クレジットカードの便利なリボ払いとは
リボ払いとは、リボルビング払いの略称です。クレジットカードを利用した際に、あらかじめ決められている金額を支払う支払方法です。
リボ払いにはいろいろな支払方式がありますが、次の2つが一般的です。
支払方式 | 支払金額 |
定額方式 | 利用残高に関係なく、一定額を支払う |
残高スライド方式 | 利用残高により、段階的に支払額が変動する |
たとえば、残高スライド方式で下表のように、毎月の支払額が決まっているとします。
利用残高10万円の場合は支払額は7,500円です。次の請求期間に利用がなければ、翌月の利用残高は10万円-7,500円=9万2,500円に減少するので、支払額は5,000円となります。
利用残高 | 毎月支払額 |
10万円未満 | 5,000円 |
10万円以上15万円未満 | 7,500円 |
15万円以上20万円未満 | 1万円 |
これに対し定額方式は、たとえば毎月の支払額を1万円とした場合、利用残高に関係なく支払額は毎月1万円で変動がありません。
リボ払いの特徴と利用上の注意|クレジットの利用|消費者のみなさまへ|一般社団法人日本クレジット協会
月々の支払額を決めて支払い
リボ払いを利用した場合も、お金を借りた場合の利息と同様の『手数料』が発生します。したがって、毎月の支払額は次のように表すことができます。
- 毎月支払額=元金+手数料
前述した2つの方式には、毎月支払額(元金+手数料)を一定額に決めて支払う『元利定額型』と、毎月の元金支払額を一定額に決めて支払う『元金定額型』があります。
項目 | 一定額となる支払 | (例)一定金額を5,000円とした場合 |
元利定額型 | 毎月支払額 | ・毎月支払額5,000円=元金+手数料となり、内訳の元金・手数料が変動 |
元金定額型 | 毎月の元金支払額 | ・毎月支払額=元金5,000円+手数料となり、手数料の変動により毎月支払額が変動 |
リボ払いでは、主にこれら2つに前述した定額方式・残高スライド方式を組み合わせた『元利定額リボルビング方式』や、『残高スライド元利定額リボルビング方式』などにより毎月の支払額が決まります。
月の負担は減るが総支払額は高くなる
リボ払いをショッピングで利用した場合の支払を、具体的にみてみましょう。
JCBカードを利用して、10万円の商品を金利年15.0%のリボ払いで購入したとします。毎月の支払元金を変えてシミュレーションを行うと、以下の結果になります。(あくまでもシミュレーションのため、実際の支払とは異なる場合があります)
月々支払元金 | 5,000円 | 10,000円 | 15,000円 | 20,000円 |
支払回数 | 20回 | 10回 | 7回 | 5回 |
総支払手数料 | 12,926円 | 6,689円 | 4,616円 | 3,548円 |
総支払額 | 11万2,926円 | 10万6,689円 | 10万4,616円 | 10万3,548円 |
リボ払いでは、毎月の支払額を低く抑えると支払期間が長くなり、手数料が増えるため全体の支払額が高くなります。
一括支払いや支払額の増額を活用
リボ払いの総支払額を抑えるには、リボ払いを早く終わらせ手数料を増加させないことが重要です。
通常、クレジット会社が設定している支払額は最低支払額であるため、設定額以上の金額を申し込むことで毎月の支払額を増額できます。できる範囲で支払額を増やせば、リボ払いを早く終わらせられます。
他にもクレジットカードでは一括払いや2回払いなど、手数料が発生しない支払方法があります。リボ払いを利用する前に、これらを上手く活用することも考えてみましょう。
リボ払いはクレジットカードの審査に影響
クレジットカードのリボ払いは、ショッピングとキャッシングの双方に利用できる場合が一般的ですが、同じリボ払いでもそれぞれ適用される法律が異なります。
- ショッピングのリボ払い(一括払いを除く)は割賦販売法の対象
- キャッシングのリボ払いは貸金業法の対象
『割賦販売法』はクレジット取引における、事業者が守るべきルールを定めた法律です。一方『貸金業法』は消費者金融などの貸金業者を対象とし、貸金業務の適正な運営や貸付に関するルールを定めた法律です。
それぞれ対象は異なりますが、どちらも審査に大きく影響を与える法律内容となっています。リボ払いは審査で、どのように扱われるのかをみていきましょう。
リボ払いなどの情報は全カード会社で共有
クレジット会社はこれらの法律により、個人の支払能力を超える契約を禁止されています。さらに、カードの新規申込や更新、増枠などの際には『指定信用情報機関(※)』を利用した、個人の支払能力の調査が義務付けられています。
