貯金がない家族は目標を持とう
これから本格的に貯金を始めるには、最初に目標を決めます。貯金に対して苦手意識がある場合は、どのような点に注意して、目標を決めるとよいかについて説明していきます。
無理のない具体的な目標が理想
初めから頑張って、高い目標を掲げる必要はありません。例えば、10万・20万といった、少し頑張れば達成できる程度の無理のない目標にしましょう。
目標を決める際に気を付けたいのが、『いつまでに・何のために・いくら貯めるのか』といった、期限・金額・目的に具体性をもたせることです。
最初は期間も1カ月~半年といった短い設定にし、目標を達成できたら、次は前回より目標金額を少し上げて期間も長くするというように、徐々に目標をステップアップさせていきます。
家族で目標を共有し協力する
貯金の目標を決める場合は、なるべく家族みんなで話し合って決めましょう。子供も一緒に参加することで、自然と金銭感覚が身につきます。また、一人で目標を決めて出費を抑えようとしても、思うように効果は上がりません。
家族みんなで目標を共有すると、それぞれがこれまで何となく使っていたお金を意識して使うようになり、節約効果が出やすく、家庭全体が貯金していきやすい状態となります。
また、目標が達成できたら、何かご褒美になるような事柄を決めるなどして、貯金を楽しく続けていける工夫をしてみましょう。
現在の家計状況を確認する
貯金を始める前に、毎月の収入・支出・貯蓄額、また、住宅ローンなどの負債について、現在の家計がどのような状態なのかを確認する必要があります。
これには、家計簿を使うとわかりやすく確認することができます。大きな項目に分けて、1カ月の家庭の収入と支出を記録していきましょう。家計簿を数カ月つけると、毎月の平均的な支出傾向が把握できます。
この家計簿の記録をもとに、これまでの家計について見直す作業を行います。そして、支出の削った部分を、貯金へとまわすようにするのが基本的なやり方です。
家計簿で収入・支出・貯蓄を確認
家計簿をつける際は、自分が続けやすい簡単な方法で始めます。ポイントは次のような点です。
- 収入・支出・貯蓄の動きをわかるようにする
- 自分のつけやすい形でトライする(アプリ等の利用も検討)
- 最初は支出費目を細かくしすぎない。(後から必要に応じて細分化)
- 継続することが最も重要
面倒だと感じる方は、1週間分をまとめてつけたり、1円単位は四捨五入したりしても構いません。わからない支出は、使途不明などの費目を設けまとめます。
固定費を減らす
それでは、支出の減らし方について、具体的に考えていきます。最初に見直したいのが『固定費』です。固定費とは、ローンや家賃、保険料など、毎月一定額発生する支出のことを言います。
固定費は普段の生活でも節約できますが、あまり大きな効果は期待できません。大きな効果を出すには、契約業者や契約プラン、また住宅ローンに関しては借り換えといった、根本的な見直しが必要です。
固定費の見直しは、生活の質をそれほど落とさず、家計の支出を大きく減らすことが可能なうえ、一度見直すと毎月継続して支出を減らすことができる、非常に効果的な家計の見直し方法です。
契約業者を見直す
契約業者の見直しで、どの程度、料金を抑えられるのでしょうか。
電力は、2016年度の経済産業省の調査によると、電力小売全面自由化に伴い参入した新電力の料金単価は、規制料金に比べ、約9円(4%)安いという結果が報告されています。
また、通信費はMM総研が2016年に実施した調査で、MVNO利用者の平均月額利用料金が、音声通話対応MVNOの場合で、大手キャリアスマートフォンの約4割、音声非対応MVNOでは約3割になる、という結果を公表しています。
生命保険では、通販・ネット専用保険が保険料を割安に設定しています。生命保険は保険料の安さで選ぶことはできません。保障内容と保険料を吟味し、現在の家庭の状況に適したものを選ぶことが大切です。
(※MVNOとは、『Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)』の略語です。主なMVNOとしてテレビのCMでもおなじみのUQ mobileなどがあります)
