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遺留分減殺請求を行うには?手続きや流れを詳しく解説します

遺産相続の際、故人の遺言などによって遺留分の権利が侵害されたときには、遺留分減殺請求によって遺留分を請求することが可能です。本記事では、遺留分減殺請求ができる親族の範囲や手続きの流れなどについて解説します。

この記事の目次

遺留分減殺請求について

親族が亡くなったとき、遺産相続が発生することがあります。このとき、特に何もなければ法定相続人(※1)が法定相続分(※2)通りに遺産を分割して相続しますが、故人が遺言書などを残している場合は、その内容が優先されるのが基本です。

ただし、遺言が誰か1人にだけ遺産を相続させるなど、遺留分を侵害する内容だった場合、法定相続人は『遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)』ができます。

遺留分減殺請求とは何なのか、概要や対象者について見ていきましょう。

(※1.法定相続人とは、民法で規定された相続人のことです)

(※2.法定相続分とは、民法で規定された各相続人の遺産分割の割合です)

No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

遺留分とは

『遺留分』とは、法定相続人に対し、法律によって保障された相続割合のことです。仮に、遺言に遺された人物が親族でもない他人で、100%遺言書通りに相続が行われると、遺族がその後の生活に困る可能性があります。

そのような事態を避けるために、一定の割合は遺産を相続できるよう、法律によって定められているのです。

遺留分とはなんですか?| よくある質問 | 茨城司法書士会

侵害された遺留分を請求できる権利

法定相続人には、遺言などによって相続の権利が侵害された場合に、侵害された遺留分を請求できる権利も認められています。この侵害された遺留分を請求することを、『遺留分減殺請求』といいます。

遺留分減殺請求は法定相続人であれば誰でもできるわけではなく、対象者が決まっているので注意しましょう。

請求できる人

遺留分減殺請求ができるのは、法定相続人のうち『故人の配偶者』『故人の子ども』『故人の直系尊属』に限られます。

直系尊属とは、自分と血のつながりがある父母、または祖父母です。養子の場合は、養父母も含まれます。叔父叔母や配偶者の父母・祖父母などは含まれません。

神戸市:遺言・相続について (Q&A)

兄弟は対象外

故人の兄弟姉妹は法定相続人に含まれていますが、遺留分はありません。よって、遺留分減殺請求の対象外です。兄弟姉妹に遺留分がない理由は、他の法定相続人と比較して一番故人との関係性が遠いことが理由です。

法定相続人は、第1順位・第2順位・第3順位に分かれており、第1順位から順に優先して相続が行われます。(※)

  • 第1順位:故人の子ども
  • 第2順位:故人の直系尊属
  • 第3順位:故人の兄弟姉妹

故人と関係性の遠い人物が遺留分を請求し、故人の遺言に反することがないようとの配慮から、兄弟姉妹は除外されています。

(※故人の配偶者は、相続において常に最優先されます)

請求できる期限

遺留分減殺請求は、『相続があったことを知った日から1年間』が期限です。期限までに請求しなかった場合、遺留分を相続する権利は消滅します。

また、相続があったことを知らなかった場合でも、相続開始から10年経過すると、時効によって権利が消滅するので注意しましょう。

神戸市:遺言・相続について (Q&A)

遺留分減殺請求の方法

遺留分減殺請求はどのように行うのか、基本的な方法を紹介します。

内容証明郵便を相手方に送付

遺留分減殺請求をする際には、まず遺留分の権利があることを主張する必要があります。とくに方法が決められているわけではありませんが、内容証明を相手方に郵送するケースが一般的です。

内容証明とは、送付したものの『内容・時期・送付元・送付先』を、日本郵便が証明する制度のことです。

内容証明を送付しておくと、遺留分を主張しても相手方が応じてくれず、法的手段を取ることになった場合に、遺留分の権利について意思表示をしていたことの証明になります。

口頭や電話などでは証拠が残らず、相続を知った日から1年以内に請求がなかったと主張される可能性があるので、内容証明でなくても何らかの証拠が残る形をとりましょう。

内容証明 - 日本郵便

話し合いをする

相手と直接話し合いをするのも、遺留分減殺請求のひとつの方法です。しかし、当事者同士では話がまとまらないケースも多く見られます。

なかなか話が進まないとき、遺留分について知識が足りず、自分でどのように交渉すればよいのかわからないときなどは、弁護士に代理人になってもらうとよいでしょう。話し合いの結果、お互いに合意に至った場合は、合意書を作成して遺留分を受け取ります。

なお、弁護士に依頼すると、当然弁護士報酬が発生します。弁護士報酬がいくらかかるのかは弁護士によって異なるため、事前に報酬について確認しておきましょう。

調停および訴訟

内容証明や話し合いで解決しない場合は、調停・訴訟といった法的手段をとることになります。

  • 調停:双方の間に裁判官1名、調停員2名が入り、話し合いによって問題の解決を図る方法。裁判はない
  • 訴訟:問題について裁判所に訴え、双方から提出された資料などから、裁判所が強制的に判断を下す方法

