ライフプランで考えるべき項目とは
ライフプランを考えることは、老後の安心につながります。では、ライフプランでは、どのようなことを考えておくべきでしょうか。ライフプランに必須の項目について解説します。
お金のこと
ライフプランを考えるうえで欠かせないのが、お金のことです。老後が不安という人の多くは、人生のうち、どこで、いくらくらいの収入があるのか、そしてその収入で足りるのか、わかっていません。
そこで、まず明らかにすべきなのが、お金のことなのです。
- いつどのくらいのお金があるのか
- そのうち使えるお金はいくらなのか
- 大きな出費が必要な時期はいつなのか
- お金をいつまでにいくら貯めておかなければいけないのか
今の収入をベースに、まずはお金の出入りを明らかにして、漠然とした不安を取り除きましょう。
家のこと
次に考えるのは、家のことです。家を購入するのか、賃貸で暮らすのか。購入するなら新築なのか中古なのか。なるべく若いうちに購入するのか、頭金を貯めてから購入するのか。家をどうするかは、ライフプランに大きな影響を与えます。
家や住宅ローンの選択によっては、足りていたはずの資金が足りなくなってしまう、ということもあるのです。そのため、ライフプランを考えるときは、必ず家をどうしたいのかも考えましょう。
自分の夢や目標のこと
ライフプランでは、夢や目標についても計画を立てます。将来的に独立して仕事をしたいと考えていたとします。独立するときには、設備や事務所の賃貸料・当面の生活費の用意など、ある程度まとまった資金が必要です。こうした資金をライフプランに組み込めば、安心して夢にチャレンジできます。
せっかく夢に向かって努力していたとしても、お金の不安があると、力が出し切れなくなってしまうこともあるでしょう。100%の力で取り組み、確実に夢を実現するためにも、いつか先の夢ではなく、ライフプランとして考えておきましょう。
ライフプランを作るメリット
ライフプランを作るメリットについて解説します。
将来の見通しが立つ
ライフプランを作るメリットは、将来について予測できるようになることです。いつの時期に、どのくらいのお金があるのかが、一目でわかるようになります。
将来については、頭で考えているだけでは、なかなか具体的なイメージが描きづらいものです。そのため、ライフプランとして書き出して、可視化すると良いでしょう。
計画的に貯金できる
ライフプランでは、将来のイメージを具体的に書き出していきます。いつ、いくらのお金が必要になるのかも明確にしていくため、お金が必要な時期に合わせて、計画的に貯金ができます。
もし現時点で、お金が足りなくなる時期がわかっているのであれば、その時期に向けて今の支出を調整していくことも可能です。また、反対に必要以上の節約をしないことにもつながります。必要なお金がはっきりとわかっているので、日常生活で無理をし過ぎることがなくなるのです。
老後のお金の計画を立てよう
ライフプランでは老後資金についての計画も立てましょう。老後資金としていくら用意しておくのがいいのでしょうか。解説します。
貯金はいくら必要?
夫婦2人がゆとりを持って老後を過ごすためには、1億円の資金が必要と言われています。ただし、退職までに1億円を貯金しておかなければいけない、というわけではありません。貯金以外にも、退職金や年金の支給が受けられるからです。
総務省の調査によると、定年退職後の夫婦の平均生活費は1ヵ月で25万円となっています。この生活費で25年間暮らしたとすると、総額7500万円です。ただし、退職金や年金を考慮すると、差額は1000万円ほどになります。そのため、まず目指すのは退職までに1000万円の貯金です。
もしも、定年退職後に、家のリフォームを予定していたり、趣味を存分に楽しむ計画を立てたりしている場合には、貯金はもっと必要になります。その際には、1000万円にプラスして、ライフプランで計算したリフォーム代や趣味費をプラスして、貯金額を計算しましょう。
年金はいくらもらえる?
老後資金を考えるうえで、年金は欠かせません。年金がいくらもらえるのかも、ライフプランを立てるときに計算してみましょう。サラリーマンの夫と専業主婦の世帯年金額を、現在の支給額と平均余命から計算します。
夫婦 | 計算式 | 支給額 |
夫 | (老齢基礎年金+老齢厚生年金)×12カ月×平均余命 | (6.4万円+10万円)×12カ月×19年=3739万円 |
妻 | 老齢基礎年金×24年+遺族厚生年金×5年 | 6.4万円×12カ月×24年+7.5万円×12カ月×5年=2293万円 |
この例では、年金は6032万円受け取れることになっています。年金の支給額は将来的に減っていくことが予想されますので、おおよそ5000万円ほどと予測しておくとよいでしょう。
家のローンが老後を左右する
多くの人にとって、家は一生に1度するかしないかの大きな買い物です。そのため、家のローンによって、老後の暮らしが大きく左右されてしまうこともあります。家の購入が老後に不利に働かないようにするためのポイントを解説します。
家は買う?借りる?
