死亡後のクレジットカードの解約
親族の誰かが死亡してしまった場合、遺産整理などをおこなう必要がありますが、クレジットカードも遺産のひとつです。
通常、クレジットカードの所有者が死亡した場合、遺産を相続してもそのクレジットカード自体を相続人が引き継ぐことはできませんので、カードを解約し廃棄処分する必要がでてきます。
それでは、死亡した親族のクレジットカードはどのようにして解約すればよいのでしょうか。
代理人がクレジット会社に連絡
クレジットカードの所有者が死亡した場合は、親族などの代理人がクレジットカード会社に連絡をして解約するというかたちになります。
クレジットカード会社に電話をし、契約者本人が死亡したため解約したいとの旨を伝えると、契約者の氏名や生年月日、住所やカード番号、引き落とし先の銀行口座などの情報を聞かれますので、あらかじめ情報をまとめておいてから連絡するのが良いでしょう。
各クレジットカード会社の連絡先は、カードの裏面に記載されていますので、そちらに電話をしましょう。
また、電話でそのまま解約できる場合もあれば、解約のために書類を送ってもらい、返送する必要がある場合もありますので、クレジットカード会社の指示に従うようにしましょう。解約後のカードはそのまま代理人が廃棄するかたちになることが多いようです。
支払い残高が残っている場合
支払い残高が残っている状態で、クレジットカードの契約者が死亡してしまった場合、法定相続人全員にその返済が求められることになります。
仮に自分は、親族からの遺産を何も相続していないという状態でも、民法の上での相続人であれば、クレジットカードの未支払い分の支払い義務はあるのです。
また、法定相続人が決まっていない場合は、相続人が決まるまで支払いは凍結されることとなります。
相続放棄で支払義務も放棄できる
個人の財産を返済額が上回る場合など、相続をすることでマイナスになってしまうという状況であれば、相続を放棄することで支払いの義務も放棄することができます。
ただし、当然ながら相続を放棄するということは、全ての財産の相続を放棄することになり、クレジットカードの支払いだけを放棄するということはできません。
また、相続放棄は相続から3カ月以内に家庭裁判所に申請をおこなう必要があります。
家庭裁判所に相続放棄を申請すると「相続放棄申述受理証明書」というものを発行できるようになりますので、相続放棄申述受理証明書を発行してカード会社に送付すれば、支払いの請求を止めることができます。
つまり、相続人の間で「私は相続を放棄する」と宣言しても、相続放棄にはなりませんので注意が必要です。
家族カードやポイントについて
クレジットカードには、契約者に安定した収入があれば、その家族もクレジットカードを利用することができる「家族カード」や、クレジットカードを利用することで溜まり、様々なものに使うことができる「ポイント」など、便利なサービスがあります。
しかし、カードの契約者本人が死亡してしまった場合は、こういったサービスはどうなるのでしょうか。ここでは、契約者が死亡した際の家族カードとポイントの取り扱いについてご紹介いたします。
家族カードは使用できるのか
家族カードの契約者本人が死亡してしまった場合、残念ながら家族カードも使用できなくなってしまいます。
原則として名義変更をおこなうこともできませんので、もしその会社のクレジットカードの利用を続けたい場合は、新たな審査を受けてカードを作る必要があります。
ポイントの相続はできるのか
死亡した親族のクレジットカードのポイントを、死亡後に相続することは不可能です。
また、契約者が存命の場合でも、クレジットカードのポイントを親族に相続させるということも、ほとんどのクレジットカード会社ではおこなっていません。
ただし、楽天カードの「家族でポイントおまとめサービス」、セゾンカードの「ファミリー合算」など、家族にポイントを移行することができるサービスが用意されているクレジットカードもありますので、その場合は死亡前に家族にポイントの移行をおこなっておくのが良いでしょう。
家族間でポイントの移行できるクレジットカード①「楽天カード」
「楽天カード」 | |
![]() |
|
項目 | 詳細 |
年会費 | 無料 |
発行可能ブランド | JCB・VISA・MasterCard・American Express |
ポイントの還元率 | 1.0%~12.0% |
年会費無料・ポイント還元率高い・CMでも話題 | |
楽天カードの詳細へ |
家族間でポイントの移行できるクレジットカード②「セゾンカード」
「セゾンカード」 | |
![]() |
|
項目 | 詳細 |
年会費 | 無料 |
発行可能ブランド | JCB |
ポイントの還元率 | 0.50% |
セゾンカードの詳細へ |
カードの存在自体を知らない場合
死亡した親族のクレジットカードの存在自体を誰も知らないということも当然考えられます。
また、クレジットカードが見つからない場合や、利用していないクレジットカードが存在する場合は、どのような対処をおこなえばよいのでしょうか。
支払い残高が残っている場合
クレジットカードの支払いを口座引き落としにしている場合、クレジットカード会社に契約者の死亡報告をしていなければ、通常どおり銀行口座から毎月の支払日に引き落としがおこなわれますので、銀行口座を確認することで、使用しているクレジットカードの有無を知ることは可能です。
銀行口座の凍結がおこなわれている場合は、クレジットカード会社から法定相続人の元に、残りの支払いの相続手続きの連絡がくることになります。
支払い残高が残っていない場合
また、支払い残高が残ってない場合は、クレジットカードの存在を調べる方法は残念ながらありません。そのため、クレジットカードの更新時期に連絡がくることで気づくというかたちが多いようです。
信用情報機関に情報照会を依頼
「全国銀行個人信用情報センター」などの信用情報機関に情報の開示を求めることで、クレジットカードの支払いを含む、故人の借金を知ることは可能です。
ただし、本人が死亡している場合は、開示を求める依頼者と死亡した親族との関係を証明する戸籍謄本や本人確認書類などを提出する必要があります。
まとめ
このように、死亡してしまった親族のクレジットカードの解約は代理人がおこなうことができます。その際に、支払いが残っていなければそのまま解約、カードの廃棄をおこなうだけで構いませんが、クレジットカードの支払いが残っている場合は、残された親族の状況に合わせた対応が必要になってきます。
そういったことからも、残された親族のためにも、使用しているクレジットカードは生前解約しておくか、不慮の事故などを考えてノートなどにクレジットカードの情報をまとめておくのも大切なことです。