保険金請求の流れ
保険金を請求するには、まず保険会社に連絡し保険金請求の際に必要となる書類をまとめ、保険会社に提出します。保険金請求書以外にも医師による診断書の提出が必要となることもあるため、計画的に準備を進めることが大切です。
保険証券で契約内容を確認
生命保険の契約をすると、保険の内容と保障を受ける条件が明記された『保険証券』と『ご契約のしおり・約款』が交付されます。
生命保険金を請求したいときには、この『保険証券』と『ご契約のしおり・約款』で契約内容をしっかり確認しましょう。内容に不明点がある場合は、保険会社に相談することも可能です。
保険会社または代理店へ連絡
保険証券やご契約のしおり・約款の確認が済んだら、保険会社の営業所や代理店、コールセンターに保険金請求の連絡をします。保険金の請求ができるのは、原則として保険金受取人のみです。
保険証券を手元に用意して問い合わせをすると、スムーズにやり取りを進められます。保険金の請求時に、保険会社から受ける主な質問は以下のとおりです
- 保険証券番号
- 死亡した人の名前
- 死亡日、および死亡原因(病気 / ケガなど)
- 保険金受取人の名前、および連絡先
『保険証券』を紛失してしまったとしても、保険金が受け取れなくなるわけではありません。保険金受取人が保険会社に連絡し、紛失してしまった旨を伝えましょう。
請求書類を提出
保険会社に保険金請求の連絡をした後は、保険金請求書類を提出しなければなりません。保険会社所定の保険金請求書は、郵送で受取るか保険会社のホームページからダウンロードして用意します。
保険金請求書が届いたら、必要事項を記入しその他必要書類と併せて速やかに保険会社に提出しましょう。保険会社が書類内容の確認と支払可否の判断を行い、支払い相当と判断されれば、保険金が支払われます。
請求のための必要書類
保険金を請求するときには、保険会社所定の保険金請求書と共に、その他必要書類も提出しなければなりません。具体的には、どのような書類が必要なのかみていきましょう。
死亡保険金と給付金で異なる
死亡保険金請求時の主な提出書類 | 給付金請求時の主な提出書類 |
保険証券 | 保険証券 |
死亡保険金請求書 | 給付金請求書 |
保険金受取人の戸籍謄本(抄本) | 入院・手術等診断書 |
保険金受取人の印鑑証明 | 事故状況報告書(災害入院給付金請求時のみ) |
被保険者の住民票 | |
死亡診断書(死体検案書) | |
事故状況報告書(災害死亡保険金請求時のみ) |
死亡保険金の場合は、給付金請求書や入院手術等の診断書などだけで請求することができる『給付金』とは異なり、戸籍謄本や印鑑証明といった公的な書類が必要です。
請求書類の準備・提出|保険金・給付金の請求から受取りまでの手引|JILI
診断書は保険会社指定のものを
保険金や給付金を請求する際に提出する死亡診断書は、保険会社指定のものを使用しなければなりません。診断書料は病院により異なりますが、一般診断書に比べて、保険会社指定の診断書のほうが料金が高い傾向にあります。
病院名 | 一般診断書 | 保険会社指定診断書 |
三井記念病院 | 4,320円 | 10,800円 |
昭和大学病院 | 3,240円 | 5,400円 |
横浜市立みなと赤十字病院 | 2,700円 | 5,400円 |
入院費用について|入院・お見舞い|社会福祉法人 三井記念病院
文書料について(診断書・証明書等)|昭和大学病院
横浜市立みなと赤十字病院
海外の病院の場合は英語診断書が必要
生命保険の被保険者が海外で死亡した場合、現地の病院で作成された死亡診断書、もしくは死体検案書が必要です。
海外からでも繋がるコールセンターを用意している保険会社もあるので、手続きに不安があるときには、各保険会社に相談するとよいでしょう。
海外で被保険者が死亡した場合、保険金請求はどうすればよいですか?|よくあるご質問|日本生命保険相互会社
被保険者が海外渡航中に死亡した場合、保険金の請求はどうすればよいでしょうか?|よくあるご質問|第一生命保険株式会社
簡易請求であれば領収書のコピーでも可能
医師の診断書が不要な保険金や給付金の請求方法が、『簡易請求』です。診断書の代わりに、入院費などの領収書のコピーで請求手続きを進められるため、診断書作成にかかる手間や、作成料の負担を軽減できます。
簡易請求できる保険の種類や条件は、各保険会社によって異なります。加入している保険が簡易請求の対象となっているかどうかは、保険会社に確認するようにしましょう。
「入院・手術等証明書(診断書)」の提出を省略できる条件について|オリックス生命保険株式会社
いつ支払われるのか
保険の請求手続きが終了しても、保険金は即日支払われるわけではありません。
5日程度の保険会社が多い
保険金が支払われるのは、『保険金請求書類が保険会社に到着した翌日から起算して5営業日程度』としている保険会社が多いです。
