日帰り入院ってどういうこと?
病気やケガの治療のために、『日帰り入院』をしなければいけないことがあります。しかし、その日のうちに家に帰る点では通院と変わらないように見えるでしょう。
まずは、日帰り入院と通院は何が違うのか説明します。さらに、病院と保険会社が認める日帰り入院の条件について、それぞれ見ていきましょう。
通院との違い
日帰り入院と通院には、以下のような違いがあります。
日帰り入院 | 通院 |
・入院と退院が同日である ・入院費の支払いが発生する |
・外来で医療機関を受診し、その日のうちに帰宅すること ・外来の受診料が発生する |
日帰り入院も通院も当日帰宅する点では同じですが、日帰り入院は在院時間が短時間でも入院費が発生します。一方、通院の場合は在院時間が長かったり、手術を受けたりしても入院費は発生しません。
病院が認める日帰り入院とは
病院によって多少異なりますが、病院が認める日帰り入院には以下のようなケースが該当します。
- 朝のうちに入院し、必要な治療や手術を済ませてその日のうちに退院する
- 深夜0時以降に入院し、その日の午後に退院する
日帰り入院は、医師が入院の必要性を認めており、入院用のベッドなどを利用することから入院費が発生します。外来用のベッドで治療や手術を済ませたり、手術後の回復のために休んだりした場合は、日帰り入院には当てはまりません。
治療の内容や手術の有無ではなく、医師が入院の必要性を認めたか、入院用のベッドや病室を利用したかという点で判断されます。
保険会社が認める日帰り入院とは
保険会社では、一般的に以下が日帰り入院と認められる条件です。
- 入院と退院が同日である
- 入院費が発生した
『入院と退院が同日である』との条件があるため、短時間の入院であっても入院した日の23時59分までに退院できなければ、日帰り入院とは認められません。
どんな病気が日帰り入院になるの?
どのような病気や手術が日帰り入院になりやすいのか、具体例を紹介します。
日帰り入院手術の具体例
以下のような手術は、日帰り入院になることが多いでしょう。
- がんの放射線治療、抗がん剤治療
- 内視鏡でのポリープ切除術
- 下肢静脈瘤手術
- 鼠径(そけい)ヘルニア手術
- 流産の手術
- 眼瞼下垂(がんけんかすい)症手術
- 緑内障手術
ただし、これらの手術が必ず日帰り入院になるわけではありません。外来で済むこともあれば、数日間の入院が必要になることもあります。事前に医師からしっかり説明を受けて確認しておきましょう。
白内障は病院の判断次第
白内障手術を受けたときに、日帰り入院で済むかどうかは病院の判断次第です。
昔の白内障手術は入院を伴うのが基本でしたが、近年は医療技術や医療機器の進歩によって、外来や日帰り入院で済ませられるようになりました。ただし、以下のようなケースでは入院が必要になる可能性があります。
- 高齢である
- 白内障以外の目の病気や、その他の病気を患っている
- 遠方から来院していて、術後の通院が難しい
通常、白内障手術は術後翌日、翌々日、5日後などに通院が必要です。遠方から来院している人などで、一旦帰宅して翌日、翌々日に来院するのが負担になる場合は、入院をすすめられることもあるでしょう。
日帰り入院は増加傾向
近年は医療技術や医療機器の進歩により、日帰り入院は増加傾向にあります。また、長期入院を必要とする病気でも、入院日数は減少しています。厚生労働省の『患者調査』の結果から、昔と今の入院日数を比較してみましょう。
入院日数は減少している
以下は、『2017年・患者調査』による平均在院日数の年次別データです。
年度 | 平均在院日数 |
1990年 | 44.9日 |
93年 | 41.9日 |
96年 | 40.8日 |
99年 | 39.3日 |
2002年 | 37.9日 |
05年 | 37.5日 |
08年 | 35.6日 |
11年 | 32.8日 |
14年 | 31.9日 |
17年 | 29.3日 |
患者調査とは、入院や来院の状況や傷病名などの実態を明らかにし、医療行政の基礎資料を作成することを目的とした調査です。
3年に1回行われる調査ですが、調査の度に平均在院日数が減少しており、17年時点では1990年と比較して、2週間以上も平均在院日数が短くなっています。
2017年の入院日数の割合
在院期間の割合も見てみましょう。以下は、02年と17年の患者調査の患者の在院期間の割合です。
在院期間 | 02年の割合(%) | 17年の割合(%) |
0~14日 | 59.8 | 68.2 |
15~30日 | 18.4 | 15.7 |
1~3カ月未満 | 15.6 | 12.4 |
3~6カ月未満 | 3.6 | 2.3 |
6カ月以上 | 2.2 | 1.4 |
17年は02年と比較して長期入院の割合が下がっており、0~14日の入院の割合が大幅に増加しています。それだけ、1回の入院期間が短くなっているということです。
日帰り入院を判別する方法
外来で治療を受けたのか、日帰り入院なのか、通常の入院なのか、判断がつかない場合はどうすればよいのでしょうか。ここでは、日帰り入院と通常の入院、または日帰り入院と通院の見分け方を紹介します。
入院した時間はいつか
日帰り入院なのか通常の入院なのかがわからない場合は、入院した日にちと時間を考えてみましょう。日帰り入院の基本は、『入院と退院が同日である』ことです。入院日数のカウントは、日付のカウントと同じく0時を基準とします。
例えば、1月1日の0時から23時59分までの間に入院して退院すれば、日帰り入院です。しかし、1月1日の22時に入院し、1月2日の9時に退院したとしたら、入院2日となり日帰り入院にはなりません。
