海外旅行ではクレジットカードを利用する
海外ではクレジットカードでの支払いが一般的で、多くの店舗でカード払いを受け付けています。クレジットカード払いを利用することで、さまざまなメリットを受けられます。
現金は盗難のリスクあり
海外旅行先ではセキュリティの観点から、大量の現金を持ち歩くことは推奨されません。多額の現金を所持していることが周囲の人に知られると、スリや強盗などの被害に遭うリスクが高まります。
海外ではクレジットカードが広く普及しており、高額紙幣を持ち歩く人はあまり多くありません。一方で、旅行者はまとまった現金を持っている場合が多く、犯罪のターゲットになりやすい傾向があります。
そのため、できる限り現地での支払いはクレジットカードで済ませ、現金は最低限必要な額だけ用意するようにしましょう。
現金への両替手数料は高い
銀行や空港の両替所を利用する場合、2%〜10%程度の手数料が為替レートに上乗せされます。マイナー通貨の場合は特に両替手数料が高く、通貨によっては手数料が10%を超えることも珍しくありません。
さらに、日本へ帰国して余った現金を円に両替しなおす際にも、手数料がかかります。一方クレジットカードの場合、手数料は各社1%〜2%程度です。また、現金での両替とは異なり、余った外国通貨を日本円に両替しなおす必要がありません。
加えて、クレジットカード払いの場合は、利用額に応じてポイントが付与されます。手間やコスト面の観点からも、クレジットカードのほうがメリットが大きいといえるでしょう。
海外で使用した場合の手数料
クレジットカードを海外で利用すると、為替手数料が加算されます。手数料の料率はカードの種類によって異なります。
基準レートと外貨取扱手数料で計算
クレジットカードの最終的な請求額は、VISAやMasterCardなどの各国際ブランドが定める基準レートに為替手数料をかけて計算されます。
たとえば、基準レートが1ドル=100円、為替手数料が1.6%のAカードを利用し、海外で200ドル分の買い物をした場合、下記のように利用額が計算されます。
- 200ドル×100円×1.6%=320円
このように、Aカードを利用した場合は200ドルの利用金額に対し、320円の手数料がかかります。
実際の利用額にいくらのレートが適用されたかを確認したい場合、クレジットカードの利用明細をチェックするか、カード会社に問い合わせましょう。
国際ブランドの基準レートを比較
利用額の換算に適用される基準レートは、カードの国際ブランドによって異なります。
各社の基準レートは、その日の為替相場に合わせて決定されます。実際の為替相場は変動が非常に激しいため、クレジットカード会社に限らず、銀行や証券会社などの各金融機関でも取引に使う基準レートを定めています。
例として、3つのクレジットカード国際ブランドの基準レート(米ドル→円)を比較します。
※2018年2月19日時点のレートを参照
市場為替レート:106.6円
国際ブランド | 基準レート |
VISA | 106.4円 |
Master Card | 106.22円 |
JCB | 106.33円 |
市場為替レートと各社の基準レートでは、大きな差がないことがわかります。基準レートが最も安く、さらに手数料の料率が低いカードが、海外利用に適したお得なカードということになります。
VISAはレートが高め
大手3社を比較すると、MasterCardが最も基準レートが安く、VISAが最も高くなっています。ただし、基準レートは日々変動するため、日によってはMasterCardやJCBのレートがVISAより高くなることもあります。
カード会社の手数料を比較
クレジットカードの海外利用手数料は、『事務処理コスト』や『為替手数料』などの名目で利用額に加算されます。
カード会社によってばらつきあり
手数料の料率は、カード会社によって異なります。例として、大手カード会社5社の為替手数料を比較しました。
カード会社 | VISA | Master Card | JCB |
楽天カード | 1.63% | 1.63% | 1.6% |
三井住友カード | 1.63% | 1.63% | - |
三菱UFJニコスカード | 2.16% | 2.16% | - |
オリコカード | 1.63% | 1.63% | 1.6% |
ジャックスカード | 1.63% | 1.63% | 1.6% |
VISAやMaster Cardの手数料は概ね1.63%、JCBについては1.6%の手数料が利用額に上乗せされてきます。利用額が大きくなればなるほど手数料の差も大きくなるため、できるだけ為替手数料の安いカードを選ぶことでコストを大きく節約できます。
海外でキャッシングを利用する
海外で現金が必要になった場合、キャッシングを利用すると手数料が安くなることがあります。
ATMで引き出し可能
キャッシングとは、クレジットカード会社からお金を借りる方法です。クレジットカードの各国際ブランドが世界中の金融機関と提携し、各地のATMでキャッシングを利用できる仕組みを作りました。
海外ではチップの支払いやタクシー代など、どうしても現金が必要な場面も出てきます。キャッシングを利用することで、万が一銀行口座に十分な金額がない場合でも、一時的にATMから現金を引き出すことができます。
24時間利用可能なATMも多く、急遽現金が必要になった際の対処法として有用です。
ATM手数料と利息に注意
クレジットカード利用には為替手数料が加算されますが、キャッシングにはATM手数料と利息が上乗せされます。
