『民事責任』を負います。
刑事責任があるとされたときには、罰金や懲役が科されます。また、民事責任が認められると、被害や損害に対し損害賠償金を支払わなければならなりません。
事故の状況によっては、損害賠償金が高額となるケースもあります。そのような事態になったときの損害賠償を補償する目的で加入するのが自転車保険です。
自転車保険は必要?
自転車保険の必要性を考えるために、自転車事故における賠償金額について、過去の事例をいくつか見てみましょう。
自転車事故による賠償例
自転車事故による賠償金額の事例は、以下のようになっています。
加害者 | 被害者 | 被害状況 | 賠償金額 |
小学生 | 62歳 | 意識不明 | 9,521万円 |
高校生 | 24歳 | 重大な後遺障害 | 9,266万円 |
不明 | 38歳 | 3日後に死亡 | 6,779万円 |
このように被害の状況によっては、賠償金額が高額となるケースがあります。損害賠償を請求されたときに、支払うだけの経済的余裕や貯蓄がない人は、なんらかの保険に加入し、万一に備える必要があるでしょう。
日本損害保険協会 - SONPO | お知らせ・統計・刊行物 - 刊行物・報告書 - 防災・防犯・交通安全
加入が義務化されている自治体
警察庁のデータによると、平成29年の自転車対歩行者死亡重傷事故による、自転車運転者の損害賠償責任保険等加入状況は、事故全体の60%程度となっています。
そのため、いくつかの自治体では、損害保険の加入を義務付ける動きも出てきました。自転車保険の加入を義務付けている自治体例は以下のとおりです。
都道府県名 | 施行日 |
兵庫県 | 2015 / 10 / 1 |
埼玉県 | 2018 / 4 / 1 |
鹿児島県 | 2017 / 10 / 1 |
自分が住んでいる、もしくは自転車に乗っている地域が、保険加入の義務付けをしているかどうかは、各自治体のホームページなどで確認しましょう。
平成29年における交通死亡事故の特徴等について|警察庁Webサイト
自転車事故でも自動車保険は使える?
自転車事故への補償を備えるには、加入している自動車保険を活用するという方法もあります。
個人賠償責任特約
個人賠償責任特約は、日常生活で他人にケガをさせた、もしくは他人の物を破損してしまったときに損害賠償を補償するもので、自動車保険に付加できます。
個人賠償責任特約を付加した場合、記名被保険者(自動車保険において、主に自動車を運転するとされる人)と、その家族が補償の対象となります。
人身傷害補償
人身傷害補償とは、自動車保険に契約している車に乗っている人が、事故により死傷したときに補償を受けられるものです。なお、補償範囲は以下のとおりです。
- 自動車保険を契約している車に搭乗していたとき
- 上記の車以外の車に搭乗していたとき
- 歩行中の自動車事故
- 自転車乗車中の自動車事故
警察庁のデータによると、平成29年の自転車関連事故では、84%が対自動車だったという結果が出ています。
契約している自動車保険の人身傷害補償が、自動車との自転車事故でのケガに備えられるものか、確認しておくとよいでしょう。
自転車保険の選び方
ここからは、自転車保険の契約の際に、チェックするべきポイントを説明します。
必要な補償範囲を確認しよう
まずは誰が自転車に乗り、補償が必要なのかを明確にしましょう。
個人型か、家族型か?
自転車保険では通常、契約者の身が補償の対象となる『個人型』、夫婦2人が補償の対象となる『夫婦型』、家族が補償の対象となる『家族型』があります。
家族型は本人、および同居の子供と配偶者のほか、同居の親族や別居の子供も対象とする保険も多くあります。詳細は各商品により異なるため、契約時に確認しましょう。
家族型の保険は、一般的に人数は決められていません。そのため、家族の人数が多いほど、1人あたりの保険料は割安となります。家族が多い人は、家族型のある商品を選ぶことをおすすめします。
自転車向け保険 | セブン‐イレブンで入る保険(三井住友海上)
示談代行や弁護士相談サービスも
自転車保険に付帯していることが多いサービスは以下の3つです。
- 示談交渉サービス
- 弁護士相談サービス
- ロードサービス
相手方との話し合いを進めてくれる示談交渉サービスや、弁護士相談サービスを利用することで、事故の相手方とのトラブルや、不当な賠償金額を請求されることを防げます。
ロードサービスでは、自転車の故障やパンク・バッテリー切れなどにより、自力走行ができなくなったときに搬送依頼ができます。
ネット手続きができる自転車保険
ここからは、具体的にいくつかの自転車保険を紹介していきます。まずはインターネットで契約手続きができる商品を見ていきましょう。
手厚い補償と保険料が魅力のBycle
『Bycle』は、au損保が販売している自転車保険です。auの携帯電話の利用者は保険の加入、および保険料の支払いを、携帯電話上で簡単に完了することができます。
