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公的医療保険には高額療養費制度がある。仕組みや利用条件を紹介

公的医療保険には、高額療養費制度という医療費の負担を軽減するための制度があります。制度の仕組みや利用条件を理解して、いざというときにスムーズに手続きできるようにしておきましょう。また、医療費控除との併用についても解説します。

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この記事の目次

がん治療などで医療費が高額になった時

がん治療など、重い病気やケガの治療を受けたときに、予想外に医療費が高額になることがあります。

例えば、胃がんの治療を受けた場合の平均医療費は、1入院あたり『99万9342円』です。(全日本病院協会『医療の質の評価・公表等推進事業』より)

公的医療保険が適用されれば、この金額の1~3割まで軽減されますが、それでも1回の入院で数十万円かかります。

入院が長引いたり、再発したりするとさらに医療費がかさむうえに、通院や薬代など、入院費以外の費用もかかるでしょう。このようなときに医療費の負担を軽減できる、公的制度について見ていきます。

医療費:医療の質の評価・公表等推進事業:病院運営支援事業 – 全日本病院協会

高額療養費制度を利用できる

医療費が高額になった場合には、『高額療養費制度』という公的制度が利用できる可能性があります。

高額療養費制度とは、1カ月の医療費の自己負担額が自己負担限度額(自己負担の上限額)を超えた場合に、医療費の払い戻しを受けられる制度のことです。

制度の対象となるのは、公的医療保険が適用される医療費で、医療費の払い戻しは、加入している公的医療保険の保険者(※)から行われます。

  • 社会保険加入者の保険者:健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • 国民健康保険加入者の保険者:市町村または各国保組合、後期高齢者医療広域連合
  • 公務員・教員等、共済組合の保険者:共済組合

(※保険者とは、企業の健康保険組合や地域の国民健康保険など、医療保険事業を運営している団体のことをいいます)

高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

制度の仕組み

制度の仕組みを見てみましょう。

  1. 病気などの治療で医療費が発生する
  2. 公的医療保険の適用により、自己負担額が総医療費の1~3割負担に軽減される
  3. 自己負担分の医療費を医療機関の窓口で支払う
  4. 自己負担分の金額が自己負担限度額を超えていた場合は、保険者に払い戻しを申請する
  5. 自己負担限度額を超えて支払った金額が払い戻される

注意したい点は、自己負担した医療費が全額払い戻されるわけではないということです。自己負担限度額までは自費でまかなわなければなりません。

負担方法を説明した表の画像

出典:高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

また、事後申請なので、いったん自己負担限度額を超えた部分を立て替える必要があります。窓口負担が数十万円を超えることもあるので、あらかじめ医療費について確認しておきましょう。

提出書類は高額療養費支給申請書

医療費の払い戻しを受けるためには、保険者に『高額療養費支給申請書』を提出しなければなりません。

社会保険加入者は健康保険組合・協会けんぽ、国民健康保険加入者は地域の国民健康保険窓口で申請書をもらいましょう。

保険者が協会けんぽの場合は、全国健康保険協会のホームページからダウンロードすることも可能です。なお、以下に該当する場合は、別途添付書類が必要になります(協会けんぽの場合。保険者によって異なります)。

項目 添付書類
負傷の場合 負傷原因届
第三者による傷病の場合 第三者行為による傷病届
医療費の助成により窓口負担が軽減されている場合 助成を受けた診療についての、医療機関からの領収書
被保険者(保険対象者)が死亡し、相続人が申請する場合 被保険者との続柄が分かる書類(戸籍謄本など)

健康保険高額療養費支給申請書 | 申請書のご案内 | 全国健康保険協会

医療費の支払いが高額になりそうな時

医療費が高額なることが予想できる場合、あるいは、窓口負担額が高額で支払いがむずかしい場合は、『事前申請』や『高額医療費貸付制度』を利用すれば、負担を軽減できます。

高額療養費の還付は3カ月程度先になる

医療費の払い戻しを申請すると、保険者が医療機関から提出されるレセプト(診療報酬明細書)の審査を行います。

その審査に時間がかかることから、医療費が払い戻されるのは、診療月から3カ月程度先になります。

あとから払い戻されるとはいえ、自己負担額が高額であれば、家計への負担は重くなるでしょう。このようなときの救済措置として、事前申請や高額医療費貸付制度があります。

高額医療費貸付制度の利用が可能

医療費の自己負担額が高額で支払いがむずかしい場合は、『高額医療費貸付制度』が利用できます。

高額医療費貸付制度とは、医療費が払い戻されるまでの間、医療費を支払うためのお金を無利子で借りられる制度のことです。

借入可能額は高額療養費支給見込額の8割~9割相当の金額で、返済は払戻金から借入額を差し引いた差額が払い戻されることで完了します。貸付を希望する場合は、保険者に以下の書類を提出しましょう(協会けんぽの場合)。