指定信用情報機関には(株)シー・アイ・シーと(株)日本信用情報機構の2つがあり、それぞれクレジット会社・消費者金融などが加盟しています。加盟会社に対しては、機関への顧客の信用情報の登録が義務化されています。
登録された情報はネットワークを利用して、信用情報機関の間で共有できるシステムとなっています。したがって、クレジット会社はリボ払いはもちろん、契約者の登録情報をすべて把握することが可能です。
(※指定信用情報機関とは、内閣総理大臣により指定された一定の条件を満たす信用情報機関です。割賦販売法は(株)はシー・アイ・シー、貸金業法は(株)シー・アイ・シーと、(株)日本信用情報機構が指定信用情報機関となっています)
指定信用情報機関のCIC
JICC 日本信用情報機構(指定信用情報機関)| HOME
状況により審査落ちする可能性も
クレジットカードの利用額には法律により制限が設けられており、この制限を超える契約は禁止されています。
- 一括払いを除くショッピングは、支払可能見込額(※)×0.9を超える契約が禁止
- キャッシングは、他社からの借入れを含め年収の1/3を超える貸付が禁止
キャッシングに関しては、たとえば年収300万円の人は他社もあわせて、100万円までしか借入ができません。(銀行など貸金業者以外による融資は含みません)
これらの制限について計算する際にリボ払いの支払残高は、ショッピング・キャッシング共に利用残高へ加算されます。利用残高によっては審査落ちの可能性もあります。事前にできるだけ残高は減らしておきましょう。
(※支払可能見込額とは、利用者が日常生活を維持しつつ、持続的に支払うことができると見込まれる1年あたりの金額で、『年収-クレジット債務-生活維持費×0.9』の計算式で算出されます)
JCCA 日本クレジットカード協会
総量規制とは | 貸金業法について
リボ払いは住宅ローンの審査にも影響する
金融機関は住宅ローン審査の際に、『返済負担率』を審査基準のひとつとしています。返済負担率とは『年収に対する年間の返済額の割合』のことで、『年間返済額÷年収×100』で求められます。
この数値が大きいほど年収に占める返済額の割合が大きいことを表し、返済のリスクが高いとされます。
一般的に、金融機関における返済負担率の審査基準は35%以内が目安とされますが、各金融機関の独自の判断となるため、実際の基準は定かではありません。
年間返済額には、住宅ローン以外の負債の返済額も含めて計算されます。つまり、毎月返済しているリボ払いがあれば、年間の返済額として加算されるため、返済負担率が高くなり、住宅ローンの審査や融資金額に影響を与えることとなります。
住宅ローンの審査に落ちることもある
『住宅金融支援機構(※)』が、2017年に民間住宅ローンを扱う金融機関を対象とした調査で、『最近、重視度が増していると考えられる審査項目』として、全体の61.8%が返済負担率を挙げています。
リボ払いは前述したように、返済負担率の計算に関係があります。延滞や滞納はもちろんですが、利用残高が多額である、または限度枠ギリギリまで利用しているといった場合は、審査に影響を与え住宅ローンを組めない事態となる可能性があります。
(※住宅金融支援機構とは、住宅建設などに必要な資金の円滑で安定した供給を支援する機関です。民間金融機関と提携して住宅ローン『フラット35』を提供、また、民間金融機関では対応が困難な災害復興住宅融資などを行っています)
民間住宅ローンの貸出動向調査:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
住宅ローンの審査はリボ払いを完済してから
リボ払いは、利用者本人が気付かないうちに利用残高が大きくなりやすいため注意が必要です。将来、住宅ローンを組む予定がある場合は、よく考えて利用しましょう。
住宅ローンの審査を受ける際には、リボ払いを完済するなど利用残高を少額にし、不要なカードは解約するなど、事前に信用情報を良好な状態にしてから申し込むことが重要です。
まとめ
クレジットカードのリボ払いは、ショッピングやキャッシングが気軽に楽しめる便利な支払方法です。しかし、支払残高を把握せずにリボ払いを続けることは、審査の大きなマイナス要素となります。
リボ払いの利用はなるべく控え、利用した際は残高を確認することを忘れずに、速やかに支払を終了させるようにしましょう。
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