資産運用とは
資産運用とは、自分が保有する資産を管理・運用して、安全に増やしていくことをいいます。ここでは、資産運用を行っている人の現状を押さえておきましょう。
効率的にお金を増やす
資産運用は自分の資産を『貯蓄』や『投資』をして、効率的に増やしていくことです。身近な定期預金も資産運用のひとつですが、近年銀行の普通預金金利はほぼゼロに近く、預けていてもほどんど増えません。
効率よく資産を増やすには『投資』をする必要があります。投資というと、株式投資やFXといったハイリスクハイリターンな金融商品をイメージするかもしれませんが、資産運用にはさまざまな種類があり、リスクの少ないものもいくつかあります。
大きなリスクを回避しながら、適切な資産運用ができれば、将来必要な資金を効率的に作ることができます。
資産運用を積極的に行う人はまだまだ少ない
金融庁が発表している日本の家計金融資産の現状をみると、家計金融資産(約1,700兆円)のうち52%(約900兆円)が現預金で、株式・投資信託などの割合は18.8%(約320兆円)とまだまだ積極的に資産運用を行う人が少ない状況です。
日本の現預金優位の状況は大きく変わっていないなか、家計の資産形成の促進に向け、積立NISAの導入や実践的な投資教育など総合的に推進を図っています。
貯金と投資割合などのデータ
実際にどれくらいの資産を投資に充てているいるのか、貯金と投資の割合などをみていきましょう。
貯金が平均以下の世帯は全体の2/3
2016年総務省統計局の家計資産における統計によると、2人以上の世帯における貯金現在高は平均1,820万円で、平均を下回る世帯は全体の約2/3という結果がでています。これは、貯蓄の多い世帯が平均値を押し上げているためです。
実際、金額の低い世帯から高い世帯へ順に並べたときに、真ん中にくる世帯の貯蓄現在高は1,064万円と平均を大きく下回っています。
統計局ホームページ/家計簿からみたファミリーライフ/第5章 家計資産
預金の次は保険が人気
次に、2016年の2人以上の世帯における貯蓄現在高の内訳をみると、普通預金などの『通貨性預貯金』と『定期性預貯金』で62.5%を占め、続いて『生命保険など』で20.8%となっており、預貯金の次に人気があることが伺えます。
保険を利用して資産運用をすると、貯蓄だけでなく万が一のときには保障を受けることができます。
統計局ホームページ/家計簿からみたファミリーライフ/第5章 家計資産
投資をしたいと思っている人は多い
日経DUALが実施したアンケート結果によると、投資していない人に今後投資をしたいか尋ねたところ、約74%の人が『はい』と回答しており、実際は多くの人が投資をしたいと思っていることがわかります。
ただし、投資をしていない人の多くは、投資に興味はあっても元本割れのリスクや情報収集の仕方などがわからないといった、投資に踏み切れない理由も持ち合わせています。
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貯金を資産運用で増やそう。投資の必要性とメリット・デメリット
タイプ別おすすめの運用
資産を運用する方法は幅広く、人によりベストな方法は異なります。ここでは、3タイプに分けて、おすすめの運用方法をご紹介します。
ほぼノーリスクを望むなら銀行預金や国債
何よりリスクをとりたくないという人には、銀行預金や国債がおすすめです。投資商品はどうしてもリスクを伴います。そのため、銀行預金であれば大きく資産は増えませんが、減ることもありません。
国債は国にお金を貸す代わりに利息をもらう投資方法です。最低でも年間0.05%の金利がつくので、銀行預金より少しは増やすことができます。国が破綻しない限り貸したお金は満額戻ります。
リターンは低いですが、安全かつ計画的に運用することができます。
投資はしたいけど安全第一なら保険を利用
投資はしたいけれどもリスクは抑えたいという人は、貯蓄型の保険を利用しましょう。
基本的に保険は、契約者が支払う保険料を保険会社が運用しています。貯蓄型の保険の中には、支払った保険料以上の満期金や解約返戻金(※1)を受け取れるものもあります。また、銀行の定期預金より高く金利設定されていることも多いです。
とくに、低解約返戻金型終身保険は、保険料の払込が終了するまでの期間、解約返戻率(※2)が低く設定されています。その代わり、保険料の払込完了後は普通の終身保険より返戻率がよく、資産運用に人気があります。
(※1.解約返戻金とは、生命保険や積立保険などの契約を解除したときに戻ってくるお金のことです)
