クレジットカードの悪用方法や原因とは
クレジットカードを悪用されないよう、紛失や盗難に気を付けて管理を徹底している人は多いでしょう。しかし、自分でどれだけ気を付けていても、クレジットカードが悪用されることがあります。
管理を徹底しているクレジットカードがどうやって悪用されるのか、方法や原因を把握しておきましょう。
ECサイトから情報が盗まれる
代引き手数料の節約やポイント獲得などのために、ECサイトでクレジットカードを使う人は、ECサイトからクレジットカードの情報が盗まれる可能性があります。
ECサイトがハッキングを受ける・操作ミスをする・偽サイトに誘導されてクレジットカード情報を入力してしまうなど、原因はさまざまです。
宅配業者や金融機関、公的機関を装ったメールを送りつけたり、不正アプリをインストールさせたりして、クレジットカード情報を入力するよう求める手口もあります。
クレジットマスターにより悪用される
『クレジットマスター』という、クレジットカードの番号を作り出すプログラムによって情報が悪用されることもあります。
プログラムが作り出す番号を次から次へと入力し、利用できる番号を割り出して悪用するという手口です。
割り出された番号は悪徳業者に売られたり、電子マネーなどと紐付けて悪用されたりします。プログラムで勝手に番号が割り出されるので、自分では防ぎようがありません。
安全に利用するための対策をしよう
クレジットカードを悪用されないようにするには、安全対策が欠かせません。ここでは、基本的な対策について紹介します。
暗証番号の管理は厳重に
クレジットカードを安全に利用するために重要なことは、暗証番号の管理を厳重にすることです。家族や恋人などにも教えてはいけません。
クレジットカードを複数枚持っている場合は、それぞれ異なる暗証番号を設定することも重要です。
同じ暗証番号にしていると、1枚のクレジットカードの暗証番号が漏れた場合に、他のクレジットカードまで悪用される可能性があります。
また、クレジットカードの暗証番号の入力や変更を求めるメールが届いても、安易に入力しないことが重要です。本当にカード会社や金融機関などが送ってきたメールなのかを、しっかり確認しましょう。
利用明細は必ず確認
クレジットカードの利用明細をこまめに確認することも重要です。利用明細を見ておけば、不審な決済に気付けるからです。
特に、最近では悪用に気付かれにくくするために、1万円前後の少額詐欺を繰り返す手口が増えています。
いきなり数十万円、数百万円の決済が行われれば、名義人もカード会社もすぐに気が付くものです。しかし、1万円前後の場合、自分で使ったかもしれないと思いやすく、悪用に気付くのが遅れます。
自分がいつどこで、いくらの決済をしたかを記録しておき、その記録と利用明細を照らし合わせるようにしましょう。
ネットでの情報入力は慎重に
ネットでクレジットカード情報を入力するときは、信頼できるサイトなのかを慎重に確認することが重要です。
日本クレジット協会の『2018年日本のクレジット統計』によると、18年のクレジットカードの番号盗用(※)被害は、クレジットカードの悪用被害の79.7%を占めています。クレジットカードが悪用される原因の大半が、ネットが原因ということです。
メールやSNSに送られてきたURLから行き着いたサイトや、人気商品が極端に安いサイトなどは、不正サイトの可能性があるので注意しましょう。
また、少し面倒ではありますが、ECサイトにはクレジットカード情報を登録せず、毎回手入力するようにすれば、ECサイトからの情報漏えいを防止できます。
(※クレジットカードの番号盗用とは、ECサイトなどの非対面決済によってクレジットカードの番号を盗まれることです)
こんなときはどうすればよい?
