医療保険は保障期間で2つに分かれる
民間の医療保険とは、以下のような事態に備えるための保険です。
- 病気やケガの治療費が高額になった
- 先進医療による療養を受け、医療費が全額自己負担になった
- 治療のために仕事を休み、収入が減少した
- 個室に入院して差額ベッド代が発生した
各保険会社がさまざまな医療保険を提供していますが、その種類は保障期間によって大きく2つに分かれます。
定期型医療保険
『定期型医療保険』とは、保障期間が一定期間に限定されている医療保険のことです。
年数で保障期間が決まる『年満了』と、年齢で保障期間を決まる『歳満了』のいずれかで保障期間が設定されます。
また、定期保険は解約時などにお金が戻ってこない、『掛け捨てタイプ』であることが一般的です。
払い戻しがない代わりに保険料が安いというメリットがあります。しかし、満期(保障期間が終了すること)を迎えて更新するたびに、保険料が上がることが多いので注意が必要です。
定期医療保険のシミュレーション | アクサダイレクト生命保険
終身型医療保険
『終身型医療保険』とは、一生涯にわたり保障が続く医療保険です。定期型医療保険よりも保険料が高い傾向にありますが、解約時などにお金が戻ってくるメリットがあります。
また、保険料の変動がないので、更新のたびに保険料が上がる定期保険よりも、保険料の支払総額が安く済むこともあります。
医療保険の加入率
医療保険には、どれぐらいの人が加入しているのでしょうか。
相当数の世帯が加入している
生命保険文化センターの『2015年度・生命保険に関する全国実態調査(医療保険・医療特約の加入率)』の結果によると、医療保険の世帯加入率は『91.7%』で、相当数の世帯が加入していることが分かります。
調査結果一覧-2(Excelファイル)平成27年度「生命保険に関する全国実態調査」(平成27年12月発行)|公益財団法人 生命保険文化センター
20代の加入率は?
20代の世帯(29歳以下)の医療保険加入率は『91.5%』で、全世帯の加入率と変わらない数値になっています。年齢別で加入率を比較しても、ほとんど差はありません。
年齢 | 加入率 |
29歳以下 | 91.5% |
30~34歳 | 96% |
35~39歳 | 91.6% |
40~44歳 | 94.6% |
20代であっても病気やケガのリスクはつきまとうものなので、万が一のときのために、医療保険で備えている人が多いということです。
20代で医療保険は必要か
20代で医療保険は必要なのでしょうか。
貯金があまりないなら加入したほうがよい
貯金があまりないのであれば、医療保険に加入したほうがよいでしょう。生命保険文化センターの『直近の入院時の自己負担費用』の調査結果によると、入院1日あたりの自己負担額の平均は、『1万9835円』となっています。
高額療養費制度(※)を利用すれば、自己負担限度額(自己負担額の上限額)を超えた分は払い戻されますが、それでも数万~数十万円程度は自分で支払わなければなりません。
さらに、長期入院になれば、その間収入が減少する可能性もあります。貯金がないと、高額な医療費の支払いや収入減少に耐えられなくなるので、医療保険で備えておくと安心です。
(※高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が所定の金額を超えた場合に、自己負担した医療費の一部が払い戻される制度のことです)
1日あたりの医療費(自己負担額)はどれくらい?|公益財団法人 生命保険文化センター
自営業の人は保障が必要
自営業の人は、医療保険が必要になるでしょう。会社員であれば、傷病手当金(※1)や労災保険(※2)などの公的制度が利用できますが、自営業の人にはそのような制度はありません。
また、自営業の場合は、治療で仕事ができなくなれば、収入が途絶えて生活できなくなる可能性があります。
そのため、入院保障や収入保障など、手厚い保障がある医療保険に加入して、生活を守るための備えをしておくことが肝心です。
(※1.傷病手当金とは、病気やケガで休業し、その期間に十分な報酬が得られないときに、給付金が支給される制度のことです)
(※2.労災保険とは、業務上の何らかのことが原因で病気やケガをした場合に、補償が受けられる制度のことです)
既婚で子どもがいる場合は検討を
既婚で子どもがいる場合は、医療保険の加入を検討しましょう。総務省統計局の『2017年家計調査・2人以上の世帯』の結果によると、1カ月の年齢別平均世帯収入額は、以下のようになっています。
年齢 | 平均世帯収入額 |
20代 | 42万2400円 |
30代 | 48万6575円 |
40代 | 59万5988円 |
20代は、その他の年代と比べると収入額が少ないため、医療費が高額になったり、収入が減少したりした場合の経済的な負担が大きくなります。
また、子どもが乳幼児である場合が多く、これから子どもが成長し、小学校から大学まで進学していくと、すべて公立に通ったとしても約780万円の資金が必要です。
病気やケガで多額の医療費が発生すると、進学のための貯金が確保できなくなったり、生活が行き詰まったりするリスクもあります。
そのため、医療費は医療保険から捻出し、生活費や教育資金を確保できるようにしておくことが大切です。
