医療保険の種類
医療保険は、病気やケガの治療費に備える保険です。医療保険で受け取れる給付金には、以下のようにいくつかの種類があります。
給付金の種類 | 詳細 |
診断給付金 | 所定の病気と診断されたときに給付金が支払われる |
入院給付金 | 『入院給付金日額×日数』の給付金が支払われる |
手術給付金 | 所定の手術をしたときに給付金が支払われる |
商品によっては『特約(※)』を付加し、先進医療や3大疾病などに対する保障を追加できる保険もあります。
また、医療保険は、保障期間により2つのタイプがあります。ここからは、保障期間別に医療保険を見ていきましょう。
(※特約とは、契約者の希望で付加できる保障のことです)
定期医療保険
『定期医療保険』は、契約時に定めた期間のみ保障が受けられる保険です。保障期間終了後は、更新することで保障期間を延長できますが、保険料は更新時に見直されます。
定期医療保険のメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
・年齢が若いうちは保険料が割安 ・更新のタイミングで保険を見直しやすい |
・年齢が上がるとともに保険料が高くなる ・年齢や健康状態によっては、更新できないこともある |
定期医療保険は、安い保険料で医療保険を契約したい人や、一定期間のみ保障を手厚くしたい人に向いた保険だといえます。
定期医療保険のシミュレーション | アクサダイレクト生命保険
終身医療保険
『終身医療保険』は、保障が一生涯続く保険です。終身医療保険のメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
・契約時の保険料が一生変わらない ・一生涯にわたり保障が備えられる |
・年齢が若いうちは保険料が割高 ・保険を見直しづらい |
終身医療保険の魅力は、一度契約すれば解約しない限り、一生涯の保障が得られる点です。
健康状態や年齢により保障がなくなることがないため、生涯を通じ何らかの保険に加入し続けたいと考える人に適した保険だといえます。
医療保険は必要か
医療保険に加入していれば、ケガや病気になったときの治療費をまかなえます。しかし、医療保険への加入には、当然のことながら保険料が発生します。
保険料を支払ってでも医療保険に加入した方がよいのは、どのような人でしょうか。
公的医療制度の対象外の費用を補える
日本には社会保障制度があるため、医療費の一部を負担すれば治療が受けられます。年齢ごとの医療費の負担割合は、以下の通りです。
年齢 | 負担割合 |
0~6歳(未就学児) | 2割 |
6~70歳未満 | 3割 |
70歳以上 75歳未満 | 2割(所得により3割) |
75歳以上 | 1割(所得により3割) |
また、医療費の自己負担額が高額になる場合、基準額を超えた額が払い戻される『高額療養費制度』もあります。これらの社会保障制度を活用すれば、医療費が極端に高額になることはありません。
ただし、社会保障が適用されるのは、保険適用と定められた治療のみです。公的医療保険の適用外とされる治療は、全額自己負担となります。保険適用外の治療も受けたいと考える人は、医療保険を検討しましょう。
医療保険の必要性が高い人は?
自己負担となる医療費には、以下のものがあります。
- 先進医療費
- 差額ベッド代(※)
- 交通費
先進医療での治療は公的医療保険の対象外となるため、全額自己負担での治療となります。また、個室での入院を希望する場合は、差額ベッド代も用意しなければなりません。
厚生労働省によると、平成28年の差額ベッド代の1日あたりの平均額は6144円です。仮に10日の入院だとすると、差額ベッド代だけで6万円以上のお金が必要となります。
また、通院時はもちろん、入院中に家族が見舞いに来るにも交通費がかかります。病気やケガのときに、できる限りの治療や手厚い看護を受けたい人は、医療保険に加入するとよいでしょう。
(※差額ベッド代とは、特別療養環境室料と呼ばれる個室に、患者の希望で入院するときにかかる費用です)
医療保険の見直しの必要性
医療保険は、社会保障では足りない保障を補うための保険ですが、社会保障で保障される内容は、年齢や収入により異なります。そのため、年齢が変わったときには、医療保険の見直しをしなければなりません。
また、病気やケガを患ったときに、どのくらいの資金が必要かは、家族構成や資産状況によっても変わります。
結婚や子どもの誕生など、家族状況に変化が起きたときや、就職や転職で収入額が変わったときには、医療保険の見直しを忘れずに行いましょう。
医療保険を見直すメリット
ここでは、医療保険を見直すことで得られるメリットを見ていきます。
現状に沿った保障プランが見つかる
保険を契約してからある程度の時間が経つと、以下のような変化が起こります。
