年齢による平均支出の比較
総務省の全国消費実態調査では、国民をいくつかのグループに分類してから、その中で統計調査を行い、平均的な消費行動を算出・公表しています。
グループの分類は多岐にわたり、調査結果データも膨大ですが、ここではひとまず、消費者として3つの年代を代表的に取り上げて、各グループでの平均的な1カ月の消費支出を確認していきます。
データには、年齢と支出に加えて、各グループの代表的イメージを知るため、世帯主の平均年齢も載せています。
30代の場合
以下に、30代を前半と後半に分けて調べた平均年齢、および1カ月の平均支出を示します。
年齢層(歳) | 世帯主の平均年齢(歳) | 平均支出(円) |
30~34 | 32.1 | 224,994 |
35~39 | 37.2 | 259,010 |
40代の場合
以下に、40代を前半と後半に分けて調べた平均年齢、および1カ月の平均支出を示します。
年齢層 | 世帯主の平均年齢(歳) | 平均支出(円) |
40~44 | 41.9 | 274,317 |
45~49 | 47.0 | 302,750 |
50代の場合
以下に、50代を前半と後半に分けて調べた平均年齢、および1カ月の平均支出を示します。
年齢層 | 世帯主の平均年齢(歳) | 平均支出(円) |
50~54 | 51.9 | 323,077 |
55~59 | 57.0 | 309,938 |
都市と地方の平均支出の比較
次に、地理的要因をもとに分類した場合の、消費支出の1カ月平均を見ていきましょう。
ここでは、生活状況と支出の関係を知るために、地域毎に自分の家を持っている比率(持家率)と家族の平均的な人数(世帯人員)を調べ、各場合の1カ月の平均支出とともに確認します。
東京等の大都市の場合
まず、大きな都市に暮らす世帯の1カ月の平均支出がどのくらいか見てみます。データは、大都市の代表として、東京都区部および横浜市を取り上げ、加えて、もう少し広い4つの地域についてを調べました。
以下に、それら6つの大都市圏における、持家率、世帯人員(平均)、平均支出の関係を示します。
地域 | 持家率(%) | 世帯人員(人) | 平均支出(円) |
東京都区部 | 64.1 | 2.18 | 268,533 |
横 浜 市 | 77.8 | 2.31 | 276,672 |
関東 | 73.3 | 2.28 | 258,633 |
中京 | 77.3 | 2.55 | 259,178 |
近畿 | 77.2 | 2.32 | 242,128 |
北九州・福岡 | 73.5 | 2.28 | 230,061 |
地方の場合
次に、暮らす街の規模に関係なく、日本全体を10の地域に区分けし、それぞれの地区での各家計の1カ月の平均支出を見ていきます。
以下に、各地域における、持家率、世帯人数(平均)、平均支出の関係を示します。
地域 | 持家率(%) | 世帯人員(人) | 平均支出(円) |
北海道 | 73.5 | 2.15 | 222,940 |
東 北 | 74.3 | 2.45 | 225,409 |
関 東 | 74.6 | 2.32 | 255,303 |
北 陸 | 81.4 | 2.47 | 246,739 |
東 海 | 78.6 | 2.50 | 256,095 |
近 畿 | 78.8 | 2.32 | 238,748 |
中 国 | 74.0 | 2.34 | 228,164 |
四 国 | 75.6 | 2.30 | 234,521 |
九 州 | 74.2 | 2.33 | 223,838 |
沖 縄 | 58.3 | 2.36 | 175,189 |
世帯による平均支出の比較
地域や年齢などで区別せず、家族形態による平均支出への影響はどのようになるでしょうか。
ここでは、代表的な3つの家族構成について、生活状況を計るためのデータとして、持家率と、家賃などを支払っている世帯の割合を示しながら、1カ月の平均支出との関係を見ていきましょう。
1人暮らしの場合
まず、最も基本的な生活スタイルとして、1人暮らし世帯のデータを見ます。以下に、1人暮らしの場合の、持家率、家賃などを支払っている世帯の割合、平均支出の関係を示します。
項目(単位) | 調査結果 |
持家率(%) | 56.4 |
家賃・地代を支払っている世帯の割合(%) | 37.7 |
消費支出(円) | 158,911 |
夫婦2人の場合
次は、夫婦などに代表される2人暮らしの生活状況です。
以下に、2人暮らしの場合の、持家率、家賃などを支払っている世帯の割合、平均支出の関係を示します。
項目(単位) | 調査結果 |
持家率(%) | 87.5 |
家賃・地代を支払っている世帯の割合(%) | 12.2 |
消費支出(円) | 251,440 |
4人家族の場合