家を買うか借りるか、『持ち家派vs賃貸派』の論争は、常に言われ続けています。家は買った場合でも借りた場合でも、一生にかかる費用にそこまで大きな差はありません。
持ち家派は、資産になる家を買った方がよいと言います。一方、賃貸派は、子供の教育費など他の出費も考えると、賃貸の方がよいと言います。
この対立に、誰にでも当てはまる答えはありません。なぜなら、持ち家がよいか賃貸がよいかは、それぞれの状況や価値観によって違うからです。ライフプランを参考に、買うか借りるか、どちらがよいか判断するといいでしょう。
老後に響かないローンの借り方
家を買うときには、ローンを組んで買うのが一般的です。住宅ローンは、30年や35年など長期間に渡り返済が続きますので、老後の暮らしに大きく影響します。そのため、借り方がとても重要です。老後の安定した暮らしのための住宅ローンの借り方には、4つのポイントがあります。
- 返せる金額から家の予算を設定する
- できるだけ若いうちにローンを組む
- 頭金を貯めて月々の負担を減らす
- できるだけ低い金利でローンを借りる
住宅ローンを借りるときには、いくらの家を購入するかで金額を決めるのではなく、いくらなら返せるかで決めましょう。無理なく返済するには、今の家賃や共益費の金額を上限とします。住宅ローンの返済と税金や補修費用などの積み立ての合計が、この金額を超えないようにするのがベストです。
家の購入をできるだけ若いうちにするのも、老後に住宅ローンの影響を残さない方法のひとつです。定年退職まで長い年月のある若いうちの購入なら、退職までの間に無理なく完済できます。
老後の暮らしを考えたとき、月々の返済額ができるだけ小さくなるように、住宅ローンを組むことも大切です。そのためには、頭金を多く準備したり、できるだけ低い金利でローンを組むようにします。
家のローンを早く返すコツ
住宅ローンの影響を、老後の暮らしに残さないためには、早く完済できるようにしましょう。そのために利用したいのが、繰り上げ返済です。繰り上げ返済をすれば、本来の完済時期より前にローンを払い終えることができます。
繰り上げ返済を上手に使うには『返済開始からできるだけ早い時期に行う』ということが大切です。返済開始後、早期の繰り上げ返済だと、軽減される利息が多くなります。その分、総支払額が減るのです。
繰り上げ返済は、老後のために役立ちます。しかし、そのために今現在の生活が苦しくなってしまうのでは本末転倒です。今必要な生活費や、数年後に必要な教育資金を十分に確保しながら、計画的に繰り上げ返済を利用して早期の完済を目指しましょう。
老後のライフプランを可視化しよう
安心して老後を過ごすためには、ライフプランを目で見える形にするのが有効です。ライフプランを可視化する方法と、そのメリットについて解説します。
エクセルにまとめよう
ライフプランを可視化するときには、エクセルが便利です。家族一人ひとりの欄を作り、年表のような表を作ります。そこに、何歳のときにどんなイベントがあるのか、どんな目標を達成したいのか、といったことを書き入れていきましょう。これがライフイベント表です。
ライフイベント表ができたら、次にキャッシュフロー表を作ります。キャッシュフロー表は、収支を書き入れる表です。イベントがあれば、それに対する予算が必要になるので記入します。『人生の三大資金』と言われる『住宅資金』『教育資金』『老後資金』については、必ず含めるようにしましょう。
このライフイベント表とキャッシュフロー表を合わせて、ひとつの表にします。すると、老後までライフプランが一目でわかるようになるのです。
数値化すればわかりやすい
表にまとめ、そこに具体的な数字を入れ込むと、今描いている計画で、老後までカバーできているのかどうかが、わかりやすくなります。表の中で、貯金額がゼロやマイナスになっている時期がなければ、ライフプランをそのまま実行しましょう。
貯金額がゼロやマイナスになっている場合には、プランの見直しが必要です。イベントに優先順位をつけて、順位の低いものは予算を変更したり諦めたりすることを検討しましょう。
まとめ
老後の不安は『なんとなく』でしかプランを立てていないから発生します。もしも今、不安な気持ちがあるのであれば、まずはライフプランをエクセルで表にしてみましょう。いつ何にいくら必要かわかれば、貯蓄額の目標がはっきりします。目標を明らかにし、老後を安心して過ごせるようにしましょう。