60代のがんの実態を知る
まずは、60代のがんの実態について知っておきましょう。
60代からがんになる人は増えてくる
国立がん研究センターの『最新がん統計』のデータによると、がんの罹患率は50代ごろから増加しはじめ、60代、70代と年齢が上がるほど増えています。
出典:最新がん統計:[国立がん研究センター がん登録・統計]
また、がんによる死亡者数は、60代から大幅に増加しています。(厚生労働省の『2017年・人口動態調査』結果より)
年齢(歳) | がんによる死亡者数(人) |
40~44 | 2649 |
45~49 | 4765 |
50~54 | 7262 |
55~59 | 1万2205 |
60~64 | 2万1233 |
65~69 | 4万4415 |
平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省
がんの治療に必要な金額
がん治療で入院した場合の、1日あたりの医療の平均自己負担額は『1万9800円』です。(オリックス生命の試算より)
ただし、がんの種類や進行度によって医療費は大きく異なります。例えば、胃がんと肺(気管支)がんの1入院あたりの平均医療費は、以下のようになっています。(全日本病院協会『医療の質の評価・公表等推進事業』より)
がんの種類 | 平均医療費(円) |
胃がん | 99万9342 |
肺(気管支)がん | 77万6424 |
そして、以下は胃がんのステージ別に見た、1入院あたりの平均医療費です。(公的医療保険適用前)
胃がんのステージ | 平均医療費(円) |
0 | 281万6780 |
1 | 94万8447 |
2 | 156万493 |
3 | 126万5234 |
4 | 80万3497 |
同じ胃がんでも、ステージによって大きく医療費に差があることが分かります。
がん保険の選び方|オリックス生命保険株式会社
医療費:医療の質の評価・公表等推進事業:病院運営支援事業 – 全日本病院協会
60代の負担は現役世代と変わらない
60代でがんにかかったときの医療費の負担は、現役世代と変わりありません。
年金支給は65歳から
多くの人が60歳で定年を迎えますが、年金が満額支給されるのは65歳からです。そのため、60歳以降に再雇用を受ける人も多くなっています。
しかし、65歳まで再雇用を受けたとしても、再雇用期間中は収入が定年前の7割程度になることが一般的です。(総務省統計局のデータより)
さらに、65歳で再雇用期間が終了し、年金で生活するようになってからの収入は、再雇用期間中の5割程度になるという結果が出ています。
年金の受給(老齢年金)|日本年金機構
統計局ホームページ/統計Today
高額療養費制度の負担額軽減は70歳から
60歳以降は、定年を迎える前よりも収入が大きく減少するにもかかわらず、高額療養費制度の自己負担限度額(※)が軽減されるのは70歳からとなっています。
高額療養費制度とは、1カ月あたりの医療費の自己負担額が、所定の自己負担限度額を超えた場合に、支払った医療費の一部が払い戻される制度のことです。
70歳以降は、医療費の自己負担割合によって自己負担限度額が軽減されますが、70歳までは定年前と同じ条件が適用されます。そのため、60代で大きな病気にかかると、医療費の負担が重くなります。
(※自己負担限度額とは、1カ月あたりの医療費の自己負担上限額のことで、被保険者(保険の対象者)の年齢と収入により金額が異なります)
高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
60代のがん保険の必要性
60代のがん保険の必要性を考えてみましょう。
がんの治療は長期にわたる
がんの治療は長期にわたります。以下は、60代のがんによる平均入院日数です。(厚生労働省の『14年・患者調査(表番号46)』のデータより)
年齢(歳) | 平均入院日数 |
60~64 | 15.9日 |
65~69 | 16.7日 |
また、がん治療は、入院治療終了後も定期的に経過観察を行うことが多いほか、再発により再入院することもあり、治療が完了するまでに時間がかかることも少なくありません。
メットライフ生命の調査では、がんにかかった人の4割以上が、半年以上の治療期間を要するという結果が出ています。
治療期間が長くなればなるほど医療費がかさみ、家計に与える影響も大きくなるため、がん保険などで備えることは重要です。
患者調査 平成26年患者調査 上巻(全国) 年次 2014年 | ファイルから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
保険料は高くなるが治療費の方が高い
がんになるリスクは、年齢が上がるほど高くなるため、がん保険の保険料も年齢が上がるほど高くなるのが一般的です。
よって、60代でがん保険に加入するとなると、保険料も割高になる可能性が高いでしょう。しかし、がんにかかった場合の医療費は、保険料よりも高くなります。
仮に、がん治療のために15.9日入院し、1日あたり1万9800円の医療費が発生したとすると、1入院あたりの医療費は31万4820円です。
保険アワード18年版がん保険の部総合1位の、アクサダイレクト生命『がん終身保険』では、60歳男性・入院給付金日額1万円の場合の保険料は『月額5760円』となっています。
年間の支払い保険料は『6万9120円』となり、入院時に給付金が支給されることも考慮すると、治療費よりも安いといえるでしょう。
がん終身保険のシミュレーション | アクサダイレクト生命保険
60代でもがん保険に加入した方が安心
60代でがんにかかるリスクや、がんにかかった場合の治療費の負担が大きいことを考えると、60代でもがん保険に加入したほうが安心です。
がん保険の種類によって保険料や保障内容が異なるので、複数のがん保険を比較して、自分に合うがん保険を選びましょう。
まとめ
60代は、がんにかかるリスクが上がる年代です。60代でがん保険に加入すると保険料が割高になりますが、がん治療にかかる医療費よりは安く済むため、がん保険に加入して備えておくとよいでしょう。