年代別給料からの貯金額の割合
社会に出たばかりの若年層に比べると、長年社会で働いている中高年層のほうが所得が高いのは当然のことです。実際に年代別の平均年収も、年齢が上がるのに比例して上がっています。
ここでは、そういった年代別に分けて、世間一般の人たちがどの程度額の貯金をおこなっているのかを、金融広報中央委員会による「家計の金融行動に関する世論調査(平成28年)」の数値を参考に紹介します。
全世代での平均は?
年代問わず一般的な貯金額の平均は単身世帯で1,590万円、二人以上の世帯だと1,615万円という結果が出ています。
一見とても貯金額が多いように感じますが、平均値の場合は高額に貯金している人が平均を引き上げていることが多いため、現実に近い数値を知るには『中央値』を見る必要があります。
中央値で見てみると、単身世帯が600万円、二人以上の世帯だと950万円というのが貯蓄額の相場になっていることがわかります。
20代での貯金額の割合
20代の貯金額の中央値は単身世帯で158万円、二人以上の世帯だと215万円になっています。
当然20代では、まだ結婚しているという人も少なく、平均の世帯人数も少ないため、生活にかかる必要なお金も子供がいる世帯に比べ少ない分、貯金に回せる金額の比率は大きくなっています。
これから結婚や住宅購入などお金のかかることが待ち構えていますので、将来を考えると独身時代にどれだけ貯金ができるかがポイントになります。
30代での貯金額の割合
30代の貯金額の中央値は単身世帯で500万円、二人以上の世帯だと410万円になっています。30代になると単身世帯の貯金額が二人以上の貯金額を上回っていることが読み取れます。
この年代になると、結婚して所帯を持つ人が増えてくるため、生活費や子供にかかる費用が増えてくることが原因と考えられます。
しかし、子供が小さければ養育費もそれほどかからず、共働きしている家庭も多いため、収入を貯金に回すことは、まだまだ難しくない年代です。
40代での貯金額の割合
40代の貯金額の中央値は単身世帯で789万円、二人以上の世帯だと602万円になっています。基本的には40代が、もらう給料の額が一番上がる時期だと言われています。
しかし、二人以上の世帯では、子供が成長し養育費が一番かさむ時期と重なってしまうため、貯金に回せる額は30代に比べるとそれほど変わらないというのが多くの家庭の現状です。
ただし、収入も30代に比べると上がっている人も多いため、貯金額そのものが下がっているという傾向はほとんど見られません。
50代以降の貯金額の割合
50代の貯金額の中央値は単身世帯で1,064万円、二人以上の世帯だと1,074万円になっています。
二人以上の世帯では、この時期になると子供も独り立ちする家庭も多くなるため、逆に給料からの貯金の割合も増加し、単身世帯とほぼ変わらなくなっています。
ただし60歳を過ぎると定年退職となる人が多いため、これまでにどれだけ貯金額を増やしておくかということが大切なポイントです。
本当の貯金額は「貯蓄-負債」
こうやって見てみると、年を重ねるごとに順当に貯金が増えているといったイメージを持ってしまいます。
しかし、実際は年を重ねるごとに住宅ローンなどの負債もでてくるため、負債の残っている間は、貯金額から負債額を引いた額が、本当の貯金額と言えるでしょう。
そう考えると必ずしも、年を重ねるごとに順当に貯金額が増えているとは言えないことに気付きます。
独身者の貯金額の割合
前述の通り、やはり給料からの貯金額の割合は20代の若い世代が高くなっています。つまり独身時代が貯金額を増やす一番のチャンスだと言えます。
親と同居時が一番の貯蓄時
独身者の中でも、親との同居を続けている人は、当然家賃を払う必要もなく食費も節約できますので、生活水準を下げることなく貯金にお金を回すことが可能です。
もちろん、親と同居しながらも家賃や光熱費、食費を親に払っているという人も多いですが、それでも一人暮らしをしている人に比べれば、安く済んでいるのは間違いありません。
