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小規模企業共済とはどんな制度か。メリットとデメリットを解説

小規模企業や個人事業主向けの、小規模企業共済とはどのような制度なのでしょうか。本記事では、小規模企業共済の概要や目的、加入条件などの基礎知識について解説します。また、小規模企業共済のメリット・デメリットについても知っておきましょう。

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この記事の目次

小規模企業共済とはどんな制度か

まずは、小規模企業共済の概要について解説します。

小規模企業共済制度の始まり

小規模企業共済制度は、以下の2つの目的のために、1965年に始まった制度です。

  • 小規模企業の経営者や個人事業主が廃業・退職などの事態に陥った場合に、その後の生活を安定させたり、事業再建に備えたりできるようにする
  • 会社員などと比べ、社会保障の恩恵が少ない小規模企業の経営者や個人事業主に対し、制度の不備を補充する

その後、時代や社会の変化とともに、制度の内容が拡充されています。

沿革|小規模企業共済(中小機構)

積立による退職金制度

現在の小規模企業共済制度の一番の目的は、退職金がない小規模企業の経営者や個人事業主が、積立によって退職金を準備することです。

毎月掛金を積み立てていき、退職・廃業したときに共済金を受け取ります。満期や満額といった制限はなく、任意のタイミングで受取可能です。

制度の概要|小規模企業共済(中小機構)

小規模企業共済の特徴

小規模企業共済の特徴を見ていきましょう。

掛金を自由に設定できる

小規模企業共済の掛金は、1000円~7万円の範囲内で、500円単位で自由に選択できます。範囲内であれば、掛金の増額・減額も可能です。掛金の増額・減額の手続きは、以下の流れで行います。

  1. 『掛金月額変更申込書』に必要事項を記入する
  2. 小規模企業共済の業務を委託されている団体・金融機関の窓口に書類を提出する
  3. 中小機構から『月額変更手続き完了のお知らせ』が届く

掛金を増額した場合は、原則翌々月から増額後の金額で請求が開始されます。減額の場合は、納付状況などによって請求金額・請求月が変わるので、詳細を知りたい場合はコールセンターに問い合わせましょう。

掛金について|小規模企業共済(中小機構)
掛金の増額|小規模企業共済(中小機構)
掛金の減額|小規模企業共済(中小機構)

掛金以上の共済金を受け取れる

条件によっては、納付した掛金以上の共済金が受取可能です。共済金は、『共済金A』『共済金B』『準共済金』の3種類に分かれます。

このうち、共済金Aと共済金Bは、『基本共済金(※1)』と『付加共済金(※2)』を受け取ることができ、掛金納付月数が36カ月を超えれば、納付掛金よりも多い共済金が受け取れます。

(※1.基本共済金とは、掛金月額・掛金納付月数・共済事由ごとに定められている金額のことです)

(※2.付加共済金:毎年度の運用収入などに応じた利率によって算定される金額のことです)

共済金(解約手当金)について|小規模企業共済(中小機構)
共済金の額の算定方法|小規模企業共済(中小機構)

受け取り方法を選択できる

小規模企業共済は、共済金の受取方法が以下の3種類から選択可能です。

  • 一括受取
  • 分割受取
  • 一括受取と分割受取の併用

ただし、分割受取、または一括受取と分割受取の併用が選択できるのは、以下の要件を満たしている場合に限られます。

  • 共済金A、共済金Bのどちらか
  • 請求事由が契約者の死亡ではない
  • 請求事由が発生した日に60歳以上
  • 分割受取を選択する場合は、共済金額が300万円以上
  • 一括受取りと分割受取りの併用の場合は、一括での受取額が30万円以上、分割での受取額が300万円以上の合計330万円以上

共済金(解約手当金)について|小規模企業共済(中小機構)

