がん保険は定期と終身に分かれる
がん保険とは、がん(悪性新生物)の治療にかかった医療費の保障が受けられる民間保険です。
がん治療による入院・通院費用の保障や、がんの3大療法である手術治療・薬物治療・放射線治療の保障など、商品によってさまざまな保障内容があります。
また、がん保険は、保険期間によって『定期型』と『終身型』の2つに分かれます。
定期とは
定期型とは、保障が一定の期間内に限定されるがん保険です。保険期間は、以下のいずれかで設定します。
- 年満了:70歳満了・80歳満了など、年齢によって保険期間を設定する
- 歳満了:20年満了・30年満了など、年数によって保険期間を設定する
定期型は解約、および満了時(保険期間終了時)に保険料が戻らない、『掛け捨てタイプ』であることが多く保険料が安い傾向にあります。
ただし、満了後に更新する場合は、更新時の年齢に応じた保険料が適用され、更新前よりも保険料が高くなることを覚えておきましょう。
終身とは
終身型とは、一生涯にわたり保障が続くがん保険です。解約返戻金(かいやくへんれいきん※)の取扱によって以下の3種類に分類されます。
種類 | 詳細 |
従来型 | ・解約時に条件に応じた解約返戻金が受け取れる |
低解約返戻金型 | ・従来型の70%程度の解約返戻金が受け取れる ・保険料の支払い完了後は解約返戻金が増える場合がある |
無解約返戻金型 | ・解約返戻金なし |
解約返戻金がない無解約返戻金型は保険料が安く、低解約返戻金型、従来型の順に保険料が高くなります。
(※解約返戻金とは、解約時に払込保険料額や加入期間に応じて払い戻されるお金のです)
がん終身保険のシミュレーション | アクサダイレクト生命保険
ガン保険には終身型と定期型がある。ライフプランに合わせて選択
終身型の支払い方法は2種類
終身型がん保険は、『終身払い』や『短期払い』などから、支払い方法が選べます。それぞれの支払い方法の特徴を知っておきましょう。
終身払いとは
終身払いとは、保険契約者(保険料を支払う人)が死亡するまで、保険料の支払いが続く支払い方法です。
毎月の保険料は短期払いに比べて安いものの、長生きし保険料の支払い回数が増えると、保険料の総額が高くなります。
また、定年後も保険料の支払いが続く点にも注意が必要です。総務省統計局のデータによると、定年後の再雇用期間中は定年前の7割、再雇用期間終了後は、再雇用期間中の5割程度になるという結果が出ています。
保険料の支払いが、定年後の家計に負担になる可能性があることを知っておきましょう。
短期払いとは
短期払いとは、年齢や年数で保険料の支払い期間を設定し、その期間内に保険料の支払いを完了させる方法です。
支払い期間に制限があるため、毎月の保険料は終身払いに比べて高くなります。しかし、早めに支払いを完了させることで、定年後の家計への負担を軽減できるでしょう。
また、短期払いは保険料の割引があることから、払込保険料の総額が安く済むこともあります。
終身型がん保険のメリット
ここでは、終身型がん保険のメリットを見ていきます。
保険料が変わらない
終身型がん保険は、一生涯保険料が変わらない点がメリットです。がんの罹患率(病気にかかる割合)は、年齢が上がるほど高くなるため、がん保険の保険料は、年齢が上がるほど高くなります。
しかし、終身型がん保険には、契約の更新がありません。そのため、高齢になっても契約時の保険料から変わらず、保険料の負担を抑えられます。
一生涯の保障が得られる
一生涯の保障が得られる点も、終身型がん保険の大きなメリットです。がんの罹患率は男女ともに50代ごろから、年齢に比例して高くなっていきます。(国立がん研究センター『最新がん統計』より)
定期型がん保険の場合は、がんにかかりやすい時期に保険期間が満了を迎えると保障が受けらないほか、更新ができない定期型がん保険もあります。
しかし、終身型がん保険は、被保険者(保険の対象者)の死亡時まで保障が継続されるので安心です。
終身型がん保険のデメリット
終身型がん保険のデメリットについて解説します。
保険料が割高な時期がある
終身型がん保険は、保険料が割高になる時期があることがデメリットです。契約時から保険料払込満了時までの保険料を平均した金額が、毎月の保険料として設定されます。
そのため、年齢が若いうちは、定期型がん保険と比べて保険料が割高になります。
解約をすると損をする
終身型がん保険は、解約をすると損をする可能性があります。終身型がん保険の保険料は、定期型がん保険よりも将来的には安くなる場合が一般的です。
