終身保険に満期はない
終身保険は貯蓄性があると聞いて、満期があって満期保険金が支払われると勘違いしている人もいます。しかし、終身保険には満期がないほか、満期保険金もありません。
終身保険とはどのような保険なのかをより理解するために、以下に終身保険の特徴を挙げていきます。
保障は一生涯続く
いったん加入すれば、途中で解約や失効がない限り、加入時の保障が一生涯続きます。
例えば、30歳時に1,000万円の終身保険に加入した場合、一生涯1,000万円の保障が続くということです。
保険料払込に満了がある
終身保険に関するよくある誤解のひとつに、終身保険は保障だけでなく保険料の支払いも一生涯続くというものです。
終身保険は保障は一生涯続きますが、保険料の払込は終身払い以外にも、短期払いを選べます。
払込の種類は保険会社によって異なりますが、一般的には55歳払済・60歳払済・65歳払済・70歳払済・終身払いが主流です。
例えば、サラリーマンで定年が65歳だから、保険料の支払いも65歳で満了するように設定することも可能です。
満期金はないが解約返戻金がある
前述のとおり、終身保険には満期がないため満期保険金はありませんが、解約返戻金(解約したら戻ってくるお金)はあります。
しかし、加入して数年しか経過していない場合は、解約返戻金はほとんどありません。
解約返戻金が貯まってくるのは、加入年齢や保険料の払込期間にもよりますが、加入後約10年~15年以上経過してからとなります。
解約返戻金の上手な受け取り方
解約返戻金の貯まり方には前述のような特徴があるため、上手に受け取るにはタイミングを計ることが大事です。
払込満了後が満期後にあたる
多くのケースで、保険料の払込が満了する時点では、解約返戻金は支払った保険料総額と同じかそれ以上の金額が貯まっています。
そして、それ以降は、保険料の支払いはない上に、解約返戻金は銀行預金のように増えていきます。
保険料の払込満了前に解約すると、損をする可能性が高い傾向にあります。しかし、払込満了後であれば、いつ解約をしても支払った保険料以上に戻ってきます。そのため、払込満了後は自由満期の保険であるとも言えます。
年金の形で受け取る事も可能
終身保険の解約返戻金は解約をして一括で受け取る以外にも、一生涯続く死亡保障のかわりに、解約返戻金を原資とする年金に移行して受け取ることもできます。
方法は2つあり、1つは全て年金に移行する方法です。もう1つは部分的に年金に移行する方法です。
全て年金に移行する場合は、年金移行以降の保障はなくなります。一方、部分的に年金に移行する場合は、年金移行部分以外は一生涯の保障が残ります。
例えば、1,000万円の終身保険に加入していて、60歳時に半分年金に移行する場合は、60歳時の解約返戻金の半分を原資にします。
解約返戻金の半分は年金方式で受け取りつつ、残りの半分、すなわち500万円の終身保障はそのまま継続という形もとれます。
見直しも選択肢に
終身保険は一生涯の保障があることに加えて、貯蓄性もある優れた保険ですが、その分ほかの保険と比べると保険料が高いのがデメリットです。
保険は期間が長い金融商品ですから、加入時には保険料を支払えても、収入が減ったり、家族が増えて可処分所得が減ったりといったさまざまな変化により、保険料の支払いが困難になることもあります。
そのような場合には、保険料と保障を見直すことも選択肢に入れたほうがよいでしょう。
払込期間や保険金額の見直しができる
保険料の支払いが困難であれば、保険金額を減額することで保険料を下げられます。
例えば、1,000万円の終身保険に対して月払保険料を25,000円払っているとしたら、保障額を1,000万円から半分の500万円に減額します。
そうすることにより、保険料を12,500円に下げられます。(例示の保険料はあくまで目安であり、保険会社によって保険料は異なります)
また、これから終身保険に加入しようと思っているものの、保険料が高くて加入を迷っているという場合は、保険料の払込期間を長くすることで、月払や年払の保険料を下げられます。
例えば、1,000万円の終身保険で保険料の払込が60歳の場合、月払保険料が約22,000円だとします。払込を65歳にすると、同じ1,000万円の終身保険の月払保険料は、約19,000円に抑えられます。
どうしてもお金が必要なら貸付利用
一時的に金が必要な場合は契約者貸付を利用できます。契約者貸付は解約払戻金の一部を借り入れできる制度です。
返済については、自分の都合で返済のタイミングや返済額を決められます。金利分だけ返済して、元本は借りたまま保険を継続することも可能です。
ただし、万が一返済できない場合は、保険契約が失効する可能性があるので注意が必要です。
まとめ
終身保険の2大特長は、一生涯の保障と貯蓄性です。加入後短期間で解約すると、ほとんど解約返戻金はありませんが、一般的に保険料の払込満了後は、支払った保険料総額以上の解約返戻金があります。
また、一時金で受け取るなり、年金方式で受け取るなり、自由に決められます。しかし、保険料が高いのがデメリットで、長い保険期間の間には、保険料の支払いが困難になることもあります。
その場合には、保険金額の見直しや契約者貸付で対処することが可能ですので、解約せざるを得なくなる前に対処することをおすすめします。