- 契約者のライフステージ(※)が変化する
- 病気やケガの治療や治療方針が変化する
- 保険会社から新たな商品が発売される
契約している保険の保障内容が現状に合っていなければ、いざというときに十分な保障が受けられません。
また、新たに開発された治療法などが保障の対象外となっている場合、保険を契約していても十分な給付金を受け取れない可能性もあります。
契約時からの状況の変化を確認し、現在必要な保障を備えられる点が保険を見直すメリットの1つです。
(※ライフステージとは、新婚期・教育期・子供独立期・老夫婦期など、人生を状況により分けた段階のことです)
保険料の支払いを下げることができる
保険料を下げられる可能性があることも、保険を見直すメリットです。保険料を抑えたい人は以下を確認しましょう。
- 不要な保障を付けていないか
- 同じような保障内容で、今よりも安い保険料の保険がないか
保障内容や保険料は保険会社により異なるため、同じ保障内容の保険でも、保険料が安くなることがあります。
また、保険料は変わらなくても、より充実した保障内容の保険が販売されていることもあります。保険を見直す際は、いくつかの保険会社の商品を比較することが大切です。
最新の医療に合致したプランが見つかる
新しく開発される治療法や、主流となる治療方法の変化などに対応するため、保険会社は定期的に新しい保険を発売しています。
新しく発売された保険には、より多くの治療や疾病が保障対象として追加されているものもあります。
よって、保険を見直して最新の医療が保障される保険に加入すれば、いざというときに満足のいく治療が受けられるようになります。
医療保険を見直すポイント
ここからは、医療保険の見直しをする際に確認するポイントを解説します。
入院の免責期間を確認する
医療保険に加入しており、ケガや病気で入院した場合、入院給付金が支払われます。
ただし、入院給付金は、商品ごとの約款(やっかん※1)に定められた『免責期間(※2)』を経過していていないと支払われません。免責期間の1例は、以下の通りです。
- 8日以上入院した場合、1日目から保障(8日未満の入院は免責される)
- 入院3日目から保障(入院から2日間は免責される)
- 日帰り入院(入院1日目)から保障
保険を見直す際には、現在加入している保険や新たに加入を検討している保険が、入院何日目から保障を受けられるタイプかをきちんと確認しましょう。
(※1:約款とは、保険契約に関する重要条項が記載された文書のことです)
(※2:免責期間とは、保険会社が保障を免れる期間のことです)
入院の保障期間は
医療保険で保障される入院日数は、商品ごとに差があります。見直しの際は、以下の確認が必要です。
- 1回の入院で保障される日数の上限
- 通算で保障される日数の上限
1回の入院で保障される日数には、30日・60日・120日などの制限があります。特約を付加することで、支払い日数が無制限になる保険もあるため、ニーズに合った商品を選びましょう。
先進医療の保障はあるか
先進医療は厚生労働大臣が定めた診療で、一般的な保険診療とは異なり全額自己負担です。患者が希望し、医者が必要性を認めた場合に行われます。最新の治療が受けられる点は大きなメリットですが、治療費は高額となります。
よって、ケガや病気のときに、最新医療も含めた手厚い治療をしたいと考える人は、先進医療が保障される保険を選ぶと安心です。
先進医療保障は、主契約で保障されるものと特約で付加できるものがあります。保険料や保障内容をよく確認し、先進医療保障の付加を検討しましょう。
積立型か掛け捨て型か
医療保険には、『積立型』と『掛け捨て型』があります。
積立型 | 掛け捨て型 |
・保険料が高い ・解約返戻金(※)がある ・保険を見直しにくい |
・保険料が安い ・解約返戻金がない ・保険を見直しやすい |
積立型は解約返戻金があるため、支払った保険料を回収できる点が魅力です。ただし契約から短期間で解約をした場合、解約返戻金がほとんど出ない商品もあります。
割高な保険料を支払ってきたにもかかわらず、払い込んだ保険料をほとんど回収できないとなると、経過年数によっては保険の見直しがしづらくなるでしょう。
掛け捨て型は解約返戻金がありませんが、保険料が安いため、ライフプランが定まっておらず、保険を見直す可能性がある人に向いている保険だといえます。
(※解約返戻金は、保険を解約したときに契約者に戻ってくるお金のことです)
解約払戻金(解約返戻金)の仕組み|保険・生命保険はアフラック
医療保険を見直す方法
加入している保険の保障内容を確認した結果、保険を見直した方がよい場合、どのように見直せばよいのでしょうか。
解約して新規で契約する