貸付制度で資金調達ができる

小規模企業共済に加入していると、貸付制度によって事業資金の調達もできます。

種類 詳細
一般貸付制度 もしものときの事業資金の借入
緊急経営安定貸付 資金繰りが困難なときに、経営を安定させるための資金の借入
傷病災害時貸付 入院・災害の被害を受けた際に、経営を安定させるための資金の借入
福祉対応貸付 住宅改造資金、福祉機器購入資金の借入
創業転業時・新規事業展開等貸付 新規開業・転業・事業多角化のための資金の借入
事業承継貸付 事業承継に必要な資金の借入
廃業準備貸付 個人事業の廃止・法人の解散に必要な資金の借入

それぞれに掛金の納付期間に応じた貸付限度額が定められており、返済方法や利率なども異なるため、よく確認しておきましょう。

貸付制度について|小規模企業共済(中小機構)

デメリットはないのか

小規模企業共済にデメリットはないのでしょうか。

納付月数によっては元本割れ

小規模企業共済を240カ月未満で任意解約をした場合、解約手当金の金額が納付した掛金の合計額を下回ります。

掛金の合計額と共済金の差額分を損することになるので、解約時期は慎重に検討しましょう。

なお、以下に該当する場合は、240カ月未満でも掛金全額が戻ってくるため、元本割れを起こすことはありません。

  • 個人事業の廃業
  • 事業譲渡
  • 老齢給付
  • 契約者の死亡
  • 個人事業を法人にし、その法人の役員にならなかった

共済金(解約手当金)について|小規模企業共済(中小機構)

共済金の受け取りは課税対象

共済金は所得とみなされるため、課税対象となります。共済金の受取方法や受取時の年齢などによって、税法上の取扱いと税金の種類が異なるので注意しましょう。

共済金の種類 受取方法 税法上の取扱い 税金の種類
共済金
準共済金
一括 退職所得(※1) 所得税
復興特別所得税
共済金 分割 公的年金等の雑所得(※2) 所得税
復興特別所得税
共済金 一括受取と分割受取の併用 一括分:退職所得
分割分:公的年金等の雑所得
所得税
復興特別所得税
共済金 遺族が共済金を受け取る みなし相続財産(※3) 相続税
共済金 65歳以上の共同経営者が任意退任する 退職所得 所得税
復興特別所得税
共済金 65歳未満の共同経営者が任意退任する 一時所得(※4) 所得税
復興特別所得税

(※1.退職所得とは、勤務先や社会保険、生命保険などから、退職時に受け取る退職手当や退職一時金などのことです)

(※2.公的年金等の雑所得とは、公的年金による収入から公的年金等控除額を差し引いた後の金額のことをいいます)

(※3.みなし相続財産とは、税法上被相続人固有の財産とはいえないものの、被相続人が亡くなったことで、相続人のものになった財産のことをいいます)

(※4.一時所得とは、懸賞の賞金や生命保険の一時金など、営利目的の継続的行為から発生した所得以外の所得で、労務・役務の対価としての性質、あるいは資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得のことです)

一括なら退職所得控除

共済金を一括受取すると退職所得として取り扱われるため、『退職所得控除』が適用されます。

退職所得控除とは、勤務先や社会保険、生命保険などから受け取る退職手当や退職一時金などに適用される控除のことです。これにより、退職所得にかかる税金が軽減できます。

退職所得のうち、課税対象になる金額は以下の式で計算できます。

  • 退職所得額=(源泉徴収前の退職収入額-退職所得控除)×1/2

退職所得控除額は、以下の式で計算しましょう。

勤続年数(※)が20年以下の場合

  • 退職所得控除額= 40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)

勤続年数が20年超の場合

  • 退職所得控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20年)

(※小規模企業共済における勤続年数とは、小規模企業共済の加入期間を指します)