入院してから24時間経過したかどうかではなく、入院した日の23時59分までに退院したかどうかで判断します。
領収書の診療報酬を確認
日帰り入院なのか通院なのかがわからない場合は、医療費の支払い時に受け取る領収書を確認しましょう。領収書には『診療報酬』が記載されています。
診療報酬は、医療行為の対価として医療機関が受け取る報酬です。領収書には点数で記載されます。領収書の『入院費』の欄に点数が記載されていれば、入院費が発生した、つまり外来ではなく入院であったことが確認できるのです。
領収書を捨ててしまったなどで確認する手段がない場合は、受診した医療機関に連絡して教えてもらいましょう。
日帰り入院で入院給付はもらえるの?
民間医療保険に加入している人が入院した場合、『入院給付金』が支給されます。この入院給付金は、日帰り入院でももらえるものなのでしょうか。
最近の保険は日帰りでも給付金あり
昔の民間医療保険は、入院給付金の支給に『入院〇日目から』など条件が付いていることがありました。しかし、最近の民間医療保険は日帰り入院や短期入院が増加していることに合わせ、入院初日から入院給付金が支給される商品が増えています。
古い医療保険に加入したままの人は、入院給付金の支給開始日に条件が設定されている可能性があるので、保障内容の見直しや掛け替えを検討するとよいかもしれません。
また、日帰り入院で入院給付金が支給される商品でも、検査入院は支給対象外など何らかの条件が設定されていることがあります。保険会社から届く保険証券に入院給付金の支給条件が細かく記載されているので、よく確認しておきましょう。
手術をした場合
民間医療保険に加入している人が入院して手術を受けた場合は、入院給付金とは別に『手術給付金』も支給されます。ただし、どんな手術でも手術給付金が支給されるわけではありません。
商品によって対象の手術が決まっているので、やはり保険証券などで対象範囲を確認しておきましょう。なお、手術給付金を請求する際に、診断書の提出を求められることがあります。
入院や手術をするときには、保険会社に診断書が必要かどうかを確認する余裕がないこともあるので、事前に診断書の提出の有無を確認しておきましょう。
手術をしていない場合
入院したものの手術を受けていない場合は、当然手術給付金の支給はありません。他の給付金の支給条件にも該当していなければ、入院給付金のみ支給されます。
入院給付金のみであれば、病院から発行された領収書だけでも給付金を請求できる場合がありますが、保険会社によっては入院給付金のみでも診断書が必要です。入院給付金のみでも診断書が必要かどうかについても確認しておきましょう。
給付金請求のポイント
入院給付金や手術給付金の請求手続きをする機会は、それほど多くはありません。そのため、どのように請求すればわからない人もいるでしょう。保険会社に給付金を請求するときには、以下の流れで手続きを進めるのが基本です。
- 保険会社に入院や手術したことを伝え、給付金の請求に必要な書類を送ってもらう
- 必要があれば、医師に診断書を作成してもらう
- 必要書類と診断書を保険会社に送る
書類到着後に保険会社で審査が行われ、問題がなければ給付金が振り込まれます。スムーズに請求手続きを済ませられるよう、流れを覚えておきましょう。
また、診断書の内容や請求期限など、請求手続きに関するポイントも理解しておくことが重要です。
診断書には入院期間の記載が必要
民間医療保険の給付金を請求する際には、保険会社に診断書を提出しなければいけないことがあります。診断書には入院期間の記載が必要です。
入院給付金は『入院日数×入院給付金日額(※)』が支給されるのが基本なので、保険会社が入院日数を把握する必要があります。診断書を作成してもらったときに、入院期間が記載されているかをチェックしておきましょう。
(※入院給付金日額は、入院1日あたりの入院給付金額です。保険加入時に、1日5000円や1万円など金額を設定します)
診断書作成費用に注意
入院給付金の請求に診断書を提出しなければならない場合は、診断書の作成費用に注意しましょう。診断書の作成には3000~5000円程度の費用がかかります。
仮に、入院給付金日額を5000円に設定している場合、入院給付金を受け取っても診断書の作成費用に5000円かかると、差し引き0円になってしまいます。そうなると、手間をかけて入院給付金を請求する意味がありません。
事前に診断書の提出の有無と作成費用を確認し、入院給付金を請求するかを決めましょう。
入院と外来では手術給付金に差
民間医療保険の手術給付金は、以下のいずれかの金額が支給されることが一般的です。
- 『1手術あたり〇円』など、一律の金額
- 入院給付金日額×保険会社が定める倍率
外来で手術を受けた場合は入院して手術を受けた場合より入院給付金日額に掛ける倍率が下げてあるなど、何らかの差がつけられている商品があります。民間医療保険を比較する際は、入院と外来で手術給付金額に差がないかチェックしておきましょう。
請求には期限あり
民間医療保険の給付金の請求には期限があります。多くの保険会社の給付金の請求期限は『給付金の支払事由が生じた翌日から3年間』です。
期限を過ぎると請求の権利は消滅します。給付金の請求手続きを忘れていた人は、早めに手続きを済ませましょう。
過去に入院・手術を受けましたが、保険の請求をしていませんでした。給付金や保険金に請求期限はあるのでし | よくあるご質問|第一生命保険株式会社
日帰り入院に準備は必要?
