がん保険とは
がん保険とは、万が一がんにかかってしまった場合に、本人や家族の経済的負担をカバーするための保険です。まず、がん保険とはどのような保険なのかを説明します。
保障内容について
がん保険の主な保障内容は、以下のとおりです。
保障の種類 | 内容 |
診断給付金 | がん保険の最大の特徴で、がんと診断された時点で支払われる |
入院給付金 | がんの治療で入院した場合にのみ受取可能。基本的に入院日数・回数は無制限 |
手術給付金 | がんの手術をした際に受取可能。入院給付金同様、 回数は無制限 |
通院給付金 | がんの治療で通院する際に受取可能 |
これらの保障以外にも、特約を付加することで、抗がん剤・放射線・先進医療による治療の際にも給付金を受け取ることができます。
がん保険と医療保険の違い
がん保険と医療保険の違いは以下のとおりです。
- がん保険:がんに特化した保険のこと
- 医療保険:すべての病気(がんを含む)・ケガに対応する保険のこと
そもそもがん保険とは医療保険の一種で、がんに特化した保険のことです。がんの治療は長期間に及ぶことがほとんどで、治療費も高額になります。
そのため、がん保険は入院・手術給付金のほか、診断給付金や通院給付金などの手厚い保障がついているのです。
年代別のがん保険加入率
平成28年度『生活保障に関する調査』(生命保険文化センター)によると、年代別のがん保険加入率は以下の通りです。
年代 | 加入率 |
20代 | 21.8% |
30代 | 44.3% |
40代 | 44.2% |
50代 | 42.6% |
60代 | 33.7% |
表を見てもわかるとおり、20代の加入率は他の世代の半分ほどです。20代には学生も含まれており、『自分ががんにかかるかもしれない』という危機感があまりないため、加入率は低い数値に留まっています。
しかし、30代になると家庭を持つ人も増えてきます。がんにかかると、高額な治療費がかかるうえ、場合によっては仕事を続けられなくなる可能性もあります。
万が一のときの、子供の教育資金などへの不安もあり、加入率が高くなっていると考えられます。
調査結果一覧-1(Excelファイル)平成28年度「生活保障に関する調査」(平成28年12月発行)|公益財団法人 生命保険文化センター
がん保険の必要性は20代にある?
上記の表では、20代のがん保険への加入率が低いことがわかりました。しかし、本当に20代のうちはがん保険に加入しなくても大丈夫なのでしょうか?
ここでは、がん保険に加入するメリットとデメリットをご紹介します。『まだがん保険は必要ないと思っている人』・『がん保険に加入するかどうか悩んでいる人』はぜひ参考にしてください。
がん保険に加入するメリット
- 若いうちに加入した方が保険料の合計が安くなる
- 既往歴がないので加入しやすい
- 保険料の払い込み期間が長い分、生命保険の控除も長い間受けることができる
がん保険はがんの罹患率が低い20代のうちは、保険料が安く設定されています。年齢が上がるにつれて罹患率が高くなるため、保険加入時の年齢が高くなればなるほど保険料も上がってしまいます。
保険料は長い期間払い続けるものですので、20代のうちに加入しておく方が、結果的にお得になります。
また、1度大きな病気にかかると、その後はがん保険に加入できない場合や、加入できても不利な条件になる場合があります。その点、20代であれば既往歴がない人も多く、希望のがん保険に入りやすいといえます。
さらに、がん保険は生命保険の一種のため、生命保険料控除が受けられます。つまり20代のうちに保険に加入していれば、その分長い間節税ができるということです。
がん保険に加入するデメリット
- がんにかからなかった場合、結果的に損になる
- 加入できる保険が多すぎる
掛け捨てタイプのがん保険に加入した場合、実際にがんにかからなかった人は給付金を受け取ることができません。がん保険には貯蓄タイプのものもありますが、掛け捨てタイプに比べると保険料が高額なため、月々の負担が大きくなってしまいます。
また、メリットとして加入しやすい点を挙げましたが、それはデメリットにもなり得ます。加入の際に何の制約もないので、選びたい放題になってしまうのです。選ぶものが多すぎて選びきれず、結局加入しないということにつながってしまいます。
20代のうちは『給料がそれほど高くなく、預貯金も多くはない』ということがほとんどです。がん保険はがんにかかった際の金銭的負担をフォローするためのものです。その保険が負担にならないよう、慎重に選ぶ必要があります。
加入前に考えるべき注意点
がん保険に入る前の注意点について見ていきましょう。
保障を受けられない免責期間がある
免責期間はがん保険特有のものです。一般の医療保険では、1回目の保険料を支払うと保障が開始されることがほとんどです。
しかし、がん保険では保険料の支払いが完了してから90日経過しなければ、保障が開始されません。もし90日間のうちにがんと診断された場合は、がん保険への加入が無効となってしまいます。
診断給付金の受け取り条件を確認する
がんと診断されたときに受け取れるのが『診断給付金』です。しかし、がんにかかれば必ず受け取れるかというと、そうではありません。初めてがんと診断された場合にしか給付されない商品も多くあります。
再発や転移など、2回目以降のがん診断でも受け取れるものもありますが、『入院が必要な場合』・『前回の治療終了後、2~5年経過している場合』などの条件があります。
『がんと診断されたのに診断給付金が受け取れない』という事態に陥らないためにも、加入前に条件を必ず確認しましょう。
上皮内がんの扱いは保険により異なる
上皮内がんとは、がん細胞が臓器表面の上皮にとどまっている、初期状態のがんのことを指します。
しかし、上皮内がんはがんの一種であるにも関わらず、給付金の対象とならない場合がありますので注意が必要です。また、給付金の対象となっている場合でも、給付金の一部しか受け取れない保険もありますので、加入の際には確認しておきましょう。
まとめ
がんのリスクが身近に感じられない20代のうちは、がん保険にはあまり関心がないかもしれません。また、がん保険の早期加入にはデメリットもあるため、加入を先延ばしにすることもあるでしょう。
しかし、20代であっても、がんにかかる可能性はゼロではありません。1度がんにかかってしまうと、がん保険に加入することは難しくなります。
がん保険は、がんになってしまった本人とその家族を支える保険です。加入する際は、内容を確認して自分に合ったものを選びましょう。