ただし、請求書類に不備があったときや、保険会社による書類内容の確認や照会、調査を必要とするときには、支払いまでの日数が長くなることがあります。
保険金の支払いが、保険会社所定の支払期限を過ぎてしまったときには、遅延利息が支払われるケースもあります。
保険金・給付金の請求について|よくあるご質問|メットライフ生命
請求期限はあるのか
保険金の請求には時効があります。保険会社が保険の支払いを決定するには、支払い事由についての確認や調査が不可欠ですが、事由の発生から長い時間が経過してしまうと、その調査が難しくなるからです。
時効は3年
(消滅時効)
第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、三年間行わないときは、時効によって消滅する。
保険法の定めによると、保険金の請求は3年以内に行う必要があります。この場合の3年とは、支払い事由が生じた日(被保険者が死亡した日)の翌日から起算して計算します。
諦めずに保険会社へ問い合わせ
保険金の受取人が被保険者の死亡した事実を知らなかった場合などは、保険金請求の時効を過ぎても、保険金が支払われることがあります。
保険金未請求の生命保険があるときには、諦めずに保険会社のカスタマーセンターに連絡をしてみましょう。
また、万が一のときに遺された家族がきちんと生命保険を受取るためには、対策作りが必要です。
- 保険の内容や保険金の受取人などについて、家族間で情報を共有する
- エンディングノート(※)を作成する
- 保険証券を分かりやすく整理し、決まった場所に保管する
※エンディングノートとは、万が一に備えて自分の希望(病気治療や葬儀の方針など)や、重要な事項(財産に関することなど)を記しておくもののことです。法的効力はなく、死後の手続きにかかる家族の負担軽減が目的で作られます。
知っていると便利なポイント3つ
保険金や給付金には、より便利に受け取れる請求方法があります。ここでは、3つのポイントを紹介します。すべての保険で適用されるわけではないですが、保険金や給付金の請求を検討している人は、チェックしてみましょう。
長期の入院は入院中の請求も可能
医療保険やがん保険などの入院給付金は、支払対象となる入院日数を過ぎていれば、入院中でも請求が可能です。これにより、入院中に必要な費用の一部を、給付金で補てんすることができます。
入院中に給付金請求をした場合に支払われるのは、請求をしたときまでの保障分です。それ以降の入院に対する給付金は、後日改めて請求しなければなりません。
入院給付金を複数回に渡り請求するときには、その都度医師による診断書(有料)が必要となります。
また、入院中に被保険者が保険金請求の意思表示ができないときには、『指定代理請求制度』を利用すると、契約者があらかじめ指定した代理人が被保険者に代わって、入院給付金を請求できます。
入院中でも、入院給付金を請求できますか?| よくあるご質問 | 日本生命保険相互会社
保険金等の請求に関する特則について | 日本生命保険相互会社
ネットで請求ができる保険会社も
保険会社によっては、保険金や給付金の請求をインターネット上で受け付けています。請求書の取り寄せ申請のみをインターネットで行えるだけでなく、請求の手続きすべてをインターネットで完結できる保険会社も出てきました。
この場合、基本情報や必要事項を入力し、必要書類の画像をアップロード、および送信することで手続きが終了します。
インターネットでの手続きは、時間や曜日に関わらず手続きができるほか、郵送による書類のやり取りがないため、支払いまでの所要日数が削減されます。
自分の加入している保険が、インターネット請求の対象となっているかどうかは、保険会社に確認するとよいでしょう。
複数社への請求はコピー可の場合も
同一の事由により、複数の保険会社に保険金や給付金を請求する場合には、医師による診断書はコピーでも可能とされることがあります。
前述のとおり、診断書の作成を依頼するには費用がかかるため、コピーを利用することができれば、コストの軽減になります。
しかし、保険会社や商品によっては、コピーでは認められないこともあります。せっかく提出した書類が不備となることがないよう、コピーを使用するときには保険会社への事前の確認が必要です。
給付金請求の際に提出する診断書はコピーでもいいですか? | チューリッヒ生命
給付金請求で提出する診断書はコピーでもいいですか?| よくあるご質問 | 日本生命保険相互会社
まとめ
保険金や給付金の請求をするためには、いくつかの書類を集める必要があるため、速やかに手続きを進めることができるよう、日ごろから知識を持っておくことが大切です。
何か合ったときに慌てなくてすむよう、自分の加入している保険内容について、この機会に家族と確認をしてみてはいかがでしょうか。