預金口座は目的別に考えよう
賢くお金を貯めていくには、具体的にどうすればよいでしょうか。まず預金口座は、目的別に分けてつくります。目的別とは『家計管理目的の口座』と『貯金目的の口座』になります。
そして、それぞれの口座をどの預金のタイプにするか、どの銀行に預けるのかを考えることが重要です。
銀行預金の種類をみてみよう
預金にはどんな種類のものがあるでしょうか。まず、下の表はそれぞれの預金の特徴をまとめたものです。
預金の種類 | できること |
「普通預金」とは? | 自由に預け入れ、払い戻しができる預金口座です。銀行取引の基本となる預金となります。公共料金や家賃などの自動支払い、給与や年金などの自動受け取りができます。 |
「定期預金」とは? | 1年、3年後など、預け入れ期間を決めて満期日まで原則、引き出しができませんが、金利が高いメリットがあります。 |
「総合口座」とは? | 普通預金と定期預金、公共債などの長所を組み合わせたものが「総合口座」です。「ためる」、「ふやす」、「受け取る」、「支払う」、「借りる」といった機能がセットになっています。 |
「当座預金」とは? | 当座預金は手形や小切手の支払いに使われる預金です。法律により利息が付きませんが、銀行が破綻しても、預金保険制度によって全額保護されます。 |
「貯蓄預金」とは? | 残高が定められた金額(基準残高)以上あると、普通預金より金利が高くなることが多いのが貯蓄預金です。出し入れ自由ですが、自動支払い、自動受け取りが利用できません。 |
「大口定期預金」とは? | 大口定期預金は、1,000万円から預け入れ可能な定期預金で、一括で預け入れて利用します。金額と期間に応じた金利が設定される自由金利型定期預金です。 |
「積立定期預金」とは? | 積立定期預金は、毎月、決まった日に預金の積み立てをして、目標額を目指す定期預金です。進学、旅行、住宅購入資金など目標額を設定した貯蓄に用いられます。 |
出典:目的に応じて使い分けたい7つの銀行預金 - 全国銀行協会
家計管理目的の口座とは
『家計管理目的の口座』とは、家計簿代わりとなるもので、通帳を見るだけでお金の出入りを把握できるようにします。毎月何にいくらお金を使ったかを知り、家計の無駄を省いて計画的にお金をつかっていくための口座です。
『家計管理目的の口座』は、給与の振込に利用する収入用の口座、そしてもう一つ別に食費や光熱費、カード決済などに利用する支出用の口座を設けます。
給与の振込先の指定がなかったり、面倒な方は収入用と支出用の口座を一つにまとめても構いません。
収入の推移を知るには、口座を分けた方が把握しやすくなります。『家計管理目的の口座』は、お金の入出金が自由にできる普通預金で管理します。
貯金目的の口座とは
『貯金目的の口座』とはその名の通り、お金を貯めて増やしていくための口座です。こちらの口座は、引き出すのに手間がかかり金利も高い定期預金にします。
お金の使い道がはっきりしている場合は、その予定に合わせた年数の定期預金を選びます。目的がはっきりしていない場合は、金利の高さなどで年数を決めてもいいでしょう。
また、貯金することが苦手な方は積立定期預金にすると、毎月必ず貯金できるようになります。
生活費は、『家計管理目的の口座』のお金で賄うよう日頃から予算を立て、計画的にお金を管理します。『貯金目的の口座』には、満期になるまで手を付けないことが大切です。
家計管理目的の銀行選び
家計を管理するための口座をつくる場合、どの銀行にするか選ぶポイントはどこにあるのか以下で解説していきます。
利便性と手数料で選ぶ
家計を管理する口座は、頻繁にお金を引き出すことになるので利便性が良く、手数料の安い銀行を選ぶとよいでしょう。
ちなみに利便性というのは、自宅や勤務先など自分が普段活動する範囲に、支店やATMといったものがどれだけあるかで決まってきます。
現在は銀行の支店が近くになくても、インターネットやコンビニのATMを利用すればそれほど問題はありません。ただ、銀行により利用できる時間や手数料が違うので、注意が必要です。
銀行別ATM利用料金の比較