(※2.解約返戻率とは、保険を解約をしたときにそれまで払い込んだ保険料総額のうち、戻るお金の割合をいいます。返戻率(%)=解約払戻金÷払込保険料累計×100)
多少のリスクをとるなら株式や不動産
多少のリスクをとっても、高いリターンを狙いたいという人には、株式や不動産投資がおすすめです。
株式投資は、企業が発行する株式の売買利益や配当金などを得て資産を増やす方法です。ただし、積極的なリターンを狙える反面、高いリスクを負うことにもなります。
安定した利益を上げるには、企業の業績や株価の値動きを示すチャートを分析したりするなど、それなりの勉強が必要です。
不動産投資は、アパートやマンションなどを購入し、定期的に賃料という形で利益を得たり、購入した物件の価値が上がったときに売却して、その売却益を得たりする運用方法です。
長期的に安定した収入を得られますが、長期間入居者が入らない空室リスクなどがあることも念頭においておきましょう。
元手によってとれるリスクも変わる
資産運用は、リスクをどれだけとれるかによって運用方法も変わります。ここでは、元手が100万円の場合と、500万円の場合のリスクと運用方法について確認しましょう。
100万円で運用するなら
100万円で運用を検討している人には、どうやって安全に運用するかが大切になってきます。安全性を優先しながら銀行預金より利回りが良い金融商品には、保険・債券(国内・海外)・投資信託などがあります。
中でも個人向け国債は、国が破綻しない限り元本は保証されます。仮に100万円を購入すれば、現在金利は0.05%なので、1年の利息は500円になります。安全な運用方法として人気を集めています。
500万円で運用するなら
500万円程度のまとまった運用資金がある人は、100万円の運用に比べて投資対象を広げることができます。ハイリターンを狙えばハイリスクになるので、リスクとリターンのバランスを考慮しながら投資先を決めましょう。
運用次第で大きな利益を期待できる金融商品には、インデックスファンド・ETF・株式(国内・海外)・REITなどがあります。
中でもインデックスファンドやETFは、手数料が安くローリスクな点が魅力です。日経平均株価やTOPIXなどの株価指数に連動するように運用されており、投資に関する深い知識がなくても本格的な資産運用ができます。
資産運用の前に知っておくこと
私たちが暮らしていくうえで必要になる資金は、大きく分けると『生活資金』『教育資金』『住宅資金』『老後資金』の4つです。現在ある資金を何の目的で使うか振り分けることで、いつまで運用できるのかを把握しやすくなります。
生活資金は確保する
生活資金は日々の暮らしに必要なお金です。もし、生活資金を投資に使ってしまい大きな損失が出れば、生活が維持できなくなることも考えられます。その結果、生活を切り詰めたり、借金せざるを得なかったりする可能性も否定できません。
資産運用は投資である以上、必ずリスクを伴います。生活資金はしっかり確保するようにしましょう。できれば4カ月~半年分の生活費を確保しておくと安心です。
予定資金は保守的に
子供の学費やマイホーム購入などのために貯蓄している教育資金や住宅資金は、使うまでに数年ある場合は、超低金利の普通預金や定期預金に預けたままにせず、運用にまわしてもよいでしょう。
ただし、資金を減らさないよう、リスクを抑えて安定的に運用できるものを選びましょう。利用する商品としては、保険や個人向け国債などが考えられます。
積極運用は余剰資金で
資産運用は、当面は使う予定のない老後資金などの『余剰資金』で行うことが大切です。余剰資金は、ある程度のリスクを引き受けながら、増やすことを考えてみましょう。
活用する商品としては、投資信託などがよいでしょう。『インデックス型の投資信託』を活用し、国内外の資産に分散すれば、よりリスクを抑えて安定的な運用が行えます。
まとまった資金をひとつの投資対象だけで運用すると、その投資対象が値下がりしたときに、大きな損失を受ける恐れがあります。そのため、複数の投資対象に分散したり、タイミングを分けて投資したりすることが大切です。
まとめ
日本では、資産運用を積極的に行う人は、まだまだ少ないのが現状です。実際、貯蓄の種類別構成比をみると、預貯金と保険だけで約80%占めていることがわかります。しかし、投資をしていない人の多くが、投資をしたいと思っていることも事実です。
資産運用には、ローリスクな商品からハイリスクなものまでさまざまな種類があり、大きなリスクを回避しながら適切な資産運用を行えば、資金を効率的に増やすことができます。
ただし、投資に向いているのは老後資金のようにすぐには使わない余剰資金です。日々の暮らしに必要な生活資金を使った投資は、行わないようにしましょう。