しかし、早期に解約すると、割高な保険料を支払っただけになってしまいます。また、終身型がん保険の解約返戻金は、契約期間が長いほど高くなります。
特に、低解約返戻金型の場合、保険料の支払い期間中の返戻率が低く、支払い完了後に従来型並みになる商品が多くなっています。そのため、早期解約によって損をする可能性が高いといえるでしょう。
女性のための終身型がん保険とは
終身型がん保険には、女性のための保障が充実した商品があります。
女性特有のがんに対応している
女性向けの終身型がん保険とは、子宮がんや乳がんなど、女性特有のがんへの保障が備わっているがん保険です。
以下のような女性特有のがんに対する手厚い保障が受けられます。
- 女性特有のがんにかかった場合、給付金が増額される
- 乳房再建手術など、外見ケアに対する保障が受けられる
保障内容は商品によって異なるため、契約前に確認しておきましょう。また、通常のがん保険でも、特約(保険の基礎となる主契約に付ける契約)を付けることで、女性特有のがんに対する保障が備えられる場合もあります。
生きるためのがん保険Days1:特長・保険料例|保険・生命保険はアフラック
女性のがん保険の必要性
近年、子宮がんや乳がんは若年化が進み、20~40代の発症率が高くなっています。年齢が若い20代などの場合は、社会人になり働き始めてからの期間が短く、十分な貯蓄ができていないことがあります。
このタイミングでがんにかかると、医療費の捻出や治療中の収入減少に対応することが難しいでしょう。
がん保険に加入しておけば、給付金によって医療費が補てんできるため、医療費の心配をする必要がなくなります。
女性ががん保険を選ぶポイント
女性ががん保険を選ぶ際には、上皮内新生物が保障対象に含まれているか確認しましょう。上皮内新生物とは、がん細胞が上皮内に留まっており、深部まで達していない状態です。
乳がんは、定期的な健診により早期発見できる可能性が高いがんですが、早期発見の場合は上皮内新生物と診断されることがあります。
医学的には、がん細胞が深部まで達した状態の悪性新生物が『がん』として扱われるため、上皮内新生物は保障対象外としているがん保険もあります。
乳がんの早期発見でも保障が受けられるよう、上皮内新生物も保障されるがん保険を選びましょう。
上皮内新生物とは何ですか? | ネット生保のアクサダイレクト生命保険
がん保険の払込免除特約について
がん保険の『保険料払込免除特約』とは、保険会社が定める条件を満たした場合に、以降の保険料の支払いが免除される特約です。ここでは、がん保険の保険料払込免除特約のメリットや注意点を解説します。
終身払いなら特約を付けるメリットがある
保険料の支払いが長期化しやすい終身払いの場合は、保険料払込免除特約を付けるメリットが大きいといえます。
例えば、40歳で保険料が月額3000円のがん保険に加入し、90歳まで保険料を払い込んだ場合、保険料払込総額は180万円です。
仮に、50歳で以降の保険料の支払いが免除された場合、残りの144万円を支払わずに済むということです。
特約を付けると、月に数百円程度保険料が上がります。しかし、仮に月500円上乗せされたとしても10年間で6万円です。
この程度の金額で残りの保険料が免除されることを考えると、それほど大きな負担ではないでしょう。
保険料の支払いが止まる
がん治療のために仕事を休むことになると、その間の収入が大幅に減少することが考えられます。また、医療費の支払いのために貯蓄を取り崩すこともあるでしょう。
保険料払込免除特約により保険料の支払いが免除されれば、金銭的な負担を軽減できます。
安心して治療を受けられる
保険料の支払いが免除されても、保険料を支払っているときと変わらずに保障が受けられます。
金銭的な負担を抑えながら安心して治療を受けられるため、多少保険料が高くなるものの、保険料払込免除特約を付けるのもよいでしょう。
払込免除の条件は保険会社により基準が違う
保険料の支払いが免除される条件は、保険会社によって異なります。例えば、『診断日から〇日経過後も症状が継続している場合』と定められている場合、所定の日数が経過する前に症状が治れば免除は受けられません。
各保険会社の免除条件を確認しておきましょう。
税務上有利な法人終身がん保険の特徴
終身型がん保険には、法人向けの商品もあります。法人終身がん保険に加入していると、経営者や従業員ががんになったときに備えられるほか、節税にも役立ちます。
終身ガン保険 | エヌエヌ生命保険 : 法人・中小企業向け保険
保険料の全額の1/2損金として処理できる