入院期間が長い場合、事前に入院中に使用する日用品や着替えなどを準備する必要があります。それでは、日帰り入院では何か準備する必要があるのでしょうか。
当日の持ち物
日帰り入院の場合は、日用品や着替えなどを準備する必要はありません。以下のような、外来で受診する場合に持参するようなものを持っていけばよいでしょう。
- 健康保険証
- お薬手帳
- 病院に提出する書類
午前中に入院して夜に退院するなど、滞在時間が長い場合は洗面用具やコンタクトレンズのケースなどを持っていくと便利です。服用している薬がある場合は、それも忘れずに持っていきましょう。
日帰り入院におすすめの保険
最後に、日帰り入院の保障をしっかり確保したい人におすすめの民間医療保険を紹介します。各商品の保障内容や保険料を比較して、自分に合う商品を探してみましょう。
ちゃんと応える医療保険EVER
アフラックの『ちゃんと応える医療保険EVER』は、入院保障が手厚い医療保険です。日帰り入院であっても、一律で『入院給付金日額×5日』の入院給付金が支給されます。
さらに、入院一時金特約を付加しておけば、入院すると何回でも入院一時金が受け取れるので、入院費用の負担を大きく軽減することが可能です。
病気で働けなくなった場合の収入を保障する特約や介護保障などの特約もあり、様々な特約をつけて手厚く備えたい人におすすめでしょう。
ちゃんと応える医療保険EVER:保障内容|保険・生命保険はアフラック
メディカルKit NEO
東京海上日動あんしん生命保険の『メディカルKit NEO』は、日帰り入院でも10日分の入院給付金が支給されるお得な医療保険になります。
民間医療保険の入院給付金には、1入院あたりの給付金の支給日数に上限が設けられているのが基本です。メディカルKit NEOでも、通常の入院の場合は給付金の支給日数に60日の上限が設定されています。
しかし、日本人の死因1~3位を占める3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)での入院の場合は、支給日数が無期限になるのです。3大疾病に対する備えが欲しい人に向いているかもしれません。
メディカルKit NEO | 医療保険 | 東京海上日動あんしん生命保険
フレキシィS
小さい子どもがいるなどで死亡保障も確保したい人には、死亡保障つきプランがあるメットライフ生命の『フレキシィS』がおすすめです。通常、死亡保障が欲しい場合は、医療保険とは別に生命保険に加入する必要があります。
しかし、フレキシィSであれば、医療保障も死亡保障もまとめて確保することが可能です。また、保険料を掛け捨てにしたくない人向けに、5年ごとに健康祝金が受け取れるプランもあります。
ただし、オプションつきプランを選ぶと通常よりも保険料が上がるので、死亡保障や健康祝金の必要性をよく考えて加入するプランを決めましょう。
日帰り入院手術で給付金は受け取れる?注意点とおすすめの保険を紹介
まとめ
日帰り入院とは、入院した日と退院した日が同一である入院のことです。在院時間が短くても、日にちをまたぐと入院2日とみなされるので、入院日数のカウントの仕方に気をつけましょう。
最近の民間医療保険は日帰り入院でも保障されるものが増えています。しかし中には『入院〇日目から』など、入院給付金の支給に条件が定められていることがあるので注意が必要です。
近年は医療技術や医療機器の進歩によって日帰り入院も増えているので、しっかり保障を受けられるよう保険の内容を確認しておきましょう。