基本的な流れとしては、まず家庭裁判所に調停を申し立て、調停による解決を図ります。それでも解決できない場合には、訴訟を起こして裁判によって問題を解決します。

遺留分減殺請求の訴訟は刑罰などと関わりがないため、私人同士の問題を解決する民事訴訟です。民事訴訟では弁護士を立てる義務はありませんが、法的な知識が必要であるため、弁護士に依頼するのが一般的です。

請求から遺留分が得られるまで

遺留分減殺請求から遺留分の獲得までの期間や費用はどれくらいかかるのでしょうか。

期間はどのくらいか

遺留分減殺請求から遺留分の獲得までの期間は、人によって大きく異なります。内容証明の時点で応じてもらえることもあれば、解決できずに訴訟まで行く場合もあるためです。

仮に、調停を起こしたとして、解決しなければ10回以上も調停が続くこともあります。平日に月1回、2時間程度の時間が取られるので、回数を重ねると双方に負担がかかってくるでしょう。

そのため、調停が5、6回続いた時点で、調停による解決がむずかしいとして、訴訟を勧められることが多くあります。

複数回の調停から訴訟に進めばそこからさらに時間がかかるため、調停や訴訟になった場合は、相当な期間がかかる可能性があることを理解しておきましょう。

費用はどのくらいかかるか

遺留分減殺請求にかかる費用も、人それぞれ異なります。例えば、内容証明の送付だけの場合は、数百円程度で済むでしょう。調停になった場合は、以下のような費用がかかります。

  • 収入印紙代:1200円
  • 連絡用の郵便切手代:家庭裁判所によって異なる

訴訟を起こした場合も、収入印紙代と郵便切手代が必要です。ただし、収入印紙代が、遺留分の価額によって決まります。

遺留分の価額 収入印紙代
100万円以下 10万円につき1000円
100万円超 500万円以下 20万円につき1000円
500万円超 1000万円以下 50万円につき2000円
1000万円超 10億円以下 100万円につき3000円

弁護士を立てた場合は、上記と別に弁護士報酬が発生します。

生前贈与は遺留分減殺請求できるのか

人によっては、相続税対策などのために資産を生前贈与している場合があります。生前贈与された資産について、遺留分減殺請求はできるのでしょうか。

相続開始前1年以内に贈与されたものは対象

生前贈与された資産のうち、相続開始前1年以内に贈与されたものについては、遺留分減殺請求の対象に含まれます。

また、1年以上前に生前贈与された資産であっても、贈与者と受取人双方が、遺留分を超える範囲の贈与が行われていることを把握していた場合は、遺留分減殺請求の対象です。

贈与が特別受益になる場合も対象

生前贈与された資産が『特別受益』に該当する場合、その資産は遺留分減殺請求の対象になります。

相続人の誰かが特別受益を受けていた場合、残った遺産を平等に分割すると、その他の相続人との間に不公平が生じるためです。

特別受益とは

『特別受益』とは、故人から生前にまとまった額の現金や不動産などを受け取っていたり、遺言に遺産の一部を特定の人に遺贈するよう記載されていたりすることをいいます。特別受益とみなされるのは、以下に該当する場合です。

  • 受益者が法定相続人である
  • 生計・婚姻・養子縁組などのための生前贈与、遺贈である

大学進学のため学費を出してもらった、家を建てるときに援助してもらったなどのケースが該当します。自分が受け取った資産が特別受益に該当するか判断できない場合は、弁護士などに相談しましょう。

遺留分の計算の仕方

遺留分がいくらくらいあるのか、計算の仕方を知っておきましょう。

認められる遺留分の割合

遺留分の割合は、故人との関係性や相続人の人数などによって法律で定められています。

相続人 法定相続分 遺留分
配偶者のみ 全額 配偶者1/2
子どものみ 全額 子1/2
直系尊属のみ 全額 祖父母1/3
兄弟姉妹のみ 全額 -
配偶者と子 配偶者1/2・子1/2 配偶者1/4・子1/4
配偶者と直系尊属 配偶者2/3・直系尊属1/3 配偶者1/3・直系尊属1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4・兄弟1/4 配偶者1/2

基礎財産を計算する

遺留分の金額を算出するためには、まず『基礎財産』を計算する必要があります。基礎財産とは、相続によって相続人に受け渡される財産のすべてです。

現金や不動産などのプラスの財産(積極財産)だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。相続において、プラスの財産のみを相続することはできません。

プラスの財産を相続する際には、必ずマイナスの財産も相続しなくてはならないので、相続の手続きの前にマイナスの財産がプラスの財産を超えていないか確認しましょう。基礎財産の計算式は、以下の通りです。

