がんになったときのシミュレーション
ひとことで『がん』といっても、がんを患っている部位により治療の仕方が違います。また、進行度合いによってもかかる治療費が異なります。ここでは、実際にかかる費用についてみてみましょう。
気になる治療費と入院費
がん治療には、手術・化学療法(抗がん剤やホルモン剤)・放射線治療・免疫療法・先進医療などの治療があります。がん治療は、がんの種類や治療方法によって、費用に大きな差がでます。
厚生労働省保険局の『平成27年度医療給付実態調査報告』により、がんの中で死亡率が高い種類の入院費を確認すると、以下のとおりです。
がんの種類 | 入院費(全額) | 入院費(3割負担) |
胃がん | 61万3,638円 | 18万4,092円 |
結腸がん | 59万4,476円 | 17万8,343円 |
直腸がん | 72万7,702円 | 21万8,311円 |
肝がん | 58万3,923円 | 17万5,177円 |
肺がん | 64万2,603円 | 19万2,781円 |
乳がん | 55万1,845円 | 16万5,554円 |
入院費の自己負担額をみると、20万円前後で済みそうですが、全額自己負担となった場合は、おおよそ55~72万円の治療費が必要となります。
保険適用外の治療とリハビリでの出費
がん治療は、保険適用外の治療が少なくありません。国内未承認の抗がん剤を使用した化学療法などは、1カ月で100万円以上と高額になることもあり、すべて自己負担になります。
また最近では、治療後のがん患者に対して痛みやだるさを和らげ、生活の質を上げるために『外来リハビリ』の必要性が挙げられています。外来リハビリの費用は一部を除き公的保険の適用外になります。
再発しやすいガンとは
がんの種類によっては、再発しやすいがんや転移しやすいがんというものがあります。転移・浸潤しやすいがんには、乳がん・すい臓がん・卵巣がん・スキルス胃がんなどがあげられます。
転移・浸潤しやすいがんは、再発しやすいがんでもあります。上記の他、肝臓がんや食道がん・膀胱がんなどが再発しやすいと言われています。
この中でも肝臓がんは特に再発率が高く、手術を受けても3年以内に46~55%で再発の恐れがあるとされています。
がん保険の一時金の必要性
一時金はがん保険の中で基本となる保障で、がんと診断された場合に受け取れる給付金です。一般的には『がん診断給付金』と呼ばれことが多いです。
がんと診断されたときに受け取れるお金
がん診断給付金は支払基準が明確で、一時金で受け取れることが利点です。がんと診断確定された時点で給付金が下りるので、他の給付金より早い段階で受け取ることができます。
また、使い道に決まりはないので、治療費以外のものにあてたり、収入が減った場合の補てんに使ったりすることもできます。
一時金は最低でもいくら必要?
上記『平成27年度医療給付実態調査報告』より、治療費の自己負担額は20万前後です。治療費以外の費用も考えると最低50万円は必要です。
ただし、がんは手術などを終えた後に、抗がん剤治療などを継続する場合も少なくありません。このようなことから、一時金は100万円程度を目安にするとよいでしょう。
一時金を見据えたおすすめのがん保険
がんの一時金保障は、がん保険によって主契約の場合と、特約で付加する場合がありますが、ほぼすべてのがん保険に付いています。
100万円を設定できるがん保険
がんの一時金は100万円を基本プランとして扱っているところが多く、保険料水準も月数千円と手ごろです。できれば、上皮内新生物(初期がん)も悪性新生物(がん)と同額保障されるところを検討してみるとよいでしょう。
オリックス生命『Believe[ビリーブ]』は主契約の診断一時金に、入院給付や手術給付などが付いたパッケージタイプで、上皮内新生物も同額保障されます。
また、保険料が比較的安く、がんと診断されてから入退院までの保障が手厚いので、保険料のコストを抑えつつ、がん保障を備えたい人におすすめです。
300万円を設定できるがん保険
一時金は100万円が目安と先述しましたが、高度な治療は保険が使えず高額になる恐れがあります。そのため、100万円で不安な場合は、300万円程度まで視野に入れておいてもよいでしょう。
FWD富士生命『新がんベスト・ゴールドα』は、悪性新生物初回診断一時金特約があり、主契約である悪性新生物診断給付金と合わせて、300万円の範囲内で設定できます。
2回目以降や受け取れる回数に注意
保険商品によっては、1回しか一時金が支払われないものもあれば、無制限に支払われるものもあります。また、2回目以降の給付条件が異なるものもあります。この違いは、実際がんになったときの給付の受けやすさにつながります。
がんは一度治っても再発する恐れがある病気です。一時金の支払回数が多いものや無制限のものは、備えとしてはかなり安心です。
まとめ
がんの一時金は、がんと診断確定すれば受け取れるシンプルな保障です。支払基準がわかりやすく、使い道も自分で選択できます。
治療費とその他の費用を考え、100万円程度を目安に一時金を設定してみるとよいでしょう。より保障を充実させたい場合は、一時金を増額するのもひとつの方法です。