生命保険解約時のペナルティの有無
『生命保険を解約すると、保険販売の外交員にもペナルティがある』と聞いたことはないでしょうか。
特に家族や親族、友人が保険会社に勤めている関係で申し込んだ保険であれば、販売した外交員にペナルティがあるかどうかは、解約の判断に影響があるかもしれません。
ここでは、生命保険を保険期間中に解約したときに起こりうる問題について、保険の外交員と契約者両方の立場からみていきます。
2年以内の解約は外交員にペナルティ
生命保険は、長期契約を基本として作られた商品です。そのため短期間(2年程度)で解約することとなった場合、生命保険を販売した外交員にペナルティが課されることがあります。
保険の外交員へ課されるペナルティは『報酬の返還』です。通常、生命保険を販売した外交員が受け取る報酬は、保険が長期契約されることを前提として計算され支払われています。
そのため、短期間で保険が解約されたときは、その報酬を返還しなければならなくなるのです。返還する金額の詳細は各保険会社により異なるため、一概にはいえません。
早期解約は契約者が損をする可能性も
生命保険にはいくつかの種類があります。なかでも貯蓄性のある『終身保険』や『養老保険』、『学資保険』などを契約している場合の早期解約には注意が必要です。
貯蓄性のある保険の場合、一般に掛け捨ての生命保険よりも保険料が高く設定されています。解約時には解約返戻金を受け取ることができますが、場合によってはそれまでに払込んだ保険料よりも少ない金額しか受け取れないことがあります。
特に短期間での解約をしたときには、解約返戻金をほとんど受け取れないこともあるので、注意しましょう。
生命保険(死亡保険)「貯蓄型・掛け捨て型」の違いは?|オリックス生命保険株式会社
クーリング・オフ制度を活用しよう
契約した生命保険によっては、クーリング・オフによる契約の解除をすることができます。
クーリング・オフってなに?
特定商取引法やその他の法律に定められた消費者を守る特別な制度です。クーリング・オフは、消費者が訪問販売などの不意打ち的な取引で契約したり、マルチ商法などの複雑でリスクが高い取引で契約したりした場合に、一定期間であれば無条件で、一方的に契約を解除できる制度です。
クーリング・オフはペナルティがない
生命保険のクーリング・オフを希望する人は、『クーリング・オフに関する書面を受け取った日』もしくは『申込日』のいずれか遅い日から、その日を含めて8日(保険会社によっては10日・15日・30日の場合もあり)以内に手続きをしましょう。
手続きは書面を保険会社に提出(郵送)して行います。クーリング・オフが認められると、保険の申込が撤回され、それまでに保険会社に払込んだ保険料は全額返還されます。
クーリング・オフによる契約の解除では、担当の外交員へのペナルティはありません。
クーリング・オフの手続きにおけるトラブルを防止するため、保険会社に書面を提出する際には、手元に書面のコピーを残しておきましょう。
Q.「クーリング・オフ」ってできるの?|公益財団法人 生命保険文化センター
クーリング・オフができないケース
生命保険の契約内容や契約状態によっては、クーリング・オフを利用できないケースもあります。
クーリング・オフができない保険契約例
- 契約にあたって医師による診査を受けた場合
- 保険期間が1年以内の契約の場合
- 保険契約者が団体等で一括式の保険証券を発行する場合
- 営業または事業のために締結する保険契約の場合
クーリング・オフができる契約の基準は、各保険会社によって異なるため、クーリング・オフを利用したい人は各保険会社に確認をしましょう。
申込みを撤回(クーリング・オフ)できますか?|よくあるご質問|オリックス生命保険株式会社
生命保険の解約を決めているなら迷わない
契約している生命保険について、必要ないと考えているのであれば、速やかに解約手続きをするべきです。なぜなら解約を先延ばしにするほど、余分な保険料を支払わなければならないからです。
生命保険の解約の仕方
生命保険の解約は、まず解約を希望していることを保険会社に伝えます。生命保険を契約した担当者か、コールセンターに連絡しましょう。その際、保険の契約内容がわかるよう保険証券を手元に用意します。
解約の申し出をしたら、保険会社から解約請求書を受け取り、必要事項の記入をしてください。解約請求書と本人確認書類の写しを保険会社に提出し、解約が認められれば手続きは完了です。
解約返戻金を受け取れる保険の場合は、返金される口座の確認を忘れずに行いましょう。
生命保険を解約する際の注意点
生命保険を解約したいときは、速やかに手続きを行うべきだと説明してきました。ただし生命保険の解約は、新たな保険を契約してからにした方がよいでしょう。
新しい保険が決まっていないにも関わらず、現在の保険を解約してしまった場合、次の保険に加入するまでの間の保障がなくなってしまいます。
また、年齢や健康状態などによっては審査に通らず、新たに保険の契約ができないということも考えられます。
無保障期間を作らず、今後の保険がきちんと確保できたタイミングで解約するようにしましょう。
保険会社の解約阻止に負けないために
前述の通り、保険を早期解約すると、保険の外交員にペナルティが課される場合があります。そのため保険の解約を申し出ても、速やかに手続きを進めてもらえないことも考えられます。
このような事態を防ぐには、『解約の申し出は担当外交員には行わない』ということがポイントです。解約の申し出は、外交員だけでなく保険会社のコールセンターでも受け付けています。
書類のやり取りも郵送で行えば、担当外交員を通さず解約の手続きを完結させることができるでしょう。
まとめ
保険の契約期間によっては外交員にペナルティが課される場合がありますが、生命保険は基本的に、契約者の希望によりいつでも解約することができます。
ただし短期間での解約では、解約返戻金をほとんど受け取れないなど、契約者にとっても不都合な点があるため、契約内容などをよく確認し、慎重に判断をすることが大切です。
解約をすると決めた後は、速やかに手続きを進めましょう。保障を途切れさせないためには、解約前に新たな保険に加入しておくことも重要です。
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