  • 高額医療費貸付金貸付申込書
  • 高額医療費貸付金借用書
  • 高額療養費支給申請書(貸付用)
  • 領収書、または請求書のコピー

保険者によって必要書類が異なる場合があるので、事前に確認しておくとスムーズに手続きできます。

高額医療費貸付制度について | 都道府県支部 | 全国健康保険協会

限度額適用認定申請書を提出する

あらかじめ医療費の支払いが高額になることが予想できる場合には、限度額適用認定を事前申請するとよいでしょう。申請は以下の流れで行います。

  1. 保険者に限度額適用認定申請書を請求する
  2. 限度額適用認定申請書に必要事項を記入し、保険者に提出する
  3. 『限度額適用認定証』が交付される

そして、限度額適用認定証を窓口での支払い時に提出すると、支払額が自己負担限度額までに軽減されます。

限度額適用認定証の交付には、限度額適用認定申請書の提出から1週間程度かかるので、早めに申請しておきましょう。

限度額適用認定証をご利用ください | お役立ち情報 | 全国健康保険協会

高額な医療費の自己負担限度額

ここでは、医療費の自己負担限度額について解説します。

年齢と所得で計算が変わってくる

医療費の払い戻しが受けられるのは、『自己負担限度額』を超えた部分です。自己負担限度額は、被保険者の年齢と所得(標準報酬月額※)によって変わってきます。

(※標準報酬月額とは、給料や手当、賞与などの合計額を第1~50等級に分類した、社会保険料などを計算するときの基盤となるものです)

高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

70歳未満の人

以下は、被保険者が70歳未満の場合の自己負担限度額の一覧です。

標準報酬月額 自己負担限度額
83万円以上 25万2600円+(総医療費 – 84万2000円)×1%
53~79万円 16万7400円+(総医療費 – 55万8000円)×1%
28~50万円 8万100円+(総医療費 – 26万7000円)×1%
26万円以下 5万7600円
住民税非課税者 3万5400円

70歳以上で入院含む場合

被保険者が70歳以上の場合は、入院を含む場合と外来のみの場合で自己負担限度額が変わります。以下は、入院を含む場合の自己負担限度額です。

標準報酬月額 自己負担限度額
現役並み所得者
(高齢受給者証の負担割合が3割)
83万円以上 25万2600円+(総医療費 – 84万2000円)×1%
53~79万円 16万7400円+(総医療費 – 55万8000円)×1%
28~50万円 8万100円+(総医療費 – 26万7000円)×1%
一般所得者(現役並み所得者・低所得者以外) 5万7600円
低所得者 区分2(住民税非課税) 2万4600円
区分1(年間収入80万円以下など) 1万5000円

70歳以上で外来のみの場合

被保険者が70歳以上で、外来のみ場合の自己負担限度額は以下の通りです。

標準報酬月額 自己負担限度額
現役並み所得者
(高齢受給者証の負担割合が3割)
83万円以上 25万2600円+(総医療費 – 84万2000円)×1%
53~79万円 16万7400円+(総医療費 – 55万8000円)×1%
28~50万円 8万100円+(総医療費 – 26万7000円)×1%
一般所得者(現役並み所得者・低所得者以外) 1万8000円
※年間上限14万4000円
低所得者 区分2(住民税非課税) 8000円
区分1(年間収入80万円以下など) 8000円

同一世帯で複数の人に医療費がかかる場合

同一世帯で複数の人に医療費がかかった場合の、医療費の払い戻しについても知っておきましょう。

高額療養費制度は世帯合算が可能

高額療養費制度では、医療費の世帯合算が可能です。世帯合算とは、被保険者と同一世帯の家族にかかった医療費を合算して高額療養費を申請できるものです。

被保険者の医療費だけでは自己負担限度額に届かなかった場合でも、家族の医療費を合算して自己負担限度額を超えれば、医療費の払い戻しが受けられます。

注意したい点は、世帯合算の『世帯』は住民票上の世帯ではないということです。以下に該当する人が同一世帯と認められます。

  • 社会保険加入者の場合:被保険者の扶養家族
  • 国民健康保険加入者の場合:同じ保険証番号を持つ家族

世帯・同一人合算が知りたい|高額療養費ちょっと教えて|高額療養費制度お助けガイド|がんになっても

ポイントは1人2万1000円

世帯合算できるのは、家族の医療費の自己負担額が1カ月で『2万1000円』を超えた場合のみとなります。

また、複数の医療機関を受診している場合は、医療費の自己負担額が2万1000円を超えている医療機関の分だけしか合算できません。

どの医療費でも合算できるわけではないので注意しましょう。なお、70歳以上の家族の分は全額合算可能です。

出産は高額療養費制度の対象になるのか

出産にかかる費用は、制度の対象になるのでしょうか。

自然分娩は対象外

出産は病気ではないので、自然分娩は公的医療保険の対象外となっています。そのため、医療費の払い戻しも受けられません。同様の理由から、妊婦健診にかかる費用も対象外となります。