au以外のキャリア(ドコモやソフトバンクなど)を利用している人でも加入が可能です。補償内容は、補償額が2億円以上の個人賠償責任補償と、自転車事故を含む交通事故によるケガが対象の人身傷害補償です。
自転車保険ならau損保の「Bycle(バイクル)」|au損保
家族タイプでも保険料はリーズナブル
Bycleには、『本人タイプ』『家族タイプ』『本人・親族タイプ』があります。補償内容により保険料は変わりますが、本人タイプは月額360円、家族タイプは月額740円、本人・親族タイプは月額610円から申込が可能です。
また、2年契約をすると、1年契約よりも保険料が10%安くなるサービスもあります。
保険金額と保険料|自転車保険ならau損保の「Bycle(バイクル)」
自転車ロードサービスで万が一のときも安心
Bycleには全国にある725の拠点から、24時間365日トラブルに対応してくれる、自転車ロードサービスが付帯しています。
そのため、出先での突然のパンクやチェーン外れなどで、自力走行ができなくなってしまったときでも安心です。無料搬送の範囲は50kmまで、回数は年4回までとなっています。
補償内容とサービス|自転車保険ならau損保の「Bycle(バイクル)」
プランが豊富なネットde保険@さいくる
『ネットde保険@さいくる』は、三井住友海上が販売する自転車保険です。個人賠償責任補償は最高3億円まで補償されます。
自転車を含む交通事故による自身のケガに対しては、死亡・後遺障害保険金、および入院保険金日額が補償されます。
保険料|自転車保険(ネットde保険@さいくる)|三井住友海上
通院保障が必要ならおすすめ
自身のケガに対する補償では死亡後遺障害保険金、および入院保険金を受け取れます。また、手厚い保障内容のAコースでは、通院保険金の受取も可能です。
通院保険金日額は1,000円で、支払限度日数30日、支払い対象期間は180日です。なお、ネットdeサイクルのAコースの保険料は以下のようになっています。
プラン | 年額保険料 |
本人型 | 7,230円 |
夫婦型 | 9,980円 |
家族型 | 13,980円 |
スマ保安心さいくるで安全サイクリングを
三井住友海上では、自転車をより安全に快適に使用してもらうために、『スマ保安心さいくる』というアプリを提供しています。
『スマ保安心さいくる』には、GPSを利用した走行距離・消費カロリーの記録や、スピードの出し過ぎの警告をしてくれる運転サポート機能があります。加えて、自転車乗車時の交通ルールなどを学べる自転車クイズも楽しめます。
また、自転車の点検・整備をしてくれる自転車店や、事故・盗難時の対応手順も調べることができるため、いざというときに役立つアプリだといえるでしょう。
コンビニで手続きできる自転車保険
自転車保険の中には、コンビニで手軽に加入手続きができる自転車保険もあります。
三井住友海上の自転車向け保険
三井住友海上の『自転車向け保険』は、コンビニで加入できる自転車保険です。最高3億円の個人賠償責任補償が付いているほか、死亡・後遺障害保険金は最高290万円、入院保険金は日額4,000円が補償されます。
また、入院中の手術では4万円、入院以外での手術は2万円の手術保険金も支払われます。示談交渉サービスも付いているため、事故を起こしてしまったときでも安心です。
自転車向け保険 | セブン‐イレブンで入る保険(三井住友海上)
セブンイレブンで気軽に加入できる
自転車向け保険は、セブンイレブンで加入できます。セブンイレブンのマルチコピー機で申込をし、レジで保険料を支払いましょう。
最後に、マルチコピー機で申込控えと、重要事項の説明を印刷して受け取れば手続き終了です。
スマートフォンやパソコンで事前に住所や氏名、補償開始日などを登録しておくと、セブンイレブンでの手続きをスムーズに進められます。
保険料は個人型で年間3,990円
自転車向け保険では、補償の対象範囲により4つのプランがあります。
プラン名 | 年額保険料 |
お1人様プラン(本人型 / 本人以外型) | 3,990円 |
夫婦プラン | 5,230円 |
家族プラン | 7,210円 |
家族プランでは、『本人またはその配偶者と同居している、本人またはその配偶者の6親等内の血族および3親等内の姻族』、もしくは『本人またはその配偶者と別居の、本人またはその配偶者の未婚の子』が家族とされます。
なお、個人賠償責任補償については、すべてのプランで本人、配偶者、同居の親族、および別居の未婚の子が対象です。
まとめ
万が一、自転車事故を起こしてしまった場合、事故の状況によっては、多額の賠償金を請求されるケースもあるため、自転車保険の重要性は高まっています。
自転車保険には、ネットやコンビニで手軽に加入できるものもあります。いくつかの保険を比較検討し、自転車の利用状況などを考慮したうえで、自分に合った保険選びをすることが大切です。