ライフプランと住宅ローンの関係
ライフプランとは、人生設計のことをいいます。
人生の三大支出といわれている住宅ローンは、予算が大きいため、早いうちからライフプランを立て、ローンについて考えることで、支出を抑えることができます。
住宅ローンを初めて組む方は、予算のかけ方やローンの種類など、分からないことがたくさんあります。
住宅ローンには審査もあるため、前もって審査基準を調べておく必要があります。ローンを組む前に考えるべきポイントには、どのようなことがあるのでしょうか。
住宅ローンを選ぶポイント
住宅ローンは、住宅を購入する際に金融機関がお金を貸してくれるローンのことをいいます。
お金を借りるので金利はかかりますが、購入した住宅が担保になるため、低金利で借りることができます。
以下の2つの点には特に注意してローンを組む必要があります。
- 金利の種類
- 返済年数
金利の種類は大きく分けると固定金利か変動金利の2つがありますが、なるべく金利の低いローンを組むようにすることが大切です。
また、返済期間は年数が多い分支出総額が増えるため、予算を組む時には注意が必要です。
(※固定金利とは、金利が返済期間中も変わらない金利のことで、変動金利とは、社会情勢などによって金利が変動することをいいます)
住宅ローンの審査とは
国土交通省が実施している、民間住宅ローンの実態に関する調査によると、審査基準には以下のものがあります。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 担保評価
- 借入時年齢
- 勤続年数
- 年収
- 連帯保証
年収や年齢だけではなく、支払う方の健康状態や勤続年数なども、ローンを組む上では重要なポイントになります。
審査をする前には事前審査と呼ばれるものがあり、気になる住宅や土地があった場合に条件などを知ることができます。
住宅購入を検討する約8割の方が、事前審査を行って保険料の単価を事前にシュミレーションします。
(※担保評価とは、住宅ローンの返済が滞った場合に自宅を担保とし、実際にローンを返済できなくなったら物件を売却してお金を回収する時の物件の評価です)
平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査 - 国土交通省
住宅ローン本審査にかかる期間は?
住宅ローンの本審査を受けると、約1週間程度で結果が出ます。
しかし、審査基準などによっては追加で必要になる書類の提出を求められたり、書類に不備があったりした場合は、その分時間がかかります。
土地の代金に支払い期限が設定されている場合は、最低でも1カ月前までに事前審査を受けておくのがよいでしょう。
年収と住宅ローンの割合
住宅を購入する際に考えなくてはいけないのが、ローンの返済負担率です。
返済負担率は、年収に対する年間返済額の割合で、お金を貸してくれる銀行などでは年収の20%~35%の返済負担率の上限を設定しています。
車のローンなどの他のローンを組んでいる場合は、全ローンの合計金額が35%以下になるのが目安とされています。
総務省発表の2016年家計調査報告によると、住宅ローンを返済している世帯の平均返済額は、1カ月平均92,945円という結果になりました。
あらかじめライフプランを立てて家計のお金の流れを予測することで、購入可能な住宅を絞ることができます。
頭金なしの住宅ローン
住宅ローンの場合、頭金として支払う額は物件価格の約2割といわれています。そして残りの8割が融資となって銀行から借りる金額になります。
しかし中には、頭金なしの住宅ローンもあります。住宅口-ンの貸し出し競争が激しくなったため、物件価格の100%や諸費用を融資する銀行もあります。
しかし、100%の融資を信頼して大きな金額の住宅を購入してしまうと、返済できなくなるリスクが高くなるため、注意が必要です。
頭金なしの住宅ローンの場合はその分の返済年数も長くなります。
返済が終わる年齢が高いと、その分ローンを支払う負担が増えるため 、頭金がないからといってすぐに契約する前に、十分考慮して決める必要があります。
金融機関によって諸費用も考慮する
住宅ローンにはローン以外にも諸費用がかかります。銀行などによって金額が異なるため、事前に確認するようにしましょう。
- 事務取扱手数料
- 印紙税
- 登録免許税
- 火災保険
住宅ローンを契約すると銀行口座に融資金が振り込まれ、不動産会社などに代金が支払われます。
その場合にかかる事務手数料が、相場で3万~10万といわれています。
その他にも、契約書に貼る収入印紙代や、土地と建物に設定登記をするための登録免許税、火災保険料などがかかります。
ローンを組む場合は、その分の費用を支払えるかどうかも考える必要があります。
(※登録免許税は、土地などの不動産にかかる権利証のことをいいます)
計算してシュミレーションする
自分の年収からいくらのローンが組めるのかや、毎月の返済額からいくらの住宅を購入できるか知りたい場合はシュミレーションしてみることで、購入が可能な物件を探すことができます。
まずはライフプランを立てて将来起こりうる支出がいつ頃起こるのかを予測し、それに備えて貯蓄計画などを立てるようにしましょう。
支払可能な金額を設定することで、住宅ローンの購入する際の目安になります。もし家計が赤字になりそうな場合は、物件の見直しやローンの内容を検討する必要があります。
金額を入力するだけのシュミレーションで自分に合った住宅を探してみましょう。