ただし、申請すれば42万円(条件によっては40万4000円)の出産一時金が、公的医療保険から支給されるため、医療費の負担を軽減することは可能です。

子どもが生まれたとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

対象なるのは異常分娩の時

出産費用の中で医療費の払い戻しの対象になるのは、帝王切開・吸引分娩・鉗子分娩(かんしぶんべん)などの異常分娩にかかった費用です。

異常分娩では手術や投薬などが必要になり、治療行為とみなされるため、公的医療保険の対象になります。よって、医療費の払い戻しを受けることも可能です。

高額療養費制度の利用に際しての注意点

制度の利用に際しての注意点についても知っておきましょう。

自己負担額が少ないと合算できない

高額療養費制度では、複数の医療機関を受診した場合も合算可能です。ただし、世帯合算と同じく、自己負担額が1カ月で2万1000円を超えた医療機関の分だけしか合算できません。

自己負担額が少ない医療機関の分は合算できないので、医療費の総額が自己負担限度額以上になっても、払い戻しが受けられなくなる可能性があります。

差額ベッド代などは対象外

払い戻しが受けられるのは、公的医療保険の対象となる医療費に限られるため、差額ベッド代などの費用は対象外です。

差額ベッド代とは、患者の希望で個室や2~4人の少人数部屋に入院した場合に、入院費とは別に発生する費用のことです。

公的医療保険は、原則として手術や投薬などの直接的な医療行為のみが対象となっているため、差額ベッド代は対象外となります。よって、高額療養費制度でも対象外になるのです。

また、がん治療などのために先進医療(※)を受ける可能性もあるでしょう。先進医療には数百万円もの高額な費用がかかることがありますが、やはり公的医療保険の対象外になるので、医療費の払い戻しは受けられません。

(※先進医療とは、特定の大学病院などで開発中の治療や薬物などのうち、公的医療保険の対象外で、厚生労働大臣が先進医療と認めたものを用いた治療法のことです)

月を跨ぐと自己負担額の合算ができない

月を跨ぐと自己負担額の合算ができなくなる点にも注意が必要です。高額療養費制度では、医療機関のレセプトをもとに、1カ月ごとに自己負担額の判定が行われます。

そのため、仮に1月半ばから2月半ばまで入院したとしたら、1月分と2月分に分けて自己負担額を算出しなければなりません。

もし、1月と2月の自己負担額の総額が自己負担限度額を超えていても、月ごとに分けた結果、各月の自己負担額が自己負担限度額を下回ると医療費の払い戻しが受けられなくなります。

医療費控除について

ここでは、医療費控除と高額療養費制度の併用について解説します。

確定申告で高額な医療費を控除できる

医療費控除とは、年間の医療費の自己負担額が所定の金額を超えた場合に、所得(※1)から医療費控除額を差し引いて、税金の負担を軽減できる制度のことです。

医療費控除を受けるには、個人事業主や給与所得者などの立場にかかわらず、確定申告によって医療費控除額を申告する必要があります。医療費控除額は以下の式で計算しましょう。

  • 医療費控除の金額=医療費の自己負担額-保険給付金などの金額-10万円

ただし、総所得額等(※2)が200万円未満の場合は、以下の式で控除額を計算します。

  • 医療費控除の金額=医療費の自己負担額-保険給付金などの金額-総所得額等の5%

(※1.所得とは、給与や報酬などから、給与所得者は給与所得控除、個人事業主は必要経費を差し引いた後の金額のことです)

(※2.総所得額等とは、合計所得額に繰越控除を適用した後の金額のことです)

医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

医療費控除を申告できる基準

医療費控除の対象となるのは、以下の要件を満たす医療費のみとなります。

  • 納税者と、納税者と同一生計の配偶者や親族などのために支払った医療費であること
  • その年の1月1日~12月31日の間に支払った医療費であること

12月31日までに発生した医療費でも、支払いが翌年以降になった場合は、実際に医療費を支払った年の医療費として申告しなければなりません。

また、すべての医療費が医療費控除の対象になるわけではなく、対象となる医療費が決まっています。確定申告の前に、どの医療費が対象になるのか調べておきましょう。

No.1122 医療費控除の対象となる医療費|国税庁

高額療養費の支給を受けた金額は除外

医療費控除額は、年間の医療費の自己負担額から、保険給付金などの金額と10万円、あるいは総所得額等の5%を差し引いた金額です。

この、『保険給付金などの金額』には高額療養費も含まれるため、医療費が払い戻された分、医療費控除額は減少します。

まとめ

医療費が高額になった場合には、自己負担限度額を超えた部分の医療費の払い戻しが受けられます。自己負担限度額は人によって異なるので、自分の自己負担限度額を確認しておきましょう。

基本は事後申請ですが、医療費が高額になることが予想できる場合には、事前申請も可能です。

事前申請が間に合わず、窓口負担の支払いがむずかしい場合には、高額医療費貸付制度を利用することもできるので、制度についてよく理解しておきましょう。

また、医療費控除を受ける場合は、医療費の払い戻しを受けた金額を除外する必要があります。その分、医療費控除額が減少するので、併用する際は注意しましょう。

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