2017年度最新の平均貯蓄額とは
家計をやりくりしながら貯蓄をするのは、意外と大変なものです。同時に、世の中と比べて自分の貯蓄がどのレベルにあるか、把握している人も多くないのではないでしょうか。
今回は最新の統計を参考に、自分の貯蓄レベルを確認してみましょう。
平均値と中央値の違い
貯蓄額などの統計結果を見るとき、『平均値』という数字が持ち出されることがあります。『平均値』とは、調査対象者全員の貯蓄額を一度全部合計して、対象者それぞれに均等に割り振った数字のことです。
自分の貯蓄額と平均の貯蓄額を比較すれば、自分が全体からみてどのくらいに位置するのか分かりそうですが、必ずしもこの平均値が最適な比較対象だとは言い切れません。
対象者の中に突出した人がいると、その人の数字に全体が引き上げられて(あるいは引き下げられて)しまうからです。
そこで、自分の置かれている位置を知るために、『中央値』というもう一つの数字が大切になってきます。
調査対象者によって貯蓄額には高額から少額まで差がありますが、その真ん中の金額が中央値の表す数字です。調査したグループの貯蓄額が、おおむねどの程度の金額帯なのかを、シンプルに知ることができます。
平均値も中央値も、統計的には大切な数字ですが、その両方をきちんと見ることで、自身の貯蓄レベルをよりよく評価できると言えるでしょう。
貯蓄額の推移
総務省統計局の調査によると、日本の家計における貯蓄額は、最近5年間は平均値・中央値ともに増加し続けています。以下に期間の調査結果推移を示します。(単位は万円)
年 | 平均値 | 中央値 |
2016 | 1,820 | 1,064 |
2015 | 1,805 | 1,054 |
2014 | 1,798 | 1,052 |
2013 | 1,739 | 1,023 |
2012 | 1,658 | 1,001 |
貯蓄内容の内訳
家計の貯蓄内容には、通貨性預貯金(普通預金など)や定期性預貯金(定期預金など)、生命保険、有価証券、そして金融機関外への貯蓄といった、5種類があります。
いわゆる一般の家庭が、どのような形で貯蓄を行っているのかを知るために、以下に、総務省統計局が調べた平均年収世帯における貯蓄内訳を示します。
内容 | 全体に対する割合(%) |
通貨性預貯金 |
22.6
|
定期性預貯金 |
39.9
|
生命保険など |
20.8
|
有価証券 |
14.6
|
金融機関外 |
2.1
|
属性別の貯蓄額データ
自分の貯蓄状況をできるだけ公正に判断するためには、自分と同じような立場の人が大体どのくらい貯蓄しているかを確認することも大切です。
ここでは、年代、年収、性別で分類した時に、一般的な貯蓄状況がどうなっているかを見てみます。(2016年度の調査結果)
年代別データ
まずは、年齢と貯蓄の関係を見てみましょう。
年代は、40歳未満、40~49歳 、50~59歳、60~69歳、そして70歳以上の、5つの年齢層に分けてのデータが公表されています。
以下に各年代の貯蓄状況を示します。
年代 |
貯蓄額(万円)
|
40歳未満 | 574 |
40~49歳 | 1,065 |
50~59歳 | 1,802 |
60~69歳 | 2,312 |
70歳以上 | 2,446 |
世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況
年収別データ
それでは、お金をどのくらい稼いでいる人が、どれくらい貯めているのでしょうか。
年収別の貯蓄状況データは、~329万円(第I階級)、329~446万円(第II階級)、446~602万円(第III階級)、602~ 828万円(第IV階級 )、828万円~(第V階級)、の5つの金額層に分けてのデータが公表されています。
以下にその内容を示します。
階級 | 年収 | 貯蓄額(万円) |
Ⅰ | ~329万円 | 1,260 |
Ⅱ | 329~446万円 | 1,872 |
Ⅲ | 446~602万円 | 1,598 |
Ⅳ | 602~ 828万円 | 1,768 |
Ⅴ | 828万円~ | 2,602 |
性別によるデータ
最後に、年齢・年収は関係なく、性別のみによっての貯蓄状況の違いを見てみます。
同じ性別の中でも、人により経済状況に幅があるので、単純に男女で2分できるものではありませんが、ここではひとつの例として、独身男女の貯蓄額(平均値・中央値)を示します。
性別 | 貯蓄額平均値(万円) | 貯蓄額中央値(万円) |
男性 | 1,118 | 480 |
女性 | 1,279 | 679 |
住宅ローンなどの負債は?