エクセルでの計算方法と無料ソフト
住宅ローンは月々の返済額に利子がかかります。ローンの支払額は、エクセルの関数を使えば簡単に計算することができます。
実際のローンを組む目安として借入金や利率、返済年数などからシュミレーションしてみることで、生活費の何%が住宅ローンとして支払われるのかを、理解することができます。
借入金に対する利率と返済回数を入力し、1回あたりの返済額を出すためにはPMT関数を利用します。
PMT関数とは、一定利率の支払いが定期的に行われる場合のローンの支払額を算出できる関数です。
関数挿入ボタンから財務を選択すれば、簡単にPMTの計算式を使うことができます。
まずは一度シュミレーションし、返済可能な額かどうかしっかり検討してみましょう。
年齢制限と借り換え時期
住宅ローンを申し込みする場合は、年収や勤続年数などのほか、借入時の年齢や完済時の年齢が重要視されます。
年齢が上がればローンを返済する期間が短くなるため、返済額が大きくなり、金額によっては審査が通らない場合もあります。
会社などに勤めている場合は、勤続年数によって収入が上がることもありますので、ローンの返済額や返済期間を、ライフプランに沿って考えることができます。
一般的なローンの年月
ローンの返済期間は、申し込み時の年齢などで最長年数が決められます。
返済期間を長く設定すれば毎月の返済額を低く抑えることができますが、利率などを含めると返済額の総額が増えるというデメリットがあります。
一方、返済期間が短ければ毎月の返済額は増えますが、総合的に支払う金額は少なくなります。
一般的には最長年数は35年で、80歳までに返済が完了するように設定されます。
返済期間は15年以上35年以内(1年単位)です。ただし、完済時の年齢が80歳となるまでの年数と比較していずれか短い年数とします。また、申込者または連帯債務者が60歳以上の場合は、返済期間は10年以上とします。
ライフプランとローンの返済期間
定年後も働きに出る方が増えてきましたが、若いうちからローンを組む場合は、定年までに払い終わるように返済期間を設定することで、老後の負担を減らすことができます。
また、子供の人数によっては教育費がかかったりと出費が重なる場合もあるので、返済額などを事前に計算して、家計が赤字になるリスクを回避することが大切です。
もしライフプランを作成し、家計が赤字になる年月がある場合は、借入額が予算よりも大きくなっている可能性があります。
家族のライフイベントや子供の養育費、車のローンなど、支出の総額をしっかりと理解した上で、返済期間を考えるようにしましょう。
ライフプランを見直す
住宅ローンを購入する前に、一度ライフプランを見直してみましょう。家計のお金の流れを理解し、正確な予算を組むことで、無駄な支出を抑えることができます。
特に住宅ローンの場合は、金利の利率などは条件によっても異なるため、専門家に相談し、無理のないローンを組むことが大切です。
ライフプランをシュミレーションする
今現在の収入から、今後の家計の流れを把握するためにも、ライフプランをシュミレーションしてみましょう。
年齢や収入、将来欲しい子供の人数や、家族でやりたいことなど、これから必要になる支出を書き出すことで、年齢ごとの家計の推移を理解することができます。
入力するだけで簡単に計算できる無料のシュミレーションも便利です。
住宅ローンの内容を見直す
住宅ローンの負担額が大きいと判断した場合は、内容を見直す必要があります。特に以下の3つのポイントを注意してみましょう。
- 固定金利から変動金利への変更、または変動金利から固定金利への変更
- 金利の低い他のローンへの借り換え
- 繰り上げ返済をする
高い固定金利に決めてしまった場合は、返済額も大きくなってしまうため、低金利のうちにプラン変更を行う必要があります。
また、借り換えをする場合は、健康状態などの変化によっては条件を満たせない場合があるため、安定した収入があって健康な時に借り換えをするようにしましょう。
家計に余裕ができた場合は、残りの返済額を繰り上げることで、支出を抑えることができます。
万が一に備えてすること
ライフプランを事前に組むことで、将来の赤字を前もって予測することができますが、住宅ローンは場合によっては返済期間が長く家計に負担をかけてしまいます。
病気になってしまったり仕事を辞めることになった場合は、ローンの返済が厳しくなることもあります。
もし貯蓄がある場合は、返済額を支払うことができますが、団体信用生命保険などの、残りの返済額を補償する保険に入るのも一つの方法です。
専門家に相談してみる
ライフプランを立てる大きなメリットは、人生設計を立てることで実現化するために行動することができることです。
ライフプランニングとマネープランニングをしっかりと行うことで、住宅ローンなどの返済期間が長い支出も、無理なくできるようになります。
1つの案だけでなく、専門家に相談するなどして、複数の案の中から無理のないローンを選ぶようにし、家計が赤字にならないように見直してみるのもよいでしょう。
まとめ
ライフプランを立てる上で、住宅ローンのマネープランをすることは大切な要素のひとつです。
住宅ローンは審査基準や利率、金融機関によって異なります。家族で安心して暮らしていくためにも、無理のない住宅ローンを組むことが大切です。
今回紹介したポイントを考慮しながら、自分に合った住宅ローンを選び、無理のないライフプランで将来を快適に過ごしましょう。