「不審なサイトにクレジットカード情報を入力してしまった」「情報漏えいの可能性がある」などの不安を感じたときには、どのように対処すればよいのでしょうか。
不審な画面に情報を入力してしまった場合
フィッシング詐欺(※)のメールは、以下の画像のような、いかにも本物らしい作りになっています。
出典:フィッシング詐欺被害に遭わないための注意事項|協会から消費者のみなさまに向けた注意喚起|消費者のみなさまへ|一般社団法人日本クレジット協会
さらに、メールのURLを開くと公式サイトと見間違えるほど精巧な不正サイトにつながるため、疑うことなくクレジットカード情報を入力してしまうこともあるでしょう。
もし、このような不審な画面にクレジットカードの情報を入力してしまった場合にまず行うことは、『カード会社に連絡してクレジットカードの利用を止めてもらうこと』です。
そして、各都道府県警察の『フィッシング110番』や、フィッシング対策協議会などに連絡して、今後の対応を相談しましょう。
こういったケースでクレジットカードを止めた場合、同じ番号で利用を再開することは原則不可です。クレジットカードを再発行する必要があるので、カード会社に依頼しましょう。
(※フィッシング詐欺とは、公式のメールを装って不正サイトに誘導し、個人情報を盗み取る詐欺の手口のことです)
情報が知られた可能性があり不安な場合
第三者にクレジットカード情報を知られた可能性があるときは、やはりカード会社に連絡して、カード番号を変更してもらいましょう。
確実に情報が漏れたことが分かっている場合は、一旦クレジットカードの利用を停止してもらい、再発行を行います。
どちらにせよカード番号が変わってしまうので、公共料金の支払いや携帯電話料金の支払いなどにクレジットカードを使っていた場合は、変更手続きが必要です。
悪用されたら補償は受けられるの?
どれだけ注意深くクレジットカードを使っていても、クレジットマスターやECサイトからの情報漏えいなどは自分で防ぎようがありません。
万が一クレジットカードが悪用されてしまったら、補償は受けられるのでしょうか。
盗難保険補償の内容を確認しよう
基本的に、どのクレジットカードでも悪用による被害額を補償するための、『盗難保険』が付帯しています。ただし、補償が受けられるのは『カード会社に被害を報告した日以前60日まで』とされているのが一般的です。
60日以上前の被害額については補償されないので、悪用にいち早く気付けるように、定期的に利用明細を確認しましょう。
また、期間内の被害額は全額補償されるのが基本ですが、デビットカードなどは補償金額に上限が設定されていることがあるので注意が必要です。
カード不正利用(不正使用)発生時の補償について|クレジットカードの三井住友VISAカード
補償されないケースもある
以下のようなケースは、原則として盗難保険の保障対象外になります。
- 名義人に重大な過失があり、クレジットカードが悪用された
- 名義人の家族や同居人などに悪用された
- 他人にクレジットカードを預けたり、貸したりしていた
- 暗証番号を書いた紙を財布に入れていた、他人に教えたなどで暗証番号が漏れた
- 生年月日など簡単に推測できる暗証番号を設定していた
- クレジットカードに署名していなかった
- 悪用されたとの報告や紛失・被害届の内容に虚偽があった
- 自然災害などの混乱中に起きた被害だった
その他、カード会社それぞれに条件が定められているので、盗難保険の利用規約をよく確認しておきましょう。
連絡の手順
盗難保険を利用する場合は、以下の手順で手続きを進めます。
- カード会社に連絡し、クレジットカードが悪用された旨を伝える
- カード会社の調査を待つ(書類提出などが必要な場合もあり)
- 調査の結果、名義人に過失がないことが認められたら、請求が取り消される
連絡先はクレジットカードの利用明細や、クレジットカードの裏面などに記載されています。盗難や紛失の場合は、カード会社の緊急連絡先に電話しましょう。24時間対応してもらえます。
また、盗難や紛失の場合は、警察に盗難届や紛失届を提出し、届出番号を伝えないと補償が受けられないことがあるので、必ず届け出るようにしましょう。
チャージバックによる返金とは
ECサイト上でクレジットカードが悪用された場合、『チャージバック』による返金が行われます。
チャージバックとは、悪用によって請求された商品代金を、ECサイト側がカード会社を経由して利用者に返金する仕組みのことです。
ECサイト側にとっては商品を不正に購入された上に、その商品は戻ってこず、なおかつ返金まですることになるので、その分の損害が発生するという厳しい仕組みです。
ただし、3Dセキュアなどの本人認証サービスを導入している場合は、ECサイト側に責任はないとして、カード会社が返金を行います。
まとめ
クレジットカードは、どれだけ注意して使っていても悪用される可能性があります。悪用された場合の対処法を把握し、万が一のときに速やかに対応できるようにしておきましょう。