平均値と中央値とは?
貯金額の調査結果を見ていると『平均値』と『中央値』という言葉が出てきます。それぞれの言葉の意味と、違いについて解説します。
実態に近いのは中央値
『平均値』は、全てのデータの値を足してデータ数で割って求められた数値です。一方『中央値』は、全てのデータを小さい順に並べたときに真ん中にある数値です。データの中にずば抜けて大きな数字や小さな数字がある場合には、中央値の方が実態に近いといわれています。
独身の30代・40代の貯金に関するデータでは、貯蓄額が1000万円を超えている人がいる一方、貯蓄ゼロという人もいます。そのため、平均値よりも中央値の方が実態に近いと考えられるのです。
年代別で見る独身者の貯金額
独身者の貯金額はどのくらいなのでしょうか。年代別の貯金額について解説します。
30代の場合の中央値
30代独身者の貯金額は、中央値が500万円、平均値が1002万円です。20代と比較して1000万円以上の貯金がある人が増えますが、一方で貯金額100万円未満という人も15%ほどいます。
そのため、数値にバラつきが出る影響で、中央値と平均値におよそ倍の開きがあると考えられます。
40代の場合の中央値
40代独身者の貯金額は、中央値が700万円、平均値が1747万円です。1000万円以上の貯金がある人が40%近くになりますので、それに伴い中央値も平均値も30代よりも高くなっています。
中央値と平均値に1000万円以上の開きがあることから、貯金額がずば抜けて多い人がいる一方、ゼロに近い人も一定の割合いる、ということが推測できます。
各種分類別データ(平成29年) ― 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)|知るぽると
男女別で見る独身者の貯金額
次に、独身者の貯金額を男女別に見ていきましょう。
女性の場合の中央値
独身女性の貯金額は、中央値679万円、平均値1279万円です。独身女性は、貯金額が平均値を下回る世帯が全体の6割以上という調査結果が出ています。そのことは、中央値と平均値の差にも表れているといえるでしょう。
また、中央値には貯金ゼロの世帯が含まれていないことにも注意しなければいけません。貯蓄ゼロの世帯を含むと、中央値はもっと低い数値になるでしょう。
男性の場合の中央値
独身男性の貯金額は、中央値480万円、平均値1118万円です。男性のほうが女性と比較して収入が多いことは統計上も明らかですが、貯金額で比較すると中央値も平均値も女性のほうが高くなっています。これは、女性のほうが生命保険や定期預金での貯蓄が多い、ということと関連していると考えられます。
また、独身男性の貯金額の場合にも、独身女性同様、平均値を下回る世帯が全体の6割以上ですし、中央値には貯金ゼロ世帯が含まれていません。
40歳からでも貯められる貯金のコツ
独身世帯の貯金額を見てきた結果、6割以上の人が平均以下の貯金額しかなく、貯金ゼロという世帯もあるということが分かりました。ここでは、40歳からでも貯められる貯金のポイントについて解説します。
目標額を決める
貯金をするときにまず大切なのは、目標額を決めることです。老後資金を貯金したければ、まずは定年退職後にどのような生活を送りたいかイメージして、必要な予算を計算します。
老後の一般的な生活費は、独身の場合およそ16万円です。趣味を楽しみたい、毎月旅行に出掛けたい、といったときには、その費用をプラスします。
結果、毎月20万円の生活をしたいとします。65歳から90歳まで月々20万円で暮らす場合、生活費は合計で6000万円です。
ここから年金の受給額を差し引きます。サラリーマンの場合、年金は平均して月15万円です。65歳から90歳まで15万円を毎月受け取ると4500万円なので、老後の生活費との差額は1500万円になります。つまり、定年退職までに1500万円貯金することが、目標になるわけです。
貯金専用口座を作る
目標金額が決まったら、次に確実に貯める仕組みづくりをします。そのために必要なのが貯金専用口座です。給与が振り込まれたら、決まった貯金額を毎月貯金専用口座に移動させます。
こうして、月に5万円を確実に貯金すれば、40歳から始めたとしても、65歳までに1500万円の貯金ができます。貯金専用口座は、定期預金などすぐに引き出せない口座にしておくと、更に効果が高まりおすすめです。
自動積立貯金に申し込む
確実に貯める仕組みとして、自動積立貯金もおすすめです。給与が振り込まれる銀行で申し込めば、毎月自動で積立ができます。全てが自動で行われるので、つい使ってしまう・貯金に手をつけてしまうということがありません。
確実に貯めながら、利息で増やしていきたいと考えているのであれば、投資信託自動積立がいいでしょう。投資なのでリスクはありますが、うまく利息で増やすことができれば、単に預金するよりもたくさんの貯金ができます。
他にも、保険や確定拠出年金などで貯金することが可能です。また、勤めている会社に制度があるのなら、財形貯蓄を利用するのもいいでしょう。
まとめ
30代・40代の独身者の貯金額を見てみると、平均値ではある程度まとまった金額の貯金ができているように見えます。しかし、中央値との差が大きいことから、実際には数千万円を貯金している一部の世帯のデータが影響していると考えられるのです。
中央値や平均値を見て、30代・40代でも貯金が思うようにできていないと感じた人は、まずは目標額を決めて、毎月確実に積立することから始めましょう。