家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2017年 | ファイルから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
結果の概要-平成28年度子供の学習費調査:文部科学省
20代の医療保険の選び方
20代で医療保険を選ぶときには、何を基準にするとよいのでしょうか。
保険料は安いものを選ぶ
20代で医療保険に加入するのであれば、保険料が安いものを選びましょう。20代は働き始めてからの期間が短いので、将来のための貯金が十分とはいえません。
金融広報中央委員会が実施している『2017年・家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)』の結果によると、年齢別の平均貯蓄額は以下のようになっています。
年齢 | 平均貯蓄額 |
20代 | 142万円 |
30代 | 589万円 |
40代 | 936万円 |
50代 | 1342万円 |
60代 | 1835万円 |
この結果から、20代の貯金額が圧倒的に少ないことが分かります。そのため、保険料を安く抑えつつ、並行して貯金も増やすことを考える必要があります。
各種分類別データ(平成29年) ― 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)|知るぽると
保障は厚すぎなくても大丈夫
20代は、保障を手厚くし過ぎなくても大丈夫です。厚生労働省の『平成29年・人口動態調査』の結果によると、年齢別の死因と死亡者数は、以下のようになっています。
年齢(歳) | 第1位 | 第2位 | 第3位 |
20~24 | 自殺 1057人 | 不慮の事故 332人 | がん 174人 |
25~29 | 自殺 1048人 | 不慮の事故 285人 | がん 269人 |
30~34 | 自殺 1278人 | がん 616人 | 不慮の事故 262人 |
35~39 | 自殺 1372人 | がん 1145人 | 心疾患 427人 |
40~44 | がん 2649人 | 自殺 1622人 | 心疾患 992人 |
45~49 | がん 4765人 | 自殺 1866人 | 心疾患 1765人 |
この結果から分かるように、20代は病気にかかるリスクが他の年代と比較して、かなり低いため、最低限の保障を付けるだけで問題ありません。
ただし、自営業者や既婚で子どもがいる人は、少し保障を手厚くしたほうがよいでしょう。
平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省
女性は妊娠に備えて女性専用保険を検討
20代の女性は、妊娠に備えて女性専用保険への加入を検討しましょう。女性専用保険には、異常分娩になった場合に保険金が支払われるものや、差額ベッド代(※)が保障されるものがあります。
そのため、妊娠・出産時にトラブルが起きた場合にも、費用の心配をせずに済み安心です。
このタイプの保険は、妊娠してからでは加入できなかったり、保障内容に制限がかかったりする場合が多いので、20代のうちに加入しておくとよいでしょう。
(※差額ベッド代とは、1~4人部屋への入院を希望した場合などに発生する費用のことです)
20代におすすめの医療保険
ここでは、20代におすすめの医療保険を紹介します。
メットライフ生命 Flexi Sシンプルタイプ
メットライフ生命の『Flexi Sシンプルタイプ』は、オリコン顧客満足度調査2018年医療保険部門で第1位になった終身型医療保険です。
基本的な医療保障に厳選されており、終身型の中では保険料が比較的安く設定されています。
死亡や3大疾病、介護や認知症のリスクに備える特約などにより、自分に合った保障をカスタマイズできる点が特徴です。
アフラック ちゃんと応える医療保険EVER
アフラックの『ちゃんと応える医療保険EVER』は、通院ありプランを選択すれば、入院前後の通院時にも保障が受けられます。
また、入院期間が5日未満の場合は、一律で5日分の入院給付金が支払われるほか、外来での手術も保障されるなど、保障範囲が幅広いのが特徴です。
近年は医療の進歩によって、以前は入院が必要だった治療が通院で済んだり、入院日数が短くなったりしているため、短期入院や外来で保障が受けられるメリットは大きいといえます。
ちゃんと応える医療保険EVER:特長|保険・生命保険はアフラック
メディケア生命 メディフィットA
メディケア生命の『メディフィットA』は、主契約と特約のどちらも充実している医療保険です。
入院保障の支払い日数や手術の種類、先進医療特約やがん特約など、たくさんの種類の中から希望の保障を選べます。
どの保障を付けるか悩んだ場合は、公式サイトにあるシミュレーションツールを利用して、保障内容を設計してみるとよいでしょう。
医療保険ならメディフィットA|商品の仕組み|保険商品を知る|メディケア生命保険
まとめ
20代でも、貯金があまりない人や、子どもがいる人などは医療保険の加入を検討してみましょう。
20代は病気にかかるリスクが低いので、保障内容を充実されることよりも、保険料を安く抑えることを重視して、医療保険を選ぶのがおすすめです。
医療保険のおすすめの選び方。特徴やポイントをやさしく解説します