始めに貯蓄のシミュレーションを
ライフプランを使えば、いつ頃にいくら必要になるのかがわかります。貯蓄計画は今のままで大丈夫か、シミュレーションしてみましょう。
ライフプランが必要な理由
人生においては、まとまったお金が必要になる大きなイベントがいくつかあります。結婚やマイホームの購入、子供の大学進学などですが、これらがいつ起きるのか、必要な金額はいくらなのかは、ある程度予測できるものです。
この2つがわかっていれば、貯蓄計画を明確に立てられます。漠然と余ったお金を貯めていたのでは、いざそのときに準備ができていないといった事態になりかねません。
ライフプランをきちんと立てておけば、早めに貯蓄の準備を始めたり、ライフイベントを見直したりなどの対策が可能となり、資金不足による計画の頓挫や、不用意に借金をしてしまうというような事態を未然に防げます。
ライフプランで人生をながめると
実際にライフプランを立ててみましょう。現在は以下のようなホームページを利用すると、簡単にライフプランを立てられます。
ライフプランシミュレーション : 金融庁
ライフプラン診断
ライフプランシミュレーション | ゆうちょマネーガイド
ただし、こちらは同じような状況の人たちの過去データを参考にして計算されたデータのため、実際値とは少々異なります。そのため、ある程度イメージがつかめたら、今度は自分でオリジナルのライフプラン表を作ります。
縦軸に家族の名前、横軸の最上段に西暦を記入してから、家族それぞれの年齢とライフイベントを書き込んでください。これだけで、いつ頃にお金が必要になるのかが見えてきます。続いて縦軸に収入と支出をシミュレーションした額を書き込みます。
もし資金面で厳しいイベントを発見したら、中止・延期・縮小などが必要です。
ライフプランで貯蓄割合が決まる
ライフプランは十人十色です。もちろんファイナンス面での整合性は重要な要素ですが、個人の価値観を反映したライフプランこそが、充実した人生を送る上での頼れるパートナーとなりえます。
貯蓄割合を一律に決めると?
マネー雑誌などの家計相談では、貯蓄割合は収入の15~20%が適切とされています。
しかし、これはあくまでも平均値です。例えば、マイホームを買うのか賃貸に住み続けるのか、都心部に住むのか郊外で暮らすのか、子供の教育はどこまで考えるのかなど、各自の価値観や人生観によって必要な貯蓄額が変わってきます。
また、収入と貯蓄率は比例する傾向が高いため、収入の多寡も見逃せない要因です。さらに、同じ人であっても、ライフステージによって貯めやすい時期と、どうしても支出が超過してしまう時期とがあります。
このような理由から、貯蓄割合を一律に決めることには無理が生じます。
貯蓄割合はフレキシブルに
貯蓄割合をフレキシブルに変動させることが、無理なく必要な貯蓄額を貯めるコツです。例えば、子供が公立の小・中学校に通っている9年間は絶好の貯めどきとなります。
学校教育費(円) | 学校給食費(円) | 合計(円) | |
小学校(1年間) | 59,228 | 43,176 | 102,404 |
中学校(1年間) | 128,964 | 38,442 | 167,406 |
文部科学省 平成26年度子供の学習費調査-Ⅱ 調査結果の概要
しかし、比較的ゆとりのあるこの時期にありがちな失敗は、過剰な教育投資です。必要な資金が確保できる見通しが立っていればよいのですが、そうでないのになんとなく習い事や塾などにお金を使ってしまうことは避けたいものです。
また、子供が大学へ通う時期には、どうしても支出が先行してしまいます。
私立(理系) | 私立(文系) | 国立 | |
大学入学から卒業までの在学費用(万円) | 879.7 | 695.1 | 484.9 |
この時期は無理に貯金をするより、学費以外の支出を抑えたり先延ばしにしたりすることで負債を増やさないことを目標にするのが賢明です。
ライフステージごとの目標を持つ
家族においてのライフステージは、新婚期→育児期→教育期→子供独立期→老夫婦期と進んでゆきます。この時期ごとに最適化した貯蓄計画を立てることが、無理なく人生航路を漕ぎ渡っていく秘訣です。
要るときをシミュレーション
支出が優位になる時期は、主に「教育期後半」と「老夫婦期」です。もし親の介護や援助をする必要があれば、その時期も出費がかさみます。しかし、支出の時期は動かせないかもしれませんが、支出額に関してはある程度の調整が可能です。
例えば、教育資金を全て親が賄うのではなく、奨学金を利用して子供にも負担させることで、支出を抑えられます。学校によっては学費免除制度が設けられていることもあります。
親への援助についても、他の兄弟にも負担を求めたり、安く利用できる制度を探したりすれば負担を軽減できます。
老後資金への不安も大きいものですが、病気にならない健康生活を心掛けるだけで支出を抑えることができます。
貯蓄額を増やす方法とは?
ライフステージの中で、「新婚期」「教育期前半」「子供独立期」は、お金の貯め時です。しかし、つい気がゆるんで浪費が増えてしまう時期でもあります。
そこで、貯蓄のターゲットを絞り込み、集中的に貯蓄額を増やすことをおすすめします。「新婚期」は住宅取得資金がメインターゲットにし、住宅費用の頭金を貯めることが目標です。
「教育費前半」では大学進学費用を貯めます。学資保険を利用すれば確実に教育資金を貯められます。契約者に万一のことがあればその後の保険料は不要となるため、世帯主の生命保険代わりにもなります。
「子供独立期」はライフステージ最後の貯め時で、この時期に住宅のリフォームを済ませて老後の住居費を抑えるのも一計です。
老後資金のシミュレーション
少子高齢化が進み景気の回復もままならない昨今、どうしても老後の不安は大きくなりがちです。しかし、今があっての老後です。いたずらに不安を煽るような報道に惑わされず、一度冷静になって老後資金のシミュレーションをしてみましょう。
調査では、夫婦二人で老後の1カ月に掛かる生活費は24万円程度となっています。この金額は、健康を維持したり外食を抑えたりすることで賄えます。
また、長期的には節税にもなる個人型確定拠出年金iDeCoやNISAを活用し、最終的には持ち家を担保に入れ、金融機関から融資を受けるリバースモーゲージを利用することで、老後資金を調達できます。
まとめ
ライフプランを活用し、ライフステージごとに必要となる貯蓄額をシミュレーションすることのメリットをお伝えしました。貯金の目標割合やどのくらい貯めればいいのかを知るためには、ライフプランが欠かせません。
明確な資金計画と立てて貯蓄の目標が定まれば、それぞれのライフステージを充実させながら、コツコツと着実に貯蓄を重ねて必要となるお金を準備できます。
貯め時を逃さず、踏ん張りどころをしのぎ切れば、家族全員の夢を実現することが可能です。ライフプランを上手に活用して、お金を上手にコントロールしていきましょう。
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