加入中の保険よりも保険料が安い、もしくは保障内容がよいと感じる保険があったときには、加入している保険を解約し新規で契約するのもよいでしょう。
ただし、医療保険には、加入できる年齢や健康状態に制限があります。保険を乗り換えるときには、新たな保険の契約ができず無保険状態となることがないよう、新たな保険の契約が完了してから、解約の手続きを進めることが重要です。
現状の医療保険に保障を加える
より充実した保障が必要な場合は、加入中の保険に特約を付けるとよいでしょう。特約には、以下の種類があります。
- 女性疾病特約
- 生活習慣病特約
- 3大疾病特約
- 先進医療特約
なお、特約は付加した後に解約もできます。一定期間のみ保障を手厚くしたい人や、収入に合わせて保険料を調整しながら保障を備えたい人は、特約を活用しましょう。
特定の疾病や損傷の治療に備える特約|公益財団法人 生命保険文化センター
医療保険を見直す際の注意点
医療保険を見直す際には、いくつかの注意点があります。
年齢が上がると保険料がアップする
医療保険は、年齢とともに保険料が上がる仕組みなため、仮に同じ保険を契約し直したとしても保険料が高くなります。
保険の見直しをする際は、保険料が上がる可能性も考慮した上で、商品を比較・検討しましょう。
自分の健康状態はどうか
医療保険の加入時には、健康状態の告知が必要です。健康状態によっては、新たな保険への加入ができない、もしくは加入できたとしても保険料が高くなる可能性があります。
健康状態に不安がある人は、保険の見直しをするにあたり、告知内容をきちんと確認することが重要です。
解約返戻金があるか
医療保険には、解約返戻金があるタイプがあります。解約返戻金がでる商品には、以下の2つの種類があります。
- 従来型
- 低解約返戻金型
従来型は、保険の契約期間に応じて解約返戻金額が決まる仕組みです。通常、契約期間が長いほど、解約返戻金は高くなります。
低解約返戻金型は、保険料払込期間中の解約返戻金額を抑えている分、保険料が安く設定される点が特徴です。保険料払込期間終了後は、通常の解約返戻金額に戻ります。
保険料払込期間中の解約返戻金は、通常の70%程度に設定されており、特に契約から短期間で解約をしたときには、解約返戻金が少額になる点に注意しましょう。
&LIFE 新医療保険Aプレミアの特徴 | 三井住友海上あいおい生命保険
医療保険の見直しは必要。思わぬ落とし穴もあるので現状把握をしよう
医療保険の見直しのタイミング
医療保険の見直しには、適したタイミングがあります。
人生のイベントを迎えるときが見直しの時期
ライフイベントがあったときは、保険を見直すタイミングです。ライフイベントがあると、収入や家族状況に変化が起きるからです。
保険の見直すタイミングとしては、以下が挙げられます。
- 結婚
- 子どもの誕生
- 住宅の購入
- 子どもの独立
- 退職
子どもが小さく教育費が必要な時期や、住宅ローンの支払いがある間は、資金面での負担をかけず治療に専念できるよう、手厚い保障を付けてもよいでしょう。
子どもの独立後や退職により収入が減少したときには、保障額を減らすことで保険料を削減できます。
『なるほど』保険のこと。|ライフステージから選ぶ|オリックス生命保険株式会社
保険料が負担に感じたとき
保険料が負担と感じるときは、保険の見直しをしましょう。保険料を下げるには、以下の方法があります。
- 保険料が安い保険に乗り換える
- 保障額を減額する
- 特約を解約する
現在の保険に加入したまま保険料を下げたいときには、保障額を下げて保険料を減額、あるいは特約の解約などを検討しましょう。
減額や特約の解約による具体的な保険料の削減額は、加入している保険会社に相談をすれば確認できます。
保険の更新時
定期医療保険の中には、保険期間終了後に自動更新される商品もあります。しかし、保険が自動更新されると、ほとんどのケースで保険料が上がるため、更新前に見直しをしましょう。
保険の見直しが難しいと感じる人は、以下の窓口を利用する方法もあります。
- 現在加入している保険会社の窓口
- 保険の販売窓口
- 銀行窓口
加入している保険の保障内容を確認した上で見直しをしたい人は、加入中の保険会社の窓口に相談しましょう。
保険会社を問わず保険を比較検討したい人は、保険の販売窓口が便利です。また、保険を含めた資産全体の相談をしたい人は、銀行の窓口を利用してもよいでしょう。
医療保険の見直しは定期的に。タイミングやポイントを解説します
まとめ
長期で契約することが多い医療保険ですが、保障期間中のライフプランの変化によって、必要な保障が変わる可能性があります。
いざというときに十分な保障を得るためには、定期的に見直して自分に合った保障内容の保険を契約することが大切です。保険会社などの窓口を活用し、保険の見直しをしてみてはいかがでしょうか。