総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会(第4回)‐配布資料(METI/経済産業省)
スマートフォン・MVNOの月額利用料とサービス利用実態(2016年12月) « ニュースリリース | 株式会社MM総研
契約プランの見直しと注意点
契約内容やプランの見直し方と、見直す場合の注意すべき点について説明していきます。
電気
各家庭の生活スタイルに合わせた料金プランを選択すると、電気料金は安くなります。各業者の公式サイトや、電力業者比較サイトでシミュレーションを行うと、最適なプランの選択が可能です。
料金プランには、契約アンペアを下げて基本料金を安くしたり、夜間は割安で昼間は割高な料金設定にしたりするなど、様々なプランがあります。
契約は、ネットや電話からも申し込みが可能です。現在の電力会社への解約手続きは、新しい契約会社が行うため必要ありません。業者を選ぶ際には、供給地域や、契約期間の縛りなど、業者により条件が異なるので注意が必要です。
電力の自由化や、契約手続については、下記の資源エネルギー庁公式サイトに、詳しい情報が紹介されています。
生命保険
生命保険料は、保険金の減額・特約の解約などによって安くできます。下の表は、生命保険文化センターの平成27年の調査から、世帯主の年代別普通死亡保険金額を示した表です。見直しの参考にしましょう。
年代 | 平均額 | 年代 | 平均額 | 年代 | 平均額 |
29歳以下 | 1,529万円 | 45~49歳 | 2,223万円 | 65~69歳 | 911万円 |
30~34歳 | 2,171万円 | 50~54歳 | 2,009万円 | 70歳以上 | 640万円 |
35~39歳 | 2,040万円 | 55~59歳 | 1,945万円 | 全年代平均 | 1,509万円 |
40~44歳 | 2,163万円 | 60~64歳 | 1,214万円 |
また、世帯主が亡くなった場合に必要な保障額を、次のような計算で求めることもできます。各家庭で家族構成や条件が異なるため、あくまでも目安として考える数値です。
必要保障額(死亡保障の不足額<目安>)
=末子独立までの遺族の生活費+末子独立後の配偶者の生活費+別途必要資金-収入見込み
出典:Q.生命保険の加入金額の目安は?|公益財団法人 生命保険文化センター
生命保険は内容が複雑なため、慎重な見直しが必要です。特約に関しても様々な種類があり、会社により保障内容や契約条件が異なります。
通信費
通信費で気になるのが携帯電話です。MVNO事業者の格安スマホを利用すると料金を安く抑えられます。
他にも、通話料が安くなるアプリの利用や、使わないオプション契約の解除、また、インターネット回線とのセット契約などの方法でも料金を安くできます。頻繁に発表される新プランの内容にも注目しましょう。
格安スマホに関しては料金が割安である一方、契約などのトラブルも増加しています。「一般社団法人テレコムサービス協会」が、格安スマホや格安SIMを利用する際のポイントについて、下記の公式サイトで公表しています。
自動車関連
自動車保険については以下の見直しにより、保険料を安く抑えられます。
- 年齢条件と運転者の範囲を限定する
- 車両保険を付ける場合は、補償する事故の範囲を限定する
- 免責金額を設定する
また、2台目以降の車の新契約や、ゴールド免許になった場合にも、割引の適用があったりします。特約事項に関しては、不必要な項目はないか確認が必要です。
車検についても、業者の変更で安くできる場合があります。それぞれの業者によりメリット・デメリットがあり、費用も異なります。ネットで何社か見積りを出し、費用だけでなく車検内容にも注意して業者を選びましょう。
軽自動車の車検費用の相場とサービスを徹底比較! - SBI損保の自動車保険
自動車保険を見直して賢く節約するポイント - SBI損保の自動車保険
日常生活でできる節約
日頃からできる節約について、いくつか具体的にご紹介します。まず、電気の場合は、照明をLEDに替える、炊飯器は保温をなるべく使わない、野菜の下ゆではレンジを利用するなどすると節約になります。