ATMの利用手数料は、店舗を構える銀行に比べると、インターネットバンクが安く利用できてお得です。いくつかの銀行のATMサービスの手数料をご紹介しますので、詳しい情報はそれぞれのホームページにてご確認ください。
新生銀行
- 提携先のコンビニ/銀行では、入出金手数料が24時間365日無料
新生銀行はコンビニ・銀行ともに、提携先のATMであれば、入出金の手数料がいつでも無料という、ATMの手数料に関しては大変お得なネット銀行です。
ATM利用について(手数料0円・使えるコンビニATMなど)|新生銀行
イオン銀行
- イオンモール/イオン/ミニストップのATMは、いつでも入出金無料
- みずほ銀行/ゆうちょ銀行/三菱東京UFJ銀行は、平日の昼間は入出金が無料
- ATM手数料のWAONポイントへの還元が可能(一部の提携銀行のみ)
イオン銀行は、イオンモール・イオン・ミニストップにあるATMの入出金は、いつでも無料で利用できます。また、みずほ銀行・ゆうちょ銀行・三菱東京UFJ銀行に関しては、平日の昼間などは入出金が無料です。
他にも提携先のコンビニ・三井住友銀行・りそな銀行のATMでは、5回までの手数料はWAONポイントに還元できるサービスも行っています。ただ、セブンイレブンのATMではサービスの取り扱いがないので注意が必要です。
住信SBIネット銀行
- コンビニのATMは、24時間いつでも預け入れ無料
- ゆうちょ銀行のATMは、時間帯により預け入れ無料
- スマプロランクにより、月2~15回までATMでの引き出し無料
住信SBIネット銀行は、コンビニのATMでの預け入れは24時間いつでも無料です。ゆうちょ銀行は時間帯に制限がありますが、預け入れは手数料無料です。
ATMでの引き出しは、スマートプログラムという商品や、サービスの利用状況に応じたランク分けによって、月2~15回の範囲内で、無料で利用可能となる回数が与えられます。
その決められた回数を超えると、1回100円の手数料が必要となります。取り扱い時間は預け入れの場合と同じです。
ソニー銀行
- セブンイレブン/イオンのATMは預け入れ・引き出しともに無料、それ以外のコンビニに設置のATMは預け入れのみ無料
- E-net/ローソン/ゆうちょ銀行/三菱東京UFJ銀行/三井住友銀行のATMでの引き出しは、利用合計が月4回まで無料
コンビニ・ゆうちょ銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行のATMは、預け入れが手数料無料で、引き出しに関しては、セブンイレブン・イオンのATMが手数料無料です。
E-net・ローソン・ゆうちょ銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行のATMは、すべての利用合計回数が4回までは手数料無料で、5回目からは108円の手数料が必要となります。
預け入れ・引き出しともに、コンビニは毎週日曜21:00~翌7:00は取り扱い休止、ゆうちょ銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行も、曜日や時間帯にそれぞれ制限があります。
貯金目的の銀行選び
貯金してお金を増やすための口座をつくる場合、どのような点に注意して銀行を選ぶべきなのか、いくつかの注意すべきポイントについてご説明します。
金利の高さで選ぶ
お金を貯めて増やしていくには、金利の高さがまず重要ですので、定期預金にしましょう。
定期預金は銀行ごと、預け入れ年数によっても金利が違うので、よく比較して選ぶ必要があります。定期預金の金利は、店舗や窓口を設けずコストが削減できる点から、インターネットバンクのほうが高く設定されています。
主な銀行の定期預金の金利を表にしました。金利は300万未満の預け入れ時のものです。金利には変動がありますので、最新の情報は各ホームページでご確認ください。
6ヵ月 | 1年 | 3年 | 5年 | |
三井住友銀行 | 0.01% | 0.01% | 0.01% | 0.01% |
三菱東京UFJ銀行 | 0.01% | 0.01% | 0.01% | 0.01% |
みずほ銀行 | 0.01% | 0.01% | 0.01% | 0.01% |
りそな銀行 | 0.01% | 0.01% | 0.01% | 0.01% |