  • 基礎財産=相続開始時における故人の積極財産+贈与財産-相続時における故人の相続債務

遺留分の計算式

基礎財産が計算できたら、そこから遺留分の金額を算出します。遺留分の計算式は、以下の通りです。

  • 遺留分の金額=基礎財産×個別的遺留分

個別的遺留分は、以下の式で計算します。

  • 個別的遺留分=遺留分の割合×法定相続分の割合

遺留分減殺請求されたら

相続があった場合に、自分が遺留分減殺請求をされる側になる可能性もあります。もし、遺留分減殺請求をされたら、どのように対応すればよいのでしょうか。

請求されたら拒むことはできない

遺留分は、相続人に法的に認められた権利です。よって、遺留分減殺請求をされた場合、拒否することはできません。

たとえ、故人と疎遠であったり、トラブルが起きていたりしても、法的な権利であるため個人間の事情、感情は考慮されないのです。

ただし、相手方が正当な遺留分を超えた主張をしている場合などは、相手方の主張に根拠がないことを証明できれば拒否できます。

時効になっている場合は安易に交渉しない

すでに時効になっている遺留分の請求については、安易に交渉しないことが大切です。相手の請求を認めると、法的手段を取られたときに不利になる可能性があります。対応に困った場合は、やはり弁護士などに相談するのがおすすめです。

遺留分は放棄できる

遺留分を相続する権利がある相続人は、必ず遺留分を相続しなければならないわけではありません。

相続時のトラブルを避けたい、相続の手続きが面倒など、何らかの理由で遺留分を相続したくない場合は、遺留分を放棄できます。

ただし、遺留分を放棄するにも手続きが必要です。ここでは、遺留分放棄の手続きや必要書類を紹介します。

裁判所|遺留分放棄の許可

家庭裁判所の許可の審判が必要

遺留分を放棄する場合、家庭裁判所で『遺留分放棄許可の審判申立』という手続きをして、裁判所の許可を取る必要があります。遺留分は、遺言などによって相続で優遇された人にとって、相続財産を減らすものです。

そのため、遺留分の相続の権利を有する人に嘘の情報を伝えたり、放棄を強要したりといった悪質な行為を働くケースがあります。

それを防止するために、相続人の意思で遺留分を放棄するのかどうかを、裁判所がチェックするのです。以下のようなことを確認されるので、スムーズに答えられるよう準備しておきましょう。

  • 間違いなく本人の意思で遺留分を放棄するのか
  • 遺留分放棄の代償を得ているかどうか
  • 放棄の理由が合理的で必要性のあるものかどうか

放棄の手続き

遺留分放棄許可の審判申立の手続きができるのは、被相続人(※1)の住所地を管轄する家庭裁判所です。遺留分を放棄する人の住所地の家庭裁判所ではないので注意しましょう。

また、原則として相続開始前、つまり被相続人の生存中に手続きを済ませる必要があります。手続きは以下の流れで進めましょう。

  1. 遺留分放棄許可の審判申立に必要な書類をそろえる
  2. 必要書類と収入印紙(800円分)を家庭裁判所に提出し、申し立てをする
  3. 申し立てが受理されると、家庭裁判所から審問期日が通知される
  4. 審問期日に家庭裁判所に出向き、審問(※2)を受ける
  5. 申し立てが認められ、遺留分放棄の許可が下りたら証明書の発行を申請する
  6. 証明書を受け取り、その他の相続人に共有する

(※1.被相続人とは、相続財産の持ち主のことです)

(※2.審問とは、裁判所による事実確認や聞き取りのことです。刑事事件の尋問などのような、厳しいものではありません)

申し立て時の必要な書類

遺留分放棄許可の審判申立の際には、以下の書類が必要です。

  • 申立書
  • 被相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)

状況に応じて上記以外の書類の提出を求められることがあるので、都度確認しましょう。上記のうち、『申立書』は遺留分放棄許可の審判申立において、とくに重要な書類です。

申立書には、遺留分を放棄する理由と被相続人の財産目録を記入しますが、感情的な理由を書くと、合理的で必要性のある理由と認められない可能性があります。

生計が安定していて遺産が必要ない、被相続人から多額の資産をすでに受け取っているなど、合理的と判断される内容を記入することが重要です。書き方がわからない場合は、申立書の記入例を参考にするとよいでしょう。

裁判所|遺留分放棄の許可の申立書

まとめ

遺産相続の際に故人が遺言などを残していた場合は、その内容が優先されるのが基本です。しかし、特定の人物のみに遺産を相続することなどという内容であった場合、遺族がその後の生活に困る可能性があります。

そのような事態を避けるために、兄弟姉妹を除く法定相続人には、『遺留分』という遺産のうち一定の割合を相続する権利が法的に認められています。

遺留分を侵害した相続があった場合には、遺留分減殺請求をすることで、遺留分の相続ができるでしょう。

遺留分減殺請求は相手方への内容証明の送付や話し合いでの解決を目指しますが、解決しない場合は調停や訴訟といった法的手段が必要になることもあります。遺留分の請求には時効があるので、速やかに対処しましょう。

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