No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

小規模企業共済の加入方法

小規模企業共済の加入方法を見ていきましょう。

加入できる人の条件

小規模企業共済に加入できるのは、以下のいずれかの条件に該当する人です。

  1. 建設業・製造業・運輸業・宿泊業・娯楽業・不動産業・農業などを営む、常時使用する従業員数が20人以下の個人事業主、または会社などの役員
  2. 卸売業・小売業・宿泊業・娯楽業を除くサービス業を営む、常時使用する従業員数が5人以下の個人事業主、または会社などの役員
  3. 事業に従事する組合員数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員数が20人以下の協業組合の役員
  4. 常時使用する従業員数が20人以下で、農業経営を主として行っている農事組合法人の役員
  5. 常時使用する従業員数が5人以下の士業法人の社員
  6. 『1』、または『2』に該当する個人事業主が営む事業の共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

加入手続きは3ステップ

小規模企業共済の加入手続きは、3つのステップで完了します。

加入手続き|小規模企業共済(中小機構)

必要書類の準備

まずは、加入手続きに必要な書類を準備しましょう。

  • 契約申込書
  • 預金口座振替申出書

また、加入希望者の立場によって、以下の書類が必要になります。

加入希望者の立場 必要書類
個人事業主 ・税務署の受付印がある確定申告書の控え
※確定申告書がない場合は、税務署の受付印がある開業届の控え
※e-taxを利用し、税務署の受付印がない場合は、e-taxの受付確認である『メール詳細』を提示
法人 ・交付後3カ月以内の役員登記されていることが確認できる書類の原本(商業・法人登記簿謄本など)
共同経営者 ・税務署の受付印がある確定申告書、または開業届の控え
・個人事業主と締結した共同経営契約書の写し
・報酬の支払い事実が確認できる書類(社会保険の標準報酬月額通知など)

加入窓口への提出

必要書類への記入を済ませたら、加入窓口に提出します。加入窓口は、中小機構ではなく、中小機構と業務委託契約を締結している団体や金融機関などの、委託機関となります。

委託機関によって手続き方法が異なる場合があるので、事前に必要なものなどを確認しておくとよいでしょう。なお、郵送での書類の提出は不可となっています。

加入窓口|小規模企業共済(中小機構)

書類を受領

申込から40日程度で、中小機構から『小規模企業共済手帳』と『小規模企業共済制度加入者のしおり及び約款』が送られてきます。これで、加入手続きは完了です。

審査の結果、加入資格に該当せず加入不可となった場合は、約2カ月後に中小機構からその旨を通知する書類が送られてきます。

加入後の納付方法

ここでは、掛金の納付方法について解説します。

掛金について|小規模企業共済(中小機構)

納付方法は口座振替

小規模企業共済への掛金の納付方法は、口座振替のみとなっています。『月払い』『半年払い』『年払い』のいずれかから選択可能で、振替日は毎月18日、18日が休日の場合は翌営業日です。

初回は現金での納付も可能

初回は現金でも納付可能です。小規模企業共済の加入手続きの書類を加入窓口に提出する際に、併せて掛金の納付を行います。

加入手続きの際に現金で掛金を納付し、審査に落ちて加入できなかった場合は、掛金の振替用口座として記載していた口座に返金されます。

初回に前納することも可能

小規模企業共済への掛金は、初回に前納することも可能です。口座振替の場合と現金で納付する場合で納付のタイミングが異なるので注意しましょう。

例えば、3カ月分の掛金を前納するとして、納付のタイミングを考えてみます。口座振替の場合は、初回の振替が申込月の2カ月後となります。

申込月が4月だった場合は、初回の振替が6月です。そして、6月に4・5・6月分の掛金と、7・8・9月分の掛金が口座から引き落とされます。

現金の場合は、申込時に申込月とその後3カ月分の掛金を納付します。申込月が4月だとしたら、4月分と5・6・7月分の掛金の納付が必要です。

掛け金の減額には注意が必要

掛金の減額には注意が必要です。掛金を減額すると掛金の納付期間が短くなり、解約手当金の金額が少なくなる可能性があります。

小規模企業共済では、加入日から解約日までが掛金の納付期間、と単純にカウントされるわけではありません。

例えば、毎月の掛金額5万円で、20年掛金を納付して任意解約したとしましょう。この場合、掛金の納付期間は20年となります。

しかし、同じ20年加入し、加入から10年後に掛金額を3万円に減額した場合、掛金の納付期間は減額分の2万円で10年間、3万円で20年間とカウントされます。

すると、2万円の掛金分の納付期間が240カ月未満(この場合は120カ月)と判断され、その分の掛金が全額戻らなくなるのです。掛金の減額は、このようなデメリットを考慮したうえで、慎重に決定しましょう。