ゆうちょ銀行 | 0.01% | 0.01% | 0.01% | 0.01% |
ソニー銀行 | 0.05% | 0.05% | 0.02% | 0.02% |
住信SBIネット銀行 | 0.02% | 0.02% | 0.02% | 0.02% |
オリックス銀行 | 0.08% | 0.10% | 0.18% | 0.25% |
イオン銀行 | 0.04% | 0.05% | 0.10% | 0.10% |
楽天銀行 | 0.02% | 0.03% | 0.03% | 0.04% |
他の口座との相性で選ぶ
『家計管理目的の口座』『給与振込の口座』などの、貯金するお金を預金している口座と、『貯金目的の口座』との相性もポイントとなります。
その相性とは、貯金するお金を預金している口座と、『貯金目的の口座』との間でお金の移動がどれだけスムーズに安く行えるか、ということで判断します。
また、お互いの銀行間の振込手数料がいくらか、ATMや店舗が近い距離にあるか等の相性も考えてみましょう。
また、取引銀行を一つにして口座をまとめるとお得なので便利ではありますが、銀行の破綻やシステムトラブルなど危機管理の面を考慮し、なるべく2つ以上の銀行の口座を持つことをおすすめします。
提携関係にある銀行は相性が良い
店舗やATMがお互いの銀行で近くにあれば直接口座へ入金できますが、ほとんどの場合は振込になります。ネットバンキングやATMでの振込を考えると、提携を結んでいる金融機関の手数料が安く、相性が良いと言えます。
例えば、定期預金を金利が高いネットバンクにする場合、ネットバンクと多くの提携を結んでいて便利に利用できるのは、ゆうちょ銀行です。
ゆうちょ銀行は全国各地に店舗があり、一部のファミリーマートにもゆうちょ銀行のATMを設置しています。
イオン銀行・ソニー銀行・住信SBIネット銀行などは、時間帯や回数などの制限はありますが、ゆうちょ銀行のATMが無料で利用できます。
サービスや特典にも注目しよう
それぞれの銀行が顧客獲得のために、様々なサービスや特典を設けています。
対象取引や預金残高によるポイントの付与、給与の振込先に指定することで他行への振込手数料が無料になるサービス、また定期預金の金利キャンペーンなどもあります。注目のサービスを、いくつかご紹介していきます。
金利アップのサービス
注目の金利アップサービスを、表にまとめました。詳しい情報や必要条件などについては、それぞれホームページにてお確かめください。
銀行名 | サービス内容 |
じぶん銀行 | 新規で普通預金口座を開設し、翌々月末までに3ヵ月もの定期預金を預け入れると、通常金利に+0.46%の金利が上乗せされる(デビュー応援プログラム) |
新生銀行 | 誕生日月または、その前月に、3ヵ月もの定期預金を新規申し込みすると金利0.50%にアップ(バースデー円定期預金) 新規で口座を開設し、口座開設月を含む当初3ヵ月目までの期間に、3ヵ月もの定期預金を申し込むと金利0.50%にアップ(スタートアップ円定期預金 2017年12月18日以降は3ヵ月もの年0.30%に変更) 2週間満期の超短期間定期預金が、金利0.05%(2週間満期預金) |
しずぎん(静岡銀行)インターネット支店 | 新規の口座開設で、定期預金6ヵ月もの金利0.50%・定期預金1年もの金利0.25%にアップ(ウルトラ金利 2017年9月29日まで) |
住信SBIネット銀行 | 普通預金口座から、SBIハイブリッド預金へ入金し、SBI証券の取引口座との間で、資金振替を行うよう連動させることで、普通預金金利が0.01%にアップ(SBIハイブリッド預金) |
オリックス銀行 | インターネット取引専用の、e-ダイレクト普通預金口座を持ち、さらに、e-ダイレクト定期預金を申し込むと、2週間の定期預金金利が0.05%・3年もの定期預金金利が0.18%・5年もの定期預金金利が0.25%にアップ(e-ダイレクト定期預金) |
ポイント付与のサービス
給与振込や引き落としなど、普段よく利用するサービスにもポイントが付与される場合が多くあります。
また、銀行独自のポイントを設けているケースも多く、三菱東京UFJ銀行・住信SBIネット銀行なども、現金と交換可能なポイントサービスがあります。