あまり車に乗らない家庭は、車を持たないという選択も考えられます。レンタカーを借りたり、タクシーや公共の乗り物を利用したりすれば、維持費はゼロです。
資源エネルギー庁のサイトに「上手な省エネの方法」として、色々な節約法が掲載されています。すべて実践しようとせず、負担にならないものを選んで実行してみましょう。
上手な省エネの方法 | 一般向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト
変動費を減らす
月によって金額に変動がある支出を『変動費』と言います。例えば、食費・衣料費・レジャー費・交際費などが変動費です。変動費を減らすことは、日常生活の質の低下につながりやすく、ストレスが溜まりがちです。
なるべくストレスを避けながら、これらの変動費を減らすには、どうすればよいのかについて具体的にご説明します。
無駄なものを買わない
何かを購入する際には、本当に必要なのか判断することが大事です。衝動買いをしないためにも、商品購入後に得られる効果や利益と、商品の値段とのバランスを考えます。迷った場合は購入せず、家に帰って別の日に出直しましょう。
また、スーパーなどで買い物する際も目的買いを心がけ、時間をかけて店内を一周することは避けます。そのほか、家族でレジャーのように、週末にショッピングモールなどへ出掛けることもなるべく控えましょう。
お金を浪費してしまいそうな場所へは、あまり近づかないほうが賢明です。また、余計な商品の購入を防ぐために家の中を整理し、何がどこに、どれだけあるかを、管理できる状態に保つことも大切です。
優先度の低い順に削る
ストレスを避けながら変動費を減らすには、優先度の低い支出から削っていきます。それぞれの家庭で、変動費に対する優先順位は異なります。
全部やめることが無理なものは、回数を減らす、代替となるものを探す、値段の安い商品に切り替える、などの工夫が必要です。子供の洋服のような、すぐ買い替えとなるものは、フリーマーケットやネットで安い商品を探しましょう。
日用品や食料品も、セールや各店舗のプライベートブランドの商品を利用する、コンビニへ行く回数を減らす、自販機で飲料を買わないなどの出費を抑える方法を、家族で考え実行していきます。
変動費の削減は、日頃の小さな節約の積み重ねを続けていくことが重要です。
貯金できる環境をつくる
貯金できる環境とは、無理なく毎月貯金ができる状態を言います。途中で挫折することなく貯金を続けるには、非常に大切なことです。
積立を利用し貯金を優先
貯金には、会社の財形貯蓄や銀行の積立定期預金など、給与からの天引きや自動振替を利用すると、毎月必ず貯金ができます。最初に積み立てる金額は、無理のない金額にして、余裕があれば後から増額することを考えましょう。
定期預金は好金利商品が多いネット銀行を利用する、ATMの手数料が安い銀行を選ぶなど、銀行の利用の仕方で節約できる方法も色々あります。
無理のない予算を立てる
毎月の貯金額が決まったら、家計簿を見ながら費目ごとの予算を決め、次のように計画的にお金を配分していきます。
- 給与がでたら、先に毎月の貯金額を貯金口座へ入金
- 光熱費・通信費などの固定費を確保し、支払口座へ入金
- 残りの変動費(給与-貯金額-固定費)を、生活費として費目ごとに分配
- 生活費が変動費の予算内に収まるよう、生活をやりくりする
- 予算オーバーする場合は、貯金額や固定費の見直しをする
- それでもダメなら収入を増やすことを考える
費目の予算内に支出を収めることが理想ですが、それが無理な場合は、他の費目の支出を抑えるなど、全体が変動費の予算内に収まるよう、柔軟に対応することがポイントです。
また、雑費やその他などの項目を設け、たまには息抜きができるよう、予算にはゆとりをもたせましょう。
まとめ
確実に貯金をするには、毎月生活した残りの金額を貯金することを改め、貯金した残りの金額で生活する習慣をつけることが大切です。
貯金は、コツコツと長く継続することが重要になります。無理せず、たまには気分転換しながら目的に向けて、貯金が続けられるよう家族で工夫していきましょう。
貯金がない人ってどれくらいいるの?これから貯金上手になるには