小規模企業共済等掛金控除とは

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済などに納付した掛金額を所得(※)から差し引くことで、税金の負担を軽減できる制度のことです。

小規模企業共済に納付した掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となっています。そのため、1年間で納付した掛金の合計額を所得から差し引くことが可能です。

(※所得とは、収入額から個人事業主は必要経費、給与所得者は給与所得控除を差し引いた金額のことです)

No.1135 小規模企業共済等掛金控除|国税庁

節税額一覧表

以下は、小規模企業共済加入前後の節税額一覧です。(所得税・復興所得税率は2017年時点、住民税の均等割額は5000円として算出)

課税所得額(※) 掛金額
1万円 3万円 5万円 7万円
200万円 2万700円 5万6900円 9万3200円 12万9400円
400万円 3万6500円 10万9500円 18万2500円 24万1300円
600万円 3万6500円 10万9500円 18万2500円 25万5600円
800万円 4万100円 12万500円 20万900円 28万1200円
1000万円 5万2400円 15万7300円 26万2200円 36万7000円

(※課税所得額とは、所得から基礎控除などの所得控除を差し引いた後の、所得税・復興所得税・住民税の課税対象となる金額のことです)

掛金について|小規模企業共済(中小機構)

控除を受けるためには

小規模企業共済等掛金控除を受けるためには、確定申告の際に小規模企業共済に1年間で納付した掛金を申告する必要があります。

小規模企業共済等掛金払込証明書

小規模企業共済加入者には、毎年『小規模企業共済等掛金払込証明書』という、小規模企業共済に納付した掛金額の証明書が送られてきます。確定申告書に添付しなければならないので、紛失しないよう注意しましょう。

平成29年「小規模企業共済掛金払込証明書」のご案内|小規模企業共済(中小機構)

解約することはできるのか

小規模企業共済は、いつでも解約可能です(任意解約)。ただし、解約時には解約手当金が支払われますが、12カ月未満で解約した場合は解約手当金なし、240カ月未満で解約した場合は元本割れとなります。

また、掛金を12カ月以上滞納した場合は『機構解約』といって、中小機構側から強制解約にされるので注意しましょう。

共済金(解約手当金)について|小規模企業共済(中小機構)

解約に必要な書類

小規模企業共済の解約には、以下の書類が必要です。

  • マイナンバー確認書類
  • 共済金等請求書
  • 退職所得申告書
  • 預金口座振替解約申出書兼委託団体払解約申出書
  • 共済契約締結証書

共済契約締結証書を紛失した場合は、解約手続きの前に再発行してもらう必要があります。

『共済契約締結証書』の再発行|小規模企業共済(中小機構)

解約の流れ

解約手続きは、以下の流れで行いましょう。

  1. 必要書類を揃え、必要事項を記入する
  2. 掛金の振替用口座がある金融機関に、『預金口座振替解約申出書兼委託団体払解約申出書』を提出する
  3. 解約手当金の振込用口座がある金融機関で、『共済金等請求書』に口座の確認印を押してもらう
  4. 中小機構に『預金口座振替解約申出書兼委託団体払解約申出書』以外の全ての書類を提出する
  5. 3週間程度で解約手当金が振り込まれる
  6. 中小機構から届く『支払決定通知書兼振込通知書』を受け取る

まとめ

小規模企業共済は、退職金がない小規模企業の経営者や個人事業主が退職金を準備できる便利な制度です。制度のメリット・デメリットをよく理解し、加入を決定しましょう。

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