貯まったポイントにより振込が無料になったり、他のポイントと交換可能など各銀行で様々な特典が設けられています。
ポイント名 | 主な提携先銀行名 |
Tポイント | りそな銀行/新生銀行/ジャパンネット銀行/一部の地方銀行 |
楽天スーパーポイント | 楽天銀行 |
WAONポイント | イオン銀行 |
nanacoポイント | セブン銀行 |
auWALLET | じぶん銀行 |
インターネットバンクがお得
ATM手数料の安さや金利の高さなど、インターネットバンクには、店舗を構える従来の銀行よりお得な部分が多くあります。これから口座をつくるなら、インターネットバンクがお得です。
各ネットバンクのメリットや特徴
それぞれのインターネットバンクが持つメリットや特徴について、一部紹介します。詳しい内容についてはホームページでご確認ください。このほかにも、いろいろなインターネットバンクがあります。
新生銀行
- コンビニのATM手数料がいつでも無料
- Tポイントが貯まる
- スタートアップ円定期預金/ハッピーバースデイ円定期預金
- ステップアッププログラム
新生銀行はATM手数料が最もお得です。またカードや光熱費の引き落とし、ファミリーマートのATM利用など、普段利用するサービスでTポイントが付与されます。
金額等条件付きではありますが、「スタートアップ円定期預金」「バースデイ円定期預金」という、金利0.5%の3ヵ月もの定期預金があります。
他にも「ステップアッププログラム」というランク別に、定期預金の金利の優遇が受けられるサービスもあります。
イオン銀行
- カード申込みで普通預金金利が0.1%に
- WAONポイントがもらえる
イオンやダイエーをよく利用する方は、ATMが無料で利用できて便利です。
さらに、年会費無料の「イオンカードセレクト」を申し込むことで、普通預金の金利が定期預金並みの0.1%にアップします。また、銀行の商品やサービスの利用でWAONポイントが付与されます。
ソニー銀行
- おまかせ入金サービス
- セブンイレブン/イオン銀行のATMはいつでも無料
- ローソン/ファミリーマートのATMは月4回まで無料
- 他行への振込は月1回だけ無料
ソニー銀行は、2001年に開業と比較的早くから創業を開始しました。そのため、顧客からの信頼と高い実績をもつネットバンクです。
金融商品の種類の多さと、「ほしいもの貯金箱」や、毎月指定した金額を他行の自分の口座からソニー銀行の普通預金口座へ、手数料無料で自動入金してくれる「おまかせ入金サービス」など、独自の便利な機能がある点も人気です。
住信SBIネット銀行
- 利用状況によるランクで、コンビニのATMが月2~15回の範囲で無料
- 他行振込もランクにより、コンビニのATMが月1~15回の範囲で無料
- 「ハイブリッド預金」をつくると普通預金の金利が0.01%に
「スマートプログラム」という商品やサービスの利用状況によるランクで、ATMや振込手数料の無料回数が1~15回の範囲で決まります。
また、商品やサービスの利用、キャンペーンの参加でポイントが獲得でき、貯まったポイントは現金に交換可能です。SBI証券と連携する「ハイブリット預金」を利用すると、普通預金金利が0.01%にアップします。
楽天銀行
- 楽天証券との口座の連携で普通預金の金利が0.10%にアップ
- 取引ごとに楽天スーパーポイントが貯まる
- ランクごとにATM手数料や他行への振込が無料(回数制限あり)
楽天市場をよく利用する方には、ポイントが有利に貯まるサービスが充実していてお得です。「ハッピープログラム」と呼ばれる預金残高や利用状況によるランク分けで、ATMが最大7回、他行への振込が最大3回無料で利用可能です。
まとめ
預金の金利が低く、銀行に預けても利息がそれほど期待できない今日この頃ですが、各銀行の金融商品の特徴を知り、組み合わせをよく考えたり、特典やキャンペーンなどをうまく利用することで賢くお金を増やすことができます。
随時発表される新商品やサービスなど、それぞれの銀行の最新情報を欠かさず収集し、手数料やポイントなど小さいことにも気を配りながら、コツコツとお金を増やしていきましょう。