貯金がない50代の現状
貯金がない50代の方は一定数います。そして貯金がない50代の方が、そのまま定年して老後を迎えた場合、かなり苦しい生活が予想できます。まずは、貯金がない50代の現状についてお伝えします。
50代の約3割は貯金がない
総務省統計局の統計によると、50代のうち約1割が貯金額100万円未満となっています。また、その範囲を500万円以下まで広げると、その対象者は実に3割にもなります。
一般的なライフプランで考えても、50代といえばまだ住宅ローンを支払う一方で、子供が高校生や大学生だったりします。教育費のために貯金できなかった、という方がいても不思議ではありません。
老後は平均毎月約7万貯金を崩す
次は老後の生活についてです。生命保険文化センターの調査によると、平均的な老後の生活に必要なお金は毎月約25万円、収入は平均約18万円となっており、毎月約7万円程度を貯金から取り崩して生活している方もいます。
老後の生活費はどれくらい?|公益財団法人 生命保険文化センター
これを先ほどの貯金額に当てはめると、仮に貯金が100万円なら1年程度、500万円だったとしても、約6年程度しか生活できないことになります。
ちなみに50歳の方の平均余命は、厚生労働省平成28年簡易生命表によると、男性で32.54年(約82歳)、女性で38.21年(約88歳)となっています。つまり20年程度も無貯金での生活を強いられることになります。
貯金がなければ苦しい生活に
貯金がなければ当然、収入の範囲内で生活しなければなりません。しかし、老後の収入は基本的に年金のみとなる一方で、老後は医療や介護への費用が増える方も多いため、かなり困窮した生活が予想できます。
もし、生活できない場合は、定年を迎えても再就職して働く必要があります。しかし、60代前半から60代後半にかけて、就業者の数は約63%から約47%へと、急激に落ちているのが実情です。
調査シリーズNo.135「60代の雇用・生活調査」|労働政策研究・研修機構
さらに上記の調査によると、仮に働けても定年後は約42%が「賃金額は減少した」と回答しており、現役時代のように稼ぐのは難しい実情がうかがえます。これらのことから、少なくとも何らかの老後対策はしておいた方がよいでしょう。
今からできる老後対策の基本
老後対策は少しでも若い頃から意識して行動することが大切です。しかし、50代となった今からでもできることは沢山あります。老後対策として、どんなことができるのかをお伝えします。
家計簿を付けて常に家計管理する
まずは家計簿を付けて常に家計管理をすることです。家計簿をしっかりつければ、お金に対する意識がわき、節約や貯金に繋がります。最初は面倒に感じても、なるべく実行するようにしましょう。
ちなみに家計簿は日々の支出を記録・集計するものですが、同時に貯金額や資産残高も一緒に記録すると、さらに管理体制が深くなります。
生活レベルを少しずつ下げる
次は生活レベルを少しずつ下げることです。生活レベルを下げる具体的な方法としては、例えばマイカーを手放したり、軽自動車に乗り換えたりする方法があります。
一般的な普通車の年間維持費は約42万円です。マイカーを手放せばこの金額が今後浮き、老後のための貯金にまわせます。また、軽自動車の年間維持費は約33万円なので、軽自動車に乗り換えるだけでも、年間9万円維持費が下げられます。
軽自動車の維持費は安い?【普通自動車との年額・月額費用比較や節約術】 - SBI損保の自動車保険
そのほかにも、老後が目前という時期なので、生命保険を見直してもよいでしょう。
特に子供が社会人になっていれば、教育費の支払いがありません。よって、万が一に備えての高額な死亡保険金が必要ではなくなるので、最低限の補償内容にするなど、検討してみるとよいでしょう。
運動をして健康を維持する
運動をして健康を維持することも大切です。健康を損ねれば、働くこともできませんし、医療費も増えてしまいます。統計でも医療費は年齢が高くなるほど、高額になっているのがわかります。
ただし、いきなり急激な運動をすると、逆に体を壊してしまう可能性があります。普段、特に体を動かしていないのであれば、最初は自宅の少し手前の駅から歩いて帰るなど、ウォーキング程度から体を慣らしていくのがよいでしょう。
できれば実行してほしい老後対策
基本的な老後対策だけでは、どうしても不安が取れない方もいるでしょう。そこで、追加的に実行しておくと、さらに老後への安心感が高まる方法もお伝えします。
住宅ローンの繰り上げ返済
まずは住宅ローンの繰り上げ返済です。住宅ローンの残存年数や金利によっても効果は違いますが、残存期間が10年程度あれば1.0%の金利であっても100万円の繰り上げ返済で約1年返済期間を短縮でき、利息も10万円程度不要になります。
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定年後の雇用対策
次に定年後の雇用対策です。具体的には、ツテを頼って就職先を確保しておく、何か資格を取得しておく、独立開業への準備をしておく、などの方法があります。
なお、60代になってから取得した資格として人気なのは、
- 介護ヘルパー
- 簿記
- マンション管理士、管理業務主任者
- 宅地建物取引士(宅建)
- ファイナンシャル・プランナー(FP)
がトップ5です。50代のうちに取得しておけば、それだけ役に立つ可能性があります。
将来の雇用対策がしっかり取れれば、貯金がなくても何とか生活していける可能性が高くなります。
親に生前贈与をお願いする
親に財産があることが前提になりますが、親に生前贈与をお願いする手段もあります。
もし生前贈与をしてもらえたら、例えば住宅ローンの繰り上げ返済に充てるなど、老後対策に活かせるでしょう。ただし、年間110万円を超える贈与には、贈与税がかかるため注意が必要になります。
(生前贈与とは、本来親の死後に相続する財産を、生前に受け取ることです。)
老後不安が尽きない場合は
様々な老後対策をしても不安が尽きない場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。
プロであるFPに相談しよう
貯金がなく、どうしても老後への不安が消えない場合は、FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談しましょう。FPとは、家計の問題に対してアドバイスをし、解決へと導く専門家です。
FPに相談すれば、効果的な老後対策を考えてくれます。また、家計をシミュレーションして、可視化もしてくれます。
悩みや不安は、一人で考えていると悪い方向に考えがちです。どうしても不安感が消えない場合は、専門家に頼るのがよいでしょう。
まとめ
貯金がない状態で50代となると、少なくともこのままだと、厳しい老後生活が待ち受けています。しかし、今からできる老後対策は沢山あります。
老後不安は対策をすれば、安心できるものですので、一つでも多く実行していきましょう。
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