そのようなことからも、親と同居している人は、下記のような毎月かかるであろう出費の分を貯金に回すことができるため、貯金をおこなうには最適な環境だと言えます。
一人暮らしの生活費(全国平均)
- 家賃 66,000円
- 食費 20,000円
- 光熱費 7,000円
- 水道料金 3,000円
一人暮らしの生活費、全国平均でどれくらい?|マイホーム情報不動産
一人暮らしは手取り額の2割程度
一人暮らしをしている人であれば、様々な支出の中で一番高額な家賃という出費がかかってくるため、なかなか思うように貯金ができない人も少なくありません。
できることなら、給料の3割程は貯金に回したいところですが、食費や光熱費なども考えると、実際は給料の1割から2割程度を貯金するのが精一杯という人が多いのが実情です。
はじめての一人暮らしでは、できるだけ素敵な部屋を借りたいと考える人が多いですが、デザインの優れた部屋は家賃も高い傾向にあります。
所詮は賃貸物件ですので、できるだけ家賃の安い物件を選んだほうが差額を貯金に回すことができるため、将来後悔しないと言えます。
夫婦2人の貯金額の割合
結婚して所帯を持つと、当然収入も支出も変わってきます。以前は、男性が外で働いて女性が専業主婦という形が主流でしたが、現在は共働きの家庭のほうが増えてきています。
そんな結婚後の貯金額は、結婚前に比べてどのように変わってきているのでしょうか。
夫婦2人での貯金額は3割程度
結婚をすると独身時代のように貯金をするのは難しいというイメージがあるかもしれません。
いわゆるできちゃった婚などの場合は、最初から世帯人数が3人などになるため、その分支出が増えることになりますが、結婚したばかりの頃は独身時代とあまり出費は変わりません。
そのため、貯金も独身時代と変わらずにスムーズにおこなうことができるため、子供ができるまでは、なんとか世帯収入の3割程度は貯金に回したいところです。
共働きでの貯金
共働きともなると、それこそ独身時代と変わらない貯金額の割合を維持することが可能です。
当然、将来子供ができるとその分出費は増えていきますので、いかにそれまでに貯金額を増やせるかがポイントになってきます。
子育て期の貯金は難しい
子供ができ、子育て期に入ると、いかに共働きであろうとこれまでと同じ貯金額を維持するのは難しくなってきます。
まだ子供が小さな頃はそれほどお金はかかりませんが、子供が成長するにつれて教育費や食費など、出費はどんどん増えていくものです。そして、子供が義務教育を終え、高校、大学と上がっていく頃が出費のピークになります。
この時期は家計を赤字にしないというだけでも精一杯になってしまうでしょうから、できれば、これまでにできるだけ貯金を蓄えておき、何か起こったときの備えにしましょう。
子供がいない共働き期がチャンス
このように、子供を作り子供が成長する前、つまり子供のいない共働き期にいかに貯金しておくことかが大事なポイントです。
結婚後は独身時代に比べると、住居はひとつになり光熱費や食費などの支出もひとつにまとめることができます。
もちろん、親と同居していた人であれば、給料からの貯金額の割合は減るかもしれませんが、一人暮らしの人であれば変わらない、もしくは増加するという人が多くなります。
そのため、夫の給料で生活費を賄い、妻の給料を全額貯金に回すなどすることで、かなりの額を貯蓄に回すことが可能です。
ただし、結婚をすることで結婚式や住宅購入など大きな出費もあります。そういった出費の分も含めて、子供ができるまでの共働き期にできるたけ貯金をすることが大切です。
まとめ
このように、給料からの貯金額の割合は年代はもちろん、そのときの状況次第で大きく変わってきます。
貯金とは将来の自分や家族のために行うものですが、ただ単純に貯金をすることを義務だと考えてしまうと、それほど辛いことはありません。
そのため、将来のことや老後をできるだけ不自由なく送るために、今は貯金をおこなっているんだ、という将来を見据えるという意識を持って、貯金することが重要なことだと言えます。