ATM手数料はカードの種類によって異なりますが、通常1回の引き出しにつき100円〜200円の手数料が設定されています。しかし、なかには海外でのATM手数料が無料のカードもあります。
また、キャッシングには利息が設定されています。たとえば、金利18.0%で1ドル=100円のときに現地で200ドルを引き出し、7日後に返済した場合の利息は下記のように計算します。
- (200ドル×100円)×18%=3,600円(=年利率)
- 3,600円÷365日×7日=69円
このケースでは、現地で引き出した200ドルに7日分の利息69円を加算して返済します。さらに、ATM手数料が200円とすると、トータルで20,269円支払うことになります。
利息は1日ごとに加算されていくため、返済日が早ければ早いほど、支払うべき利息額も少なくなります。
繰り上げ返済できるかが重要
キャッシングにかかるコストを抑えたい場合、繰り上げ返済ができるかどうかが非常に重要になります。繰り上げ返済ができないカードを利用すると、支払日までの日数分利息が上乗せされます。
上記の計算例で繰り上げ返済をしなかった場合、支払日まで40日かかると仮定すると、利息が395円も加算されてしまいます。
キャッシングのコストを抑えるためには繰り上げ返済を利用し、できるだけ利息を節約しましょう。
海外通販でクレジットカードを利用する
海外通販でクレジットカードを利用する際の手数料を解説します。
海外旅行と同様に手数料がかかる
日本にいながら、海外の店舗でショッピングができる海外通販は魅力的ですが、海外旅行と同じように手数料がかかる点に注意してください。
手数料の計算方法は、海外旅行先でのカード利用と同様です。各国際ブランドが定める基準レートに、カード会社が設定した為替手数料1%〜2%が上乗せされます。
また、海外通販はクレジットーカード番号を入力するだけで支払いができる点が非常に便利ですが、カード番号が不正利用されるリスクも意識しておく必要があります。
リスクを減らすためにも、できるだけ安全な大手の通販サイトを利用するようにしましょう。
PayPalなら安全
PayPalとは、アメリカに拠点を置くPayPal社が提供する決済システムです。メールアドレスとクレジットカード番号を登録すれば、各ショッピングサイトでの支払いをPayPalが代行してくれます。
PayPal決済を選択することで、店舗へ直接クレジットカード番号を知らせる必要がなく、カード番号を不正利用されるリスクを回避できます。安全かつ手軽に利用できるため、近年ではクレジットカードと並んで人気の決済方法となっています。
ただし、クレジットカードの為替手数料は高くても2%程度であるのに対し、PayPalは手数料として2.5%加算されます。
適用されるレートが日によって異なるため、一概に比較することはできませんが、安全に利用できる分、手数料の料率が若干高くなっています。
デビットカードもおすすめ
海外通販サイトでの支払いには、デビットカードも便利です。デビットカードとは、口座から即時に利用金額が引き落とされる決済方法です。口座に入金されている金額分しか利用できないため、カードの使いすぎを防げます。
また、利用額分だけデビットカードの引き落とし口座に入金しておけば、万が一カード番号が流出したとしても、不正利用の被害を最小限に抑えることができます。
おすすめのMastercard3選
ここでは、手数料が安く、海外での利用に適したMaster Cardを3種類紹介します。
セディナカード
- 年会費無料
- 海外での利用でポイント1.5倍
- 海外デスクで旅行サポートあり
「セディナカード」は年会費が無料で、さらに海外での利用には『わくわくポイント』が1.5倍になるというメリットがあります。わくわくポイントはさまざまな商品や、他のポイントに交換することが可能です。
「セディナカード」の利用者は、セディナ海外デスクのサポートを受けられます。現地の気候や通貨、入国情報などのインフォメーションサービスに加え、緊急時の各種手配を請け負ってくれる、エマージェンシーサービスを提供しています。
楽天カード
- 年会費無料
- ポイントが貯まりやすい
- 海外旅行保険付帯
「楽天カード」も年会費が無料でお得なカードです。旅費の支払いに楽天カードを使えば、海外旅行保険が自動で付帯されます。
また、ポイント還元率が1%と高く、数あるクレジットカードの中でも、ポイントが貯まりやすくなっています。海外旅行だけでなく、海外通販でも使いやすいクレジットカードです。
MUFGカードゴールド
- 年会費が安いゴールドカード
- 空港のラウンジが利用可能
- 海外旅行保険付帯
「MUFGカードゴールド」は、ゴールドカードでありながら、年会費が1,905円(税別)と非常に安いお得なカードです。海外旅行保険では最大で2,000万円まで補償されます。
また、国際線利用時には、国内主要空港とホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港のラウンジが無料で使えます。海外旅行の頻度が高い人にとっては、魅力的な特典といえるでしょう。
まとめ
海外での支払いにクレジットカードを利用すれば、大量の現金を持ち運ぶ必要がなく、両替手数料も節約できます。
一方で、カードの種類によって加算されるコストが異なるため、利用額に対しどれくらいの手数料がかかるのかを、事前に把握しておく必要があります。
あとになってカードの請求額に慌てないためにも、海外でのクレジットカード払いには特に注意を払い、計画的な利用を心がけてください。
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