預貯金にかかる税金の内訳
2017年現在、預貯金の利子所得にかかる税金は、国税(所得税)15%+地方税5%+復興特別所得税0.315%の合計で、20.315%となっています。
No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)|所得税|国税庁
それでは、預貯金の利子取得にかかる税金の内訳を詳しく見ていきましょう。
国税と地方税
国税は、国が課税する税金のことを指し、直接税・間接税・その他の税金の3種類に分別されます。預貯金の利子所得にかかる税金は、直接税の中の所得税に該当し、その税率は15%となっています。
地方税は、地方自治体が課税する税金のことを指し、自動車税や固定資産税、たばこ税などが含まれています。住民税も地方税に含まれており、預貯金の利子所得にかかる税金の税率は5%となっています。
復興特別所得税
復興特別所得税は、東日本大震災の復興に関する施策のために徴収されるもので、2013年1月1日から2037年12月31日の25年間の間に支払を受ける利子所得について課税される特別所得税です。その税率は、所得税率の2.1%と定められています。預貯金の利子所得にかかる所得税率は国税の15%ですので、その15%に2.1%を乗じた0.315%が加算されることになります。
源泉徴収義務者の方は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、その合計額を国に納付していただくこととなります。
出典:復興特別所得税関係(源泉徴収関係)|源泉所得税関係|国税庁
復興特別所得税に関しては、国税庁のホームページにも記載がありますので、あわせてご参照ください。
個人の方に係る復興特別所得税のあらまし|パンフレット・手引き|国税庁
預貯金にかかる税金の納税方法
預貯金にかかる税金は、源泉分離課税という仕組みによって納税することになっています。
源泉分離課税の仕組み
源泉分離課税については、国税庁のホームページで以下の通り定義されています。預貯金の利子所得については源泉分離課税が適用されるので、利子所得が支払われる際には、所得税は既に引かれた状態となっています。つまり、銀行のホームページなどで記載されている金利に対して20.315%を乗じた数字が、実際に適用される金利になるということです。
源泉分離課税制度とは、他の所得と全く分離して、所得を支払う者がその所得の支払の際に一定の税率で所得税を源泉徴収し、それだけで所得税の納税が完結するというものです。
預貯金に税金がかからないケース
預貯金の利子所得には、一定の条件を満たしている場合には非課税(=課税しない)とする非課税制度が設けられています。具体的にはどのような場合に、預貯金の利子所得に税金がかからなくなるのでしょうか。
税金がかからない人はいる?
障害年金を受けている人や身体障害者手帳の交付を受けている人など、ある一定の条件を満たしている人は、一定の手続きをすることによって非課税制度の適用を受けることができます。ただし、制度が適用されるのは元本の合計が350万円以下と定められていますので、預貯金の利子取得がすべて非課税となるわけではありません。
この制度を利用できる人は、国内に住所のある個人で、障害者等に該当する人に限られています。この「障害者等」とは、身体障害者手帳の交付を受けている人や障害年金を受けている人など一定の要件を満たす「障害者」と、遺族年金や寡婦年金を受けている妻など一定の要件を満たす「その他の人(妻)」をいいます。
出典:No.1313 障害者等のマル優(非課税貯蓄)|所得税|国税庁
税金がかからない預貯金はある?
障害者等に適用される非課税制度以外にも、一般の勤労者、いわゆるサラリーマンに対して適用される非課税制度もあります。
会社勤めを経験した人なら、「財形貯蓄」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。財形貯蓄とは、財形貯蓄制度を導入している企業に勤める従業員が利用できる制度で、毎月の給与から一定金額を天引きし、企業がまとめて金融機関に送金を行います。財形貯蓄制度を導入している企業に勤めている場合には、積極的に利用したい制度です。
財形貯蓄は、一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3種類に分類されますが、このうち非課税制度が適用されるのは、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の2種類です。
財形住宅貯蓄
財形住宅貯蓄とは、戸建て住宅や分譲マンションなど、持ち家を取得することを目的とした貯蓄を指します。ただし、貯蓄の目的が持ち家取得に限られていますので、それ以外の目的で払い出しを行うことはできません。持ち家を取得する以外の目的に貯蓄が払い出された場合、過去5年間に遡って所得税が課税されます。
財形年金貯蓄
財形年金貯蓄とは、退職後や老後の生活を安定させる目的で積み立てられる貯蓄を指します。財形住宅貯蓄と同様、目的外の払い出しがあった場合、過去5年間に遡って所得税が課税されることになります。また財形年金貯蓄の場合、年金の支払いが開始される前に払い出しをした場合にも、所得税が課税されることになっています。
課税対象にならない額は?
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は、元本が550万円までの利子所得は非課税と定められています。ただし、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の両方を保有する場合は、元本は合計して550万円までとなっています。なお、生命保険や損害保険の保険料、生命共済の共済金などについては、385万円が上限となっています。
まとめ
預貯金の利子所得については、国税・地方税・復興特別所得税を合わせた20.315%の所得税がかかります。源泉分離課税制度により、利子所得は所得税額が差し引かれた額で支払われることになっています。
また、一定の条件を満たす場合には所得税が非課税となる制度もあります。特に財形貯蓄は、制度を導入している企業の従業員しか利用できませんので、勤め先の会社で制度が導入されている場合は、積極的に利用したい制度となっています。