法人終身型がん保険の大きなメリットは、払込保険料総額が損金として処理できることです。
払込保険料を損金として計上した分、課税所得額(課税対象となる金額)が下がるため、法人税の節税に役立つでしょう。
税務上、法人終身型がん保険は『105歳』を満期とし、契約日から満期までを『保険期間』とみなします。
そして、前払い期間中(保険期間の半分までの期間)は、払込保険料総額の1/2を損金、残り1/2を前払保険料として資産計上します。
前払い期間後の保険期間は、支払い保険料全額と、前払い保険料を残りの期間に応じて配分した金額を損金とすることが可能です。
なお、解約返戻金がない法人終身型がん保険の場合は、最初から支払い保険料全額を損金として計上できます。
全額損金から2分の1に 法人が支払う「がん保険」の保険料の経理処理 | エヌ・ジェイ出版販売
解約返戻金が受取可能
法人終身がん保険では、解約時に解約返戻金が受け取れます。解約返戻金の使途は限定されておらず、経営者や従業員の退職金や事業資金に充てることも可能です。
なお、多くの法人終身がん保険の解約返戻金には、『ピーク時期』が設定されており、ピーク時期以外に解約すると解約返戻金が少なくなる点に注意しましょう。
解約返戻金は、受取額から払込保険料総額の1/2を差し引いた金額が雑収入として扱われ、法人税の課税対象になります。黒字のときに解約すると法人税が高くなるため、計画的に解約することが大切です。
おすすめの終身型がん保険
最後に、おすすめの終身型がん保険を紹介します。
アクサダイレクト生命保険 がん終身
上皮内新生物の保障も受けたい人には、アクサダイレクト生命保険の『がん終身』がよいでしょう。上皮内新生物の治療でも給付金が満額支払われます。
主契約に、診断給付金(がんと診断を受けた場合に支払われる給付金)が含まれているのため、早い段階でまとまった資金が確保できる点がメリットです。
また、がんの3大療法に対する保障も手厚く、手術治療・薬物治療・放射線治療のうち、どの治療を受けたときにも給付金が受け取れます。
さらに、保険料の安さも魅力です。掛け捨てタイプにすることで、40代男性で月額1275円(最安プランの場合)という安価な保険料を実現しています。
保険料をなるべく無駄にしたくない人は、がん無事故給付特約を付けるとがんにならなかった場合に、3年ごとにがん無事故給付金が受け取れます。
がん終身保険のシミュレーション | アクサダイレクト生命保険
チューリッヒ生命 終身ガン治療保険プレミアムDX
既存加入の生命保険や医療保険と併用したい人には、チューリッヒ生命の『終身ガン治療保険プレミアムDX』がおすすめです。
他のがん保険とは異なり、主契約が放射線治療・抗がん剤治療・自由診療(公的医療保険の適用外である診療)といった、治療費に対する保障に限定されています。
そのため、既存加入の生命保険で入院・通院費をカバーし、がん治療の保障だけを確保したい人などに向いているでしょう。
がん治療中は、病院までの交通費や入院中の食事代、差額ベッド代(個室などへの入院を希望した場合に発生する費用)といった、治療費以外の費用もかさみます。特約を付けることによって、このような費用に対する保障も受けられます。
アフラック 生きるためのがん保険Days1
アフラックの『生きるためのがん保険Days1』は、最新のがん治療の傾向に合った保障が受けられるがん保険です。
近年のがん治療は医療の進歩などによって、通院治療になるケースが増えています。主契約に通院給付金が含まれているため、通院治療がメインになっても給付金が受け取れます。
また、特約の種類が豊富で、3大療法に対する保障や先進医療保障、女性特有のがんへの保障なども受けられるほか、保険料払込免除特約も付加可能です。
さらに、外見ケア給付金や緩和療法給付金といった特約もあります。これらの特約を付けると、がん治療の副作用により脱毛しウィッグを購入した費用や、痛みを緩和するための治療にかかった費用の保障が受けられます。
生きるためのがん保険Days1:特長・保険料例|保険・生命保険はアフラック
まとめ
終身型がん保険は、保険料が一定のまま一生涯にわたり保障が受けられるほか、解約返戻金が受け取れる場合があるなど、さまざまなメリットがあります。また、法人終身型がん保険では、保険料が損金として処理でき節税に有用です。
早期に解約することがなければ、終身型がん保険から得られるメリットは大きいため、今後のライフプランを考慮して加入を決めることが大切です。
また、終身型がん保険で終身払いにする場合は、保険料払込免除特約を付けることも検討してみるとよいでしょう。