家計を適切に評価するには、貯蓄に加えてローンなどの負債も考慮する必要があります。
2016年度における、日本の2人以上世帯の負債額状況は、総務省統計局の発表によれば、平均値が1,357万円、中央値は1,006万円、となっています
貯蓄額と負債の比較
今度は、どのくらいお金を貯めている人が、どのくらいのお金を借りているのかについてです。
以下に、貯蓄額を低い方から高い方まで5等分し、それらI~Vの各階級について、貯蓄と負債額の平均がどの程度あるかを示します。
階級 | 貯蓄額(万円) | 負債額(万円) |
I | 94 | 621 |
II | 450 | 748 |
III | 1,003 | 537 |
IV | 2,003 | 398 |
V | 5,548 |
230
|
貯蓄を増やすポイント
統計的データとご自身の預金通帳を比較して、現在の貯蓄状況を客観的に把握した後は、それをいかにして増やすかを考えていきましょう。
端的に言えば、収入から支出を引いて残りが貯金になるわけですが、現実には、計画通りに貯蓄できない人が多いのではないでしょうか。
以下に、貯金を増やすための方法をいくつか紹介していきます。
現状把握と収支の見直し
収入の形態も様々ありますが、多くの人が、1カ月当たりの収入をある程度は把握しているだろうと思います。
本来なら、その金額から支出に回せる金額は確定するはずですが、普段の生活の中、意外と大雑把にお金を使ってしまいがちです。
家計の収支をしっかり把握することは、貯蓄を増やす(あるいは、赤字を少しでも減らす)ために、まず第一に考えなければいけないことです。そのためには、家計簿をつけるというのもひとつの手と言えます。
最近ではスマートフォンのアプリや、ウェブサイトを使って家計簿をつけることができます。ある程度ざっくりしたレベルから、気軽に家計管理をはじめるのもよいでしょう。
例として、PCで家計簿がつけられるサイトを、以下に載せておきます。
ライフプランシミュレーション
貯蓄というものは、一朝一夕にできるものではないのは明らかです。うまくお金を残していくには、自分のライフスタイルとの兼ね合いを知る必要があります。
家族や生活の形態、そして家計の収支の見込みなどを使って、長期のスパンで貯蓄・負債の状態がどう推移していくかを、ある程度明確に知ることができるツールが、ライフプランシミュレーションです。
自分の金銭感覚が、将来どういった状況につながってゆくのか、実際に計算してみるとドキっとする結果が出たりもします。
ちょっと堅苦しい名前ですが、このシミュレーションも、下のリンクのようなウェブサイトを使うと気楽に試すことができます。
先取り貯金
毎月入ってくる収入から、残す分の金額を真っ先に確保しておくというのが、この先取り貯金の考え方です。
言い方を変えると、貯蓄に回す分のお金も生活費などと同列に扱って、強制的に残るようにしようというアイディアです。
例えば、銀行などには、下のリンクのような積み立て型の預金もありますので、自分の家計にあったものを見つけて、無理なく貯金するのがよいでしょう。
資産運用を検討
将来のために貯蓄を残すという意味で、より積極的な手法が投資などの資産運用です。
最近ではETF(日経平均連動型などが代表)やREIT(不動産に投資)といった、少額から始められる金融商品が多く発売されています。
もちろん、価格変動が大きく、損失になるリスクはあります。現金の預金をしっかり残したうえで行うのが、投資など資産運用の鉄則です。
まとめ
総務省の調査を見る限り、いわゆる、アベノミクスが始まってから、日本人の貯蓄額が順調に伸びているのも事実のようです。
とはいえ、経済状況はつねに変化しているものですから、景気は必ず上昇から下降に転じる瞬間が訪れます。そう考えると、将来に対して楽観的すぎるのも問題と言えそうです。
現実をしっかり把握した上で、家計の管理を賢く行い、未来への貯蓄を膨らませたいものです。