家族構成に関するデータの最後は、夫婦と子供2人など4人家族の場合です。
以下に、4人暮らしの場合の、持家率、家賃などを支払っている世帯の割合、平均支出の関係を示します。
項目(単位) | 調査結果 |
持家率(%) | 83.0 |
家賃・地代を支払っている世帯の割合(%) | 15.2 |
消費支出(円) | 314,599 |
理想的な支出の割合
様々な家族形態や環境について分類・調査した場合の、それぞれの平均消費支出が分かったところで、自分の家計がどのようにお金を使っていくのがベストかを考えることにします。
それぞれの家計に最も適した配分で支出できれば、お金に関する問題もいくつかは解決することが期待できます。
ここでは、代表的な3つの世帯形態について、1カ月に必要な支出を項目別に分け、一般的に理想だと言われる支出割合を確認することにしましょう。
1人暮らしの場合
まず、最も基本的な生活スタイルといえる単身(1人暮らし)世帯について、理想的な支出割合を確認します。
以下に、1人暮らし世帯の場合の、支出項目と理想の割合を示します。
支出項目(内訳) | 理想の割合(%) |
食費 | 18 |
住居費 | 28 |
水道光熱費 | 6 |
通信費 | 6 |
保険料 | 4 |
趣味・娯楽費 | 4 |
被服費 | 3 |
交際費 | 5 |
日用品・雑費 | 3 |
その他 | 6 |
貯蓄 | 17 |
夫婦2人のの場合
以下に、2人暮らし世帯の場合の、支出項目と理想の割合を示します。
支出項目(内訳) | 理想の割合(%) |
食費 | 15 |
住居費 | 25 |
水道光熱費 | 5 |
通信費 | 6 |
保険料 | 4 |
趣味・娯楽費 | 3 |
被服費 | 3 |
交際費 | 2 |
日用品・雑費 | 2 |
こづかい | 12 |
その他 | 3 |
貯蓄 | 20 |
子供のいる家族の場合
子供のいる家庭の場合、その年齢によって支出の内容が変わってくるので、ここでは、小学生以下の子供の場合と中高生の場合に分けて、それぞれの理想的な支出割合を見てみることにしましょう。
以下に、各年代の子供がいる家庭の理想的支出割合を示します。
支出項目(内訳) | 理想の割合(%) | |
小学生以下の子供 | 中高生の子供 | |
食費 | 14 | 15 |
住居費 | 25 | 25 |
水道光熱費 | 6 | 6 |
通信費 | 5 | 6 |
保険料 | 6 | 6 |
趣味・娯楽費 | 2 | 2 |
被服費 | 3 | 3 |
交際費 | 2 | 2 |
日用品・雑費 | 2 | 2 |
こづかい | 10 | 10 |
教育費 | 10 | 12 |
その他 | 3 | 3 |
貯蓄 | 12 | 8 |
家計簿でお金を貯める
ここまでの項目で、自分に近い地域や環境に生活する人が、平均的に1カ月に支出する金額をざっと確認していただけたと思います。これによって、ご自身の生活がお金を使い過ぎかどうか、ある程度は把握されたのではないでしょうか。
ここからは、その支出をいかに管理して、節約につなげられるかを考えていきしましょう。
家計簿のつけ方で節約に繋がる
家計簿は、限られた収入から出したお金の内訳を、後から確認できるよう記録するツールですが、逆に、月の支出をあらかじめ設定して、積極的に管理することにも使えます。
この場合は、家計の支出をあらかじめ、固定費(家賃、ローン、保険料など)と変動費(食費、医療費など)に分類し、それぞれの予算を決めてしまいます。
こうすることで、毎月やりくりできるお金が明確になり、固定的な出費のためにあたふたすることもなくなるでしょう。
また、月の最初に、あらかじめ貯蓄分の金額を固定費へ含めておくことで、生活の浪費分が貯蓄額を圧迫することも防げます。
家計簿のつけ方のコツ
家計簿を活用する上での最大の課題は、挫折しないことといってもよいでしょう。家計簿は、あまり無理をしないで気楽に続けるという心構えも必要です。
スマートフォンのアプリや、PCの家計簿ソフトなどを使うのも、楽に継続するという意味では有効な手立てです。また、家計簿がつけられる無料のサイトなどもあるので、そういったものを利用して試しに初めてみるのがよいでしょう。
つけはじめ当初は、あまり細かいことにこだわらず、ざっくりとした内訳とおおまかな金額だけでもOKです。それでも記録してみると、無駄にかかっている支出などが見えてきます。
まとめ
お金の使い方は、各家計によって様々で、節約できているか浪費してしまっているかも、一概に言えないところがありますが、だからこそ、世の中全般の平均的支出額を知ることで、自分の生活状況を客観的に見ることができます。
ときには、総務省などが発表する公的な調査結果を参照しつつ、自分の支出を見直して、節約